電通、第3回「サステナブルカスタマー調査」を実施
株式会社電通が実施した「サステナブルカスタマー調査」によると、持続可能な社会を目指す動きが加速する中、サーキュラーエコノミーを推進するのは全顧客の約2割(19.5%)を占める「サステナブルカスタマー」です。彼らは商品の継続購入とリサイクル活動への高い関心を持ち、環境保全を優先して高価格の商品を選ぶ傾向が強いです。しかし、「サーキュラーエコノミー」自体の認知度は依然として8.5%に留まっており、普及には時間がかかりそうです。調査結果から、特に若い世代よりも50代、70代に多く見られ、再生プラスチック製品の購入意欲が高いことがわかりました。社会貢献が動機となることが多く、回収支援を求める傾向があります。
2024年12月18日
株式会社 電 通
株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:佐野 傑)は、第3回「サステナブルカスタマー調査」を実施しました。現在、持続可能な社会に向けて、サーキュラーエコノミーに高い注目が集まっています。そのサーキュラーエコノミーをけん引する顧客群の特性の把握を目的に、調査を実施しました。事前調査(対象者:全国15~79歳の1万人、調査期間:2024年10月8日~10月15日)にて、商品の継続的購入と資源のリサイクル活動・回収活動への参加経験によって生活者を4種類のカスタマーに分けたのち、本調査(対象者:4種類のカスタマーを各性別・各世代別に均等割付した全国15~79歳の1200人、調査期間:2024年10月15日~10月16日)にて、購買行動における意識や商品の選定基準、リサイクル活動・回収活動へのモチベーションなどを調査しました。
【サステナブルカスタマーについて】
・事前調査で「継続購入ブランド(飲料、食品、化粧品など10カテゴリ)が5つ以上あり」「リサイクル活動・回収活動参加製品が1つ以上ある」、継続購入性とリサイクル活動・回収活動への参加意識の両方が高い生活者を、当社では「サステナブルカスタマー」と定義。サステナブルカスタマーは全体の約2割(19.5%)を占めている。【図表1】【図表2】
・世代別では、15~19歳(7.0%)、20代(10.5%)、30代(14.3%)、40代(18.4%)、50代(16.3%)、60代(14.9%)、70代(18.6%)であり、各世代に幅広く存在している。【図表3】
・サステナブルカスタマーは、企業のサステナビリティ活動に共感し、継続的に資源のリサイクル活動・回収活動に参加する傾向があり、また、値段が高くても環境に良いものを買う傾向が他のカスタマーよりも高いという特徴をもった顧客群である。
【図表1】サステナブルカスタマーの定義
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O2-ID87I22U】
※ロイヤルカスタマー:商品を継続購入してくれる生活者
グリーンカスタマー:製品のリサイクル活動・回収活動のみに参加する生活者
【図表2】カスタマー別の割合
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O3-YW0J0VUx】
【図表3】サステナブルカスタマーの世代別割合
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O4-JW37QYmm】
本調査から得られた主なファインディングスは次のとおりです。
【主なファインディングス】
①「サーキュラーエコノミー」の認知率は8.5%。さらに、内容まで知っている人は2.0%と低い。
②関心のある社会課題は、「自然災害」「気候変動」「少子化・高齢化」の順で多い。サステナブルカスタマーが全体より10ポイント以上高い項目は、「持続可能性(SDGs)」と「再生可能エネルギーの普及」。
③「再生プラスチック」であることが商品購入の後押しとなると考える人は、サステナブルカスタマーにおいては、過半数(53.7%)。全体(36.6%)より17.1ポイント高い。
④資源のリサイクル活動・回収活動の動機付けとなる特典の上位は、「共通ポイント」と「商品クーポン」。サステナブルカスタマーにおいては、「回収量、回収結果を教えてくれる」「CO2削減量を教えてくれる」「寄付ができる」といった社会貢献が実感できる非金銭的インセンティブが、全体よりも割合が高い傾向にある。
⑤リサイクル活動・回収活動に取り組む理由の上位は、“回収せずに捨てることによる環境負荷への考慮” や、“国・自治体などの推奨”、“回収せずに捨てることに対する罪悪感”。サステナブルカスタマーにおいては、上位2つの理由は全体と同じだが、次いで“子どもたちの未来の環境への考慮”が挙がった。
