EY Japan、サステナビリティ経営における知財・無形資産を活用した成長戦略策定支援サービスを提供開始
EY JapanのCCaSSチームは、企業のサステナビリティ経営を支援するため、新たにテクノロジー・イノベーションに特化したチームを設立しました。このチームは、知的財産や無形資産を活用して企業価値向上を図るサービスを提供します。EYは、企業の非財務情報を活用した成長戦略や技術的知見を基にしたイノベーションを推進し、企業価値の向上を支援します。日本企業が持つ技術的優位性と異分野の技術を組み合わせ、サステナブルな経営を目指す戦略を策定します。また、投資家への開示やアウトカム最大化のための事業ポートフォリオの改革を支援し、中長期的な成長を支えることを目指しています。
EY Japan気候変動・サステナビリティ・サービスチーム(CCaSS)は、サステナビリティ経営に取り組む企業のお客さま向けに、非財務価値である知財・無形資産を活用して新たな成長事業の創出を支援するテクノロジー・イノベーションのサービスの提供を開始します。
有価証券報告書やIFRS(国際会計基準)、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)など、サステナビリティに関わる企業の非財務情報開示が進む中、企業価値は従来の財務情報だけではなく、非財務情報も含めて評価されます。また、PBR(株価純資産倍率)の改善に向け、コストカットや自社株買いではなく、事業成長を目指す経営が重視されてきています。このような中で、知的財産や無形資産などの非財務情報を元に成長戦略を策定し、投資家に説明することの重要性は高まってきています。
本サービスでは、知的財産や無形資産を洗い出し、EYがこれまでの調査や知見に基づいて定義した環境・社会のサステナビリティに貢献する市場領域において活用できる可能性を分析し、成長事業戦略に落とし込みます。さらに、サステナビリティの観点だけでなく、企業全体の成長戦略とも統合した戦略を立案し、具体的な事業開発に向けた伴走支援を提供します。サステナビリティ/ESG戦略、開示、インパクト会計、サステナビリティファイナンスなどの従来のサービスに加えて、テクノロジー・イノベーションによる企業価値の向上を支援するサービスを提供することにより、戦略立案から投資家への発信、事業の実行までの支援サービスをワンストップで提供します。
本サービスの提供にあたっては、テクノロジー・イノベーションに特化した専門チームを発足させ、サステナビリティ経営の視点と技術的知見を持つ専門家が、技術に関わるアセットの共通言語化を行い、環境や社会のサステナビリティへの活用可能性を明らかにすることで、イノベーションの推進を支援します。
CCaSSは、EYグローバルで横断的に組織され、気候変動・サステナビリティ・サービスを提供する専門チームであり、サステナビリティ経営成長戦略のCenter of Excellence(CoE)です。テクノロジー・イノベーションのチームを新たに設置することで、EY全社のグローバルネットワークを通じ、サステナビリティ経営による成長を目指す企業へのアドバイザリーサービスをさらに強化します。
[新サービスの詳細]
サステナビリティ経営が社会から求められている
地球環境・社会の持続可能性(サステナビリティ)に対する意識の向上が加速しています。有価証券報告書、IFRS(国際会計基準)、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)、CSDDD(コーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令)など、サステナビリティに関わる企業の非財務情報開示が急速に進む中、日本の企業にとって長期経営の根幹の変革を要する対応は、試練になるとともにチャンスともなります。単なるサステナビリティ対応による本社費増加にとどまるのではなく、中長期的な事業の活動を通じて、環境・社会のサステナビリティへの貢献と、企業としてサステナブルに稼ぐ力の増強の両面から価値創出により企業価値の向上を目指す、サステナビリティ経営が注目されています※1(図表)。
企業価値PBRの向上への施策
2023年3月に東京証券取引所より、株式時価総額である会社価値が純資産を下回り、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れとなっている企業へ、改善策の開示・実行が勧告されました※2。PBRの1倍割れが東証の代表銘柄企業の40%を占め(2022年7月時点)、米国市場での5%程度と比較しても、日本企業が投資対象としての魅力を欠いていることが指摘されてきました※3。これに対応し、多くの企業がPBRの因子となるROE(自己資本利益率)を改善する施策を行ってきています。ROE向上には、地道なコストカットや人件費等の固定費の圧縮のみならず、利益剰余金での自社株買いによる、自己資本の圧縮により進められてきました。
自社株買いでは、企業自らが直接株式を買い上げることから、株価の短期上昇、さらには株価が割安であることを経営者からの「シグナリング」として示すことで、中長期での株価上昇の効果が一般には想定されています。一方で、経営者は本来、この剰余金を活用して、次の事業への再投資を行い企業として成長させることが求められており、市場では、自社株買いが将来成長を失った企業として認識され、企業価値が低迷する要因となりうることが指摘されています※4。本質的な価値創造としての成長を目指す経営が、重視されてきています。
企業の無形資産を活用するイノベーションにより、地球環境・社会のサステナビリティと企業のサステナブルな成長を両立する経営戦略が求められています※1。企業はPBRの因子が示すように、現在事業の利益率を足元で高めることに加え、より成長性の高い事業へと資本の投下を行い、アウトカムを最大化するための最適な事業ポートフォリオに転換して成長することが期待されています(図表)。
成長ドライバーとして無形資産を活用したイノベーションによる企業価値向上
