C&W、2024年Q1 のリテール市況レポートを発表
報道関係者各位
C&W、2024年Q1 のリテール市況レポートを発表 グローバル・ラグジュアリー・ブランドの路面店出店競争は加速する見通し
グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、リテール市況について最新のレポートを発表致しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405150813-O1-gazwj902】
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2024年第1四半期 市況
経済
2024年第1四半期の実質GDPは年率2.1%のマイナス成長を見込む*1。令和6年能登半島地震や一部自動車メーカーの生産停止に加え、実質賃金の前年比マイナ ス幅の縮小ペースが緩やかな中、個人消費の回復は鈍い。コアCPIは前年比寄与度の4割を占める食料品の価格上昇が減速に転じたため、前年比成長率は前年同月の3.1%から2.6%となった。消費動向の先行指数となる消費者態度指数は昨年10月以降改善(2024年3月時点39.5、前年同月比+5.6ポイント)したものの、依然として中立とされる50 を大きく下回る。企業収益をみると、従業員一人当たりの経常利益の水準*2は過去最高の水準となり、2024年春闘での賃上げ率は第4回回答集計でコンセンサス予想(3.85% *3)を上回る5.2%となった。しかし、利益率が伸び悩む中小企業等では持続的な賃上げは期待しがたいことから、家計の節約志向は継続。雇用動向をみると、完全失業率(季節調整値)は2.6%と前年同月から横ばい。
併せて需要サイドの動きをみると物価上昇の影響を除いた勤労世帯の実収入は前年同月比マイナス1.7%と、減額幅は直近1年2%以上が継続してきたが縮小。実質賃金の伸び率は賃上げが反映される年後半まではマイナスもしくは横ばいで推移するとみられ、総じて個人消費は力強さを欠いた状況が継続する見通し。一方、2024年3月の訪日客数は前年同期比112%となる308万人、一人当たりの消費単価も20.9万円と2019年の年間平均単価を約3割上回る水準で推移。第1四半期期の訪日旅行客消費総額は1.8兆円に拡大した。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405150813-O2-WY9Jmv9o】
出所:みずほリサーチ&テクノロジーズ、総務省、経済産業省、Oxford Economics、 Moody’s Analytics
注:注記のない限り、売上高はすべて既存店売上で表記している
*1みずほリサーチ&テクノロジーズの2024年4月30日時点予測
*2全規模全産業ベースの法人企業統計調査(2023年10~12月期)の直近1年間の経常利益の合計を期末の人員で除した
*3日本経済研究センター「EPSフォーキャスト調査」(2024年1月調査)
需給
2024年第1四半期平均の全国の小売販売高は、コア消費者物価指数の上昇と足並みを合わせて前年同期比2.6%上昇。季節調整済指数の後方3か月移動平均をみると前期比0.0%の横ばいとなった。総括すると、自動車出荷減や春物衣料の売上が振るわなかったが、引き続きインバウンド需要に連動した販売増加が目立った。販売チャンネル別にみると、インバウンド等向けの高額ブランド製品の販売が伸びた百貨店販売額は前年同期比9.5%、ドラッグ・ストア販売額も同9.1%でペースは緩やかになったものの回復は継続。一方、最寄り品の消費傾向をみると、スーパー(同4.5%増)、コンビニエンス・ストア(同2.2%増)はともにインフレの影響を控除した実質ベースではほぼ横ばいが続く。また、コロナ禍の巣ごもり需要の反動が続く家電大型専門店の売上は引き続き軟調(同-0.3%)。
新規開発案件のアナウンスをみると、都心主要駅直結の複合大型開発が継続。池袋駅西口周辺再開発では、三菱地所、東武鉄道が主導する商業施設、ホテル等に加えアート・カルチャー都市として情報発信施設も入居予定(総延床面積:約176,267坪) 。また、湾岸を中心に大型施設の開業も相次いだ。万葉倶楽部は江戸の街並みを模した木造の飲食街と温浴施設を併設した豊洲千客万来(総延床面積:約4,444坪)を開業。その他、東京オリンピック選手村跡地を活用したららテラス HARUMI FLAG (総延床面積:約3,065坪) 、ヴィーナスフォート跡地に体験型テーマパークのImmersive Fort Tokyo (総延床面積:約9,075坪)が開業した。一方、ヒューリックによる再開発が継続する銀座では銀座コア(店舗面積:2,562坪)が閉館。また、ピーク時の2000年代初頭対比で売上がほぼ半減した地方百貨店の閉店も相次いでいる。
新規出店・移転動向
第1四半期においては、銀座、原宿/表参道/青山のプライム賃料が前四半期対比で切りあがった。原宿/表参道/青山、心斎橋/御堂筋に続き、銀座のトップレントとなる坪50万円はコロナ前までのピークとなる坪40万円を上回った。旺盛なグローバル・ラグジュアリー・ブランドの出店需要を推し量るため、足許のハイストリート路面店舗の賃料を世界の主要都市別に比較すると、銀座の店舗賃料水準はニューヨーク5番街やミラノのモンテナポレオーネの半分以下に過ぎない。また、アジア太平洋地域内の店舗賃料比較でも、コロナ前対比4割近く落ち込んだままの香港を上回る可能性も高まっている。
