第III相TROPiCS-02試験において、HR陽性HER2陰性の転移性乳がんにおける 無増悪生存期間の主要評価項目達成
2022年3月23日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
第III相TROPiCS-02試験において、 Late-LineでのHR陽性HER2陰性の転移性乳がんにおける 無増悪生存期間の主要評価項目を達成
本試験の主要副次評価項目である全生存期間については評価を継続
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は3月7日、内分泌療法とCDK 4/6阻害剤および2~4種類の化学療法による治療歴のあるホルモンレセプター(HR)陽性HER 2陰性の転移性乳がん患者さんを対象に、sacituzumab govitecan-hziyを評価する第III相TROPiCS-02試験の結果を発表しました。本試験では、医師が選択した化学療法と比較して、sacituzumab govitecan-hziy投与群において主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)で、統計学的有意な改善が認められました。この試験における目標は、疾患進行または死亡リスクの30%以上の低減としました。主要評価項目の結果は、転移性乳がん患者さんのうち、HR陽性HER 2陰性サブグループを対象とした第I/II相IMMU-132-01試験で認められた結果と一貫性を示しました1。TROPiCS-02試験における最初の中間解析では、主な副次評価項目の全生存期間(OS)に関して改善傾向が認められ、患者さんは継続して全生存期間の解析対象となります。sacituzumab govitecan-hziyの安全性プロファイルは先行試験と一貫しており、安全性に関する新たな懸念は確認されませんでした。
ギリアドのチーフ・メディカル・オフィサーのマーダッド・パーシー(Merdad Parsey, MD, PhD)は次のように述べています。「治療が困難な患者さんにおいて、sacituzumab govitecan-hziyは一貫した活性を示しました。私たちは現在データを評価しており、これらの患者さんにsacituzumab govitecan-hziyを届けるための可能な経路について、規制当局と協議していきます。ギリアドは、既に適応のある転移性トリプルネガティブ乳がんおよび迅速承認された転移性尿路上皮がんに対するセカンドライン治療に続き、Sacituzumab govitecan-hziyが患者さんにさらなるベネフィットをもたらすことができるよう、複数の腫瘍および早期治療ラインの試験を進めています」
カリフォルニア大学サンフランシスコ校、総合がんセンターの乳腺腫瘍学・臨床試験教育医学教授兼ディレクターのホープ・ルーゴ医学博士(Hope, Rugo, MD)は、次のように述べています。「HR陽性HER 2陰性乳がんは全乳がん症例の約70%を占めます。進行性乳がんの患者さんは最終的に内分泌療法に対する抵抗性を呈することがあり、その後、限られた一連の化学療法に対しても耐性を示します。これらのデータは、複数の治療歴のあるHR陽性HER 2陰性の転移性乳がん患者さんの重要なアンメットニーズに応えるSacituzumab govitecan-hziyの可能性を示しています」
TROPiCS-02試験の詳細な結果は、今後開催される医学学会で発表される予定です。
ギリアドは、本プレスリリースおよび本リリースに関連するFAQを含む最新報告書をForm 8-Kに記録しました。本プレスリリースの情報はFAQと併せてお読みください。
Sacituzumab govitecan-hziyは、HR陽性HER 2陰性の転移性乳がんの治療薬として承認されておらず、本適応症に対する安全性および有効性は確立されていません。Sacituzumab govitecan-hziyには重度または生命を脅かす好中球減少症および重度の下痢に関する枠組み警告があります。その他の重要な安全性情報については以下をご参照ください。
TROPiCS-02試験について
TROPiCS-02試験は、内分泌療法とCDK 4/6阻害剤および2~4種類の化学療法による治療歴のあるHR陽性HER 2陰性の転移性乳がん患者さん543名を、1対1の割合で医師が選択した化学療法(エリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン)またはSacituzumab govitecan-hziyに無作為に割り付けた国際共同、多施設、非盲検、第III相試験です。主要評価項目は、化学療法を受けた患者さんと比較し、Sacituzumab govitecan-hziyを投与された患者さんにおける、盲検化された独立中央審査による固形がんの治療効果判定規準(RECIST 1.1)が判定したPFSとしました。この試験では、疾患進行または死亡リスクにおける30%以上の低減を目標とし、PFS中央値は0.9ヵ月以上の統計的有意差を示す検出力を有します。副次評価項目には、OS、奏効期間(DOR)、クリニカルベネフィット率および全奏効率(ORR)ならびに安全性、忍容性、生活の質(QOL)の評価項目が含まれます。TROPiCS-02試験の詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03901339をご参照ください。