注)本調査における構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
【各ファインディングスの詳細】
①「サーキュラーエコノミー」の認知率は8.5%。さらに、内容まで知っている人は2.0%と低い。
・「サーキュラーエコノミー」の認知率(「内容まで知っている」「内容は知らないが言葉だけは知っている」の合計)は、8.5%。「内容まで知っている」人は、2.0%。【図表4】
【図表4】「サーキュラーエコノミー」の認知率
Q. あなたは下記の用語についてどの程度ご存じですか。それぞれについてお答えください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O6-Gly2aUtv】
②関心のある社会課題は、「自然災害」「気候変動」「少子化・高齢化」の順で多い。サステナブルカスタマーが全体より10ポイント以上高い項目は、「持続可能性(SDGs)」と「再生可能エネルギーの普及」。
・関心のある社会課題の上位は、「自然災害」(49.9%)、「気候変動」(48.8%)、「少子化・高齢化」(42.6%)の順。サステナブルカスタマーにおいては、「持続可能性(SDGs)」が34.7%で全体(23.5%)より11.2ポイント高く、「再生可能エネルギーの普及」が33.0%で全体(22.4%)よりも10.6ポイント高い。【図表5】
【図表5】関心のある社会課題
Q.あなたが関心のある社会課題を全てお選びください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O7-0PPQRqtC】
③「再生プラスチック」であることが商品購入の後押しとなると考える人は、サステナブルカスタマーにおいては、過半数(53.7%)。全体(36.6%)より17.1ポイント高い。
・「一度使用されたプラスチックを原料として作られた再生プラスチック」を使用した製品であるということが商品を購入する時の気持ちの後押しとなる(「後押しになる」と「やや後押しになる」の合計)と考える人は、全体が36.6%。サステナブルカスタマーにおいては53.7%で、全体より17.1ポイント高い。【図表6】
【図表6】「再生プラスチック」使用製品ということが購入の後押しになるか
Q.商品を選ぶときに、「一度使用されたプラスチックを原料として作られた再生プラスチック」を使用した製品であるということはあなたがその商品を購入する時の気持ちをどの程度後押ししますか。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O8-sfWa2T5n】
④資源のリサイクル活動・回収活動の動機付けとなる特典の上位は、「共通ポイント」と「商品クーポン」。サステナブルカスタマーにおいては、「回収量、回収結果を教えてくれる」「CO2削減量を教えてくれる」「寄付ができる」といった社会貢献が実感できる非金銭的インセンティブが、全体よりも割合が高い傾向にある。
・リサイクル活動・回収活動への動機付けとなる特典について、「共通ポイント」があれば回収活動に参加したい(「ぜひ参加したい」「まあ参加したい」の合計)と考える人が最も多く、77.4%。次いで、「商品クーポン(回収物と同じものに使えるクーポンや類似商品のクーポン)」があれば回収活動に参加したいと考える人が多く、61.4%。【図表7】
・サステナブルカスタマーにおいて、全体より割合が高い特典は、「回収量、回収結果を教えてくれる」(54.3%/全体より+19.1ポイント)が、「CO2削減量を教えてくれる」(55.7%/全体より+18.1ポイント)、「寄付ができる(もらえるクーポンやポイント分を寄付)」(57.6%/全体より+17.7ポイント)の順。【図表8】
【図表7】リサイクル活動・回収活動への動機付けとなる特典(全体)
Q.リサイクル活動、回収活動に参加した際に、以下のような特典があるとしたら、あなたは、どの程度この活動に参加したいと思いますか。それぞれについてお答えください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O9-IDJ16bWZ】
【図表8】リサイクル活動・回収活動への動機付けとなる特典(全体とサステナブルカスタマーの比較)
Q.リサイクル活動、回収活動に参加した際に、以下のような特典があるとしたら、あなたは、どの程度この活動に参加したいと思いますか。それぞれについてお答えください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O10-z7ba88lS】