サステナブルな成長戦略においては、イノベーションが必須の課題となっています。日本でのイノベーションにおいては、製造業などを中心に中長期での技術開発と、それに伴う人材育成とを連動させ保有技術を進化させて、より参入障壁が高く、高付加価値な事業を展開してきました。現代社会では、異分野の高度な技術を組み合わせるイノベーションが必要となってきており、開発コストの増大に対応するための外部連携や開発技術の撤退、ピボットの見極めや人材の入れ替えを伴う組織再編、さらにはリスキリングによる人材の最大活用など、機動的な開発マネジメントが必要となっています。
しかし、日本においては、マネタイズにつながらない開発投資が続いたり、世界に突出した技術が事業に有効活用されなかったりといったケースが散見されます。例えば日本企業のR&D投資に対する企業収益につながる効率が過去に比べ大きく低下し、欧米と比べてもその低下がより顕著である指摘がされています※5。従来は、独自技術に基づくプロダクトアウト型のビジネスが、日本の技術系企業で多く見られました。昨今では、自社特有の強みとしての無形資産を生かし、外部のリソース・知識を積極的に活用して、イノベーションを素早くビジネスとして立ち上げ、その後柔軟にアップデートしていくリーンスタートアップが主流となってきています。
サステナブルな社会の構築へ日本企業の大きなポテンシャルを最大活用
今後、よりサステナブルな地球環境・社会の構築において、日本企業のテクノロジーは大きく貢献する可能性があり、企業としての成長も同時に実現する「サステナビリティ経営による成長戦略』が日本の企業価値の最大化を追求する経営戦略として注目されています※1。
このような成長を支援する目的で、EY Japan CCaSSはEYグローバルのサステナビリティ経営成長戦略の実質的なCenter of Excellence(CoE)として、EY全社のグローバルネットワークを通じ、サステナビリティ経営による成長を目指す企業の戦略立案から投資家への発信、事業の実行までワンストップで支援するアドバイザリーサービスを本格化します。特にテクノロジー・イノベーションに特化したチームを組成し、ものづくり企業を中心に培われたDNAを活用するため、①アセットの共通言語化を行い、②環境・社会のサステナビリティへの活用可能性を明らかにして、③社会に貢献するとともに成長性の高いビジネスへの挑戦ストーリーとしての中長期的なアウトカム創出へつなげるイノベーション推進を支援します。さらに、これらの成長戦略と、将来的な価値を「インパクト(環境・社会・ファイナンシャル)」として可視化する財務戦略※6とを統合し、企業価値の向上を支援します。
Japan CCaSSリーダー 牛島 慶一プリンシパルのコメント
日本企業はかねてより、知財や無形資産に十分な投資をしていない、あるいは上手に活用しきれていないと言われてきました。従来のような大量消費を前提としたビジネスから、サステナビリティをトリガーに循環型経済へ移行させようとする中、企業は経営やビジネスをスマートに変革させることが必要です。サステナビリティのトレンドに乗って同業他社を追随するだけでなく、客観的に自社の持つ経営資源や資産を棚卸しし、自社の強みを生かした競争優位の構築とサステナブルな社会への貢献を支援していきます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161747-O1-l5sTev6Q】
サービスの概要については、こちらのウェブセミナーをご覧ください。
サステナビリティ経営の成長戦略~企業価値向上への中長期戦略~
引用
(以下ウェブサイトは2024年12月13日にアクセス)
※1 2022/8/30 経済産業省 伊藤レポート 3.0 (SX 版伊藤レポート) サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX 研究会)報告書www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/itoreport3.0.pdf
※2 2023/3/31 東京証券取引所 「資本コストや株価を意識した 経営の実現に向けた対応について」www.jpx.co.jp/news/1020/cg27su000000427f-att/cg27su00000042a2.pdf
※3 2023/9/15 東京証券取引所 「Exchange &beyond 金融審議会 市場制度ワーキング・グループ 第24回 資料」www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market-system/siryou/20230915/04.pdf
※4 2024/6/26 経済産業省「持続的な企業価値向上に関する懇談会 座長としての中間報告」www.meti.go.jp/shingikai/economy/improving_corporate_value/pdf/20240626_1.pdf
※5 2024/2/9 経済産業省「イノベーション循環をめぐる現状と課題」www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/innovation/pdf/001_04_00.pdf
※6 2023/8/25 EY Japan、インパクト加重会計による非財務取組みのインパクト可視化のアドバイザリーサービスを本格化
ey.com/ja_jp/newsroom/2023/08/ey-japan-news-release-2023-08-25
[EYについて]
EY | Building a better working world
EYは、「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」をパーパス(存在意義)としています。クライアント、人々、そして社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼の構築に貢献します。150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。
[EY新日本有限責任監査法人について]
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