HR陽性HER2陰性の転移再発乳がんについて
ホルモン受容体陽性/ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HR+/HER 2-)乳がんは、全新規症例の約70%を占め、世界で毎年約40万人がこの乳がんと診断されています。早期乳がんのほぼ3例のうち1例の患者さんが最終的に転移性となり、HR陽性HER 2陰性の転移性乳がん患者さんの5年相対生存率は30%です。HR陽性HER 2陰性の転移性乳がん患者さんは、内分泌療法に抵抗性を示すようになるため、主要な治療選択肢は単剤化学療法に限定されます。単剤化学療法を受けた患者さんの予後は依然として良好ではありません。
Sacituzumab govitecan-hziyについて
Sacituzumab govitecan-hziyは、ファースト・イン・クラスのTrop-2を標的とした薬物複合体です。Trop-2は、乳がんおよび膀胱がんの90%以上を含む複数の腫瘍で高発現する細胞表面抗原です。Sacituzumab govitecan-hziyは、トポイソメラーゼI阻害剤であるSN-38のペイロードを独自の加水分解性リンカーで抗体に結合できるよう意図的に設計されています。この独自の組み合わせにより、Trop-2発現細胞と微小環境の両方に強力な活性をもたらします。
Sacituzumab govitecan-hziyは、2種類以上の全身療法歴のある切除不能な局所進行性または転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の成人患者さん(そのうち少なくとも1種類は転移性疾患に対する治療歴を有する)の治療薬として、35カ国以上で承認されており、世界各国で規制当局による複数の審査が行われています。米国において、Sacituzumab govitecan-hziyはプラチナ製剤を含む化学療法とプログラム細胞死受容体-1(PD-1)、またはプログラム細胞死リガンド-1(PD-L 1)阻害剤のいずれかの治療を過去に受けた局所進行性または転移性尿路上皮がん(UC)の成人患者さんに対する治療薬として、迅速承認制度に基づき承認されました。
また、他のTNBCおよび転移性UC患者さんならびにホルモン受容体陽性/ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HR+/HER 2-)の転移性乳がん、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)、転移性小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がんおよび子宮内膜がんを含むTrop-2が高発現しているさまざまな種類の腫瘍に対する治験薬としての可能性を目指して開発が進められています。
米国におけるSacituzumab govitecan-hziyの適応について
米国では以下の治療を適応とします。
●2種類以上の全身療法歴があり、そのうち1種類以上は転移性疾患に対する治療歴を有する、切除不能な局所進行性または転移性TNBCの成人患者さん
●プラチナ製剤を含む化学療法およびプログラム細胞死タンパク質1 programmed death receptor-1, PD-1)阻害薬またはリガンドL1 (programmed death-ligand 1, PD-L 1)阻害薬の投与歴がある局所進行または転移性UCの成人患者さん。この適応症は、奏効率および奏効期間に基づき迅速承認されました。本適応症の承認を継続するには、検証的試験で臨床ベネフィットを検証し、説明することが条件となります。
Sacituzumab govitecan-hziyに関する米国における重要な安全性情報
枠組み警告:好中球減少症および下痢
●重度または生命を脅かす好中球減少症が生じる可能性があります。好中球絶対数が1500/mm3以下の場合や発熱性好中球減少の場合はSacituzumab govitecan-hziyの投与を中止してください。治療中は定期的に血球数を測定してください。二次予防のためにG-CSFを検討してください。発熱性好中球減少症の患者さんには、遅滞なく感染症治療を開始してください。