⑤リサイクル活動・回収活動に取り組む理由の上位は、“回収せずに捨てることによる環境負荷への考慮”や、“国・自治体などの推奨”、“回収せずに捨てることに対する罪悪感” 。サステナブルカスタマーにおいては、上位2つの理由は全体と同じだが、次いで“子どもたちの未来の環境への考慮”が挙がった。
・リサイクル活動・回収活動に取り組む理由は、「モノを回収せずに捨てることによって環境負荷がかかると考えるため」(42.3%)、「国、自治体など社会が推奨しているため」(37.6%)、「モノを回収せずに捨てることに対して罪悪感があるため」(27.2%)が上位。一方で、サステナブルカスタマーにおいては、上位2つの理由は全体と同じだが、次いで「モノを回収せずに捨てることによって、子どもたちの未来の環境が悪くなると考えるため」(30.0%)が挙がった。【図表9】
【図表9】リサイクル活動・回収活動に取り組む理由
Q. 容器や製品、資源のリサイクル活動、回収活動についておうかがいします。現在行われているリサイクル活動・回収活動について、あなたが取り組む理由を教えてください。当てはまるものを全てお選びください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161767-O11-e4203R9d】
【調査担当者の解説】
サステナブルカスタマーは、商品の継続購入性が高く、同時に製品のリサイクルや回収活動に積極的に参加してくれる顧客群です。調査では、「サーキュラーエコノミー」の認知率が8.5%と非常に低いことが明らかになりましたが、サステナブルカスタマーにおいてはその認知率が全体よりも高い傾向にあることも分かっています。また、サステナブルカスタマーは、再生プラスチックを使用した製品の購入に対して高い意欲を示しています。これは、再生プラスチックであることを商品価値の一つとして認識し、「循環型消費行動」を実践していることを示唆しています。「循環型消費行動」とは循環型社会の実現に向けた消費スタイルで、リフューズ(不要なものを断る)、リデュース(削減)、リペア(修理)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)といった5Rを基本に、環境に配慮した製品やシェアリング、サブスクリプションサービスの選択をする消費行動です。
また、サステナブルカスタマーは、非金銭的インセンティブに後押しされ、回収活動に参加する傾向があります。その理由として、社会貢献活動への参加が自己肯定感を高めると考えていることや、環境保全が将来世代への投資と考える価値観を持っていることが推察されます。サステナブルカスタマーはサステナビリティ経営における「事業性」と「社会貢献性」を両立するポテンシャルを有しており、サーキュラーエコノミーの社会・ビジネス実装において、重要なパートナーになり得ると当社では考えています。
サステナブルカスタマーにフォーカスしたマーケティング活用プログラムなどをデジタルブックにまとめています。下記URLよりダウンロードいただけます。
https://www.d-sol.jp/ebook/ce-marketing-program
【調査概要】
<事前調査>
・目 的:商品※の継続的購入とリサイクル活動・回収活動への参加経験によって生活者を4種類のカスタマーに分け、サステナブルカスタマーという顧客群を特定
・対象エリア:全国
・対象者条件:15~79歳
・サンプル数:10000
・調 査 手 法:インターネット調査
・調 査 期 間:2024年10月8日~10月15日
・調 査 機 関:株式会社電通マクロミルインサイト
※飲料、シャンプー・コンディショナー・トリートメント 、加工食品、冷凍食品、 菓子、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、衣服、家具・インテリア用品、小物家電(ドライヤーや調理家電など)の10カテゴリーについて、継続的に購入しているブランドの数を聴取
<本調査>
・目 的:生活者の購買行動における意識や商品の選定基準、資源のリサイクル活動・回収活動へのモチベーションなどを把握
・対象エリア:全国
・対象者条件:15~79歳
・サンプル数:1200※
・調 査 手 法:インターネット調査
・調 査 期 間:2024年10月15日~10月16日
・調 査 機 関:株式会社電通マクロミルインサイト
※事前調査で分けた4種類のカスタマーを各性別・各世代別に均等割付し、300人ずつ抽出。全体の1200人に対し、人口構成に合わせてウェイトバック集計を実施。「%」はウェイトバック後のスコア、「n」はウェイトバック前(回収時)のサンプル数を掲載。
以上
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