同ラグジュアリー・ブランドの売上を地域別にみても、日本の2024年以降5年間平均売上増減率(3.7%)は地政学リスクが大幅に高まる中国(同3.1%)を上回る見通し。さらには、オンラインチャンネルの浸透に合わせて、同ラグジュアリー・ブランドが直営店の売上比率を世界全体の52%までほぼ倍増させていること等からも、国内店舗戦略において地方百貨店等から都心路面店への構造的シフトを織り込んでおくべきであろう。全世帯数の1.1% に相当する百万米ドル以上の金融純資産を有する世界の富裕層が全体の45.8%1を蓄積しているなか、店舗賃料が相対的に安価な日本のハイストリートへの旺盛な出店攻勢は加速することが見込まれる。
期中のハイストリート出退店の動きを総括すると、検討範囲が限られたラグジュアリー・ブランド間の陣取り競争の激化から、プライムエリアの高額物件オーナーの価格支配力はさらに強まった。 このため、財務基盤の強いブランドの中では、条件に見合った開発物件であれば賃貸から所有への長期的な転換を検討する事例も散見されている。一方、Tier I エリアの上限値を牽引してきたラグジュアリー・ブランドやインバウンド需要が限定的となるTier II エリアでも、新興アパレルブランド等の路面出店が増加しつつあり、コスト増から賃料下限値にも押し上げ圧力がかかる。
当該四半期には海外ブランドの新規進出が相次いだ。フランス創業のスポーツブランドHOKAは神宮前交差点にストアスペースとコミュニティスペースを併設した2階建ての旗艦店を出店。ほか、韓国発アイファッションブランドであるGENTLE MONSTER は南青山みゆき通りにブランドが掲げる新たな世界観を反映した3体のジャイアントヘッド・キネティック・オブジェを設置した旗艦店を出店した。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405150813-O3-LKcs8jJ4】
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出所1:Global Wealth Data Book (2023) ,世帯別、金融純資産をベースに集計 。なお、全世界のトップ1%に属するには、米ドル1,081,342の金融純資産が必要と試算されている。
また、国別にみると、日本のトップ1%世帯の同金融純資産シェア(18.8%)は、米国(34.2%)や中国(31.1%)を下回る。集計対象人口は全世界の58億人。
出所2:Global Luxury Brands の定義としては、Global Top Brands 100にランキングされたパーソナルグッズの販売会社うち、総じて2割以上のプレミアムプライシングを実現している上位10社を対象としている。
アウトルック
トップ・エリアの賃料は底上げへ:銀座、表参道、心斎橋等のトップレントはコロナ前の上限賃料を上回ったが、今後12か月においても、さらなる上昇を見込む。銀座の上限賃料についても、海外の競合都市対比では半額程度の水準にとどまっているため、今後の賃料価格帯の底上げ、周辺地区への賃料上昇の広がりが期待される。2030年にかけて複数の大型開発が進む都心エリアでは、商業地域の集積状況も大きく変わることとなる。今後は、都心再開発に足並みを合わせたエリア賃料全体の底上げにも注目していきたい。
全体の実質賃料は横ばい:好立地のハイストリートの賃料は、引き続き賃料上昇が継続する見通し。しかし、好調な都市型店舗を中心とした売上の回復度合いと比較すると、マス向け店舗や地方都市では長引くインフレ環境下で人件費、原材料費、光熱費の高騰の影響を受けるテナントに対して、オーナーが賃料を増額できないケースも増加傾向にある。今後2年間の全体の賃料水準は、一部のプライムエリアを除き、景気減速を反映して緩やかな賃料下落サイクルが続くことを弊社では見込んでいる。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405150813-O6-liXZ5f9r】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405150813-O7-c1LGw7fe】
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本レポートは添付PDFをご覧ください
‐以上‐
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2023年の売上高は95億ドルを記録しました。受賞歴のある企業文化や、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)、サステナビリティに対するコミットメントにより、業界内外から高い評価を頂いております。
詳しくは、公式ホームページ https://www.cushmanwakefield.com/ja-jp/japan にアクセスするか公式ツイッター @CushWake をフォロー下さい。
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