●重度の下痢が生じる可能性があります。下痢が生じた場合には、患者さんの様子を観察し、必要に応じて水分と電解質を投与してください。重症度を問わず初期の下痢に対して、禁忌でなければアトロピンを投与し、遅発性の下痢の発現時には、感染性の原因を評価し、陰性の場合は速やかにロペラミドの投与を開始してください。重度の下痢が発生した場合は、グレード1以下になるまでSacituzumab govitecan-hziyの投与を中断し、その後は投与量を減らしてください。
禁忌
●Sacituzumab govitecan-hziyに対する重度の過敏症反応
警告および使用上の注意
好中球減少症:重度、生命を脅かす、または致命的な好中球減少症が発生する可能性があり、投与量の変更が必要になる場合があります。Sacituzumab govitecan-hziyで治療を受けた患者さんの61%に好中球減少症、47%の患者さんにグレード3~4の好中球減少症、7%の患者さんに発熱性好中球減少症が認められました。いずれかのサイクルの第1日目に好中球絶対数が1500/mm3以下の場合、またはいずれかのサイクルの第8日目に好中球数が1000/mm3以下の場合、sacituzumab govitecan-hziyの投与を中止してください。発熱性好中球減少が発生した場合は、sacituzumab govitecan-hziyの投与を中止してください。
下痢: sacituzumab govitecan-hziyを投与された全患者さんの65%に下痢の症状がみられました。12%の患者さんにおいて、グレード3~4の下痢が認められました。1名の患者さんに下痢の後の腸管穿孔がみられました。好中球減少性大腸炎は0.5%の患者さんにみられました。グレード3~4の下痢が認められた場合、sacituzumab govitecan-hziyの投与を中止し、グレード1以下に回復した時点で投与を再開してください。発現時には感染性の原因を評価し、陰性の場合は速やかに初回に4mg、その後は下痢のたびに2mg、最大で1日16mgまでロペラミドを投与してください。下痢が治まってから12時間後にロペラミドを中止してください。臨床的に必要であれば、追加の支持療法(例:水分と電解質の補給)を受けることができます。治療に対して過剰なコリン作動性反応を示す患者さんは、その後の治療のために適切な前投薬(例:アトロピン)を受けることができます。
過敏症および注入に伴う反応:sacituzumab govitecan-hziyで、生命を脅かすアナフィラキシー反応を含む重篤な過敏症反応が発現しています。重篤な徴候・症状には、心停止、低血圧、喘鳴、血管浮腫、腫脹、肺臓炎、皮膚反応などがあります。投与後24時間以内に、37%の患者さんにおいて過敏症反応が発現しました。グレード3~4の過敏症は患者さんの2%に発現しました。sacituzumab govitecan-hziy投与の永続的な中止に至った過敏症反応の発現率は0.3%でした。アナフィラキシー反応の発現率は0.3%でした。前投薬が推奨されます。投与中および投与終了後少なくとも30分間は、過敏症および注入に伴う反応について患者さんを注意深く観察してください。このような反応を治療するための薬や緊急用の器具をすぐに使用できるようにしてください。注入を伴うグレード4の反応がみられた場合は、sacituzumab govitecan-hziyの投与を永続的に中止してください。
悪心および嘔吐:sacituzumab govitecan-hziyの投与を受けた全患者さんの66%に悪心が発現し、このうち4%にグレード3の悪心がみられました。39%の患者さんに嘔吐が認められ、このうち3%の患者さんにグレード3~4の嘔吐がみられました。化学療法誘発性の悪心・嘔吐(CINV)の予防のために、2剤または3剤の併用療法(例:デキサメタゾンと5-HT3受容体拮抗薬またはNK1受容体拮抗薬のいずれか、および適応となる他の薬剤)で前投薬するようにしてください。グレード3の悪心またはグレード3~4の嘔吐に対してはsacituzumab govitecan-hziyの投与を中止し、グレード1以下に回復した時点で追加の支持療法を用いて再開してください。
臨床的に必要な場合には、制吐剤およびその他の支持療法を追加することができます。全ての患者さんに対し、悪心と嘔吐の予防および治療に関する明確な指示とともに、自宅で服用する薬剤を処方してください。
UGT1A1活性の低下した患者さんにおける副作用リスクの上昇:
ウリジン二リン酸-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)*28アレルがホモ接合体の患者さんで、好中球減少症、発熱性好中球減少症および貧血のリスクが高く、sacituzumab govitecan-hziyによるその他の副作用のリスクも高くなる可能性があります。グレード3~4の好中球減少症の発現率は、UGT1A1*28アレルがホモ接合体の患者さんで67%、UGT1A1*28アレルがヘテロ接合体の患者さんでは46%、野生型アレルがホモ接合体の患者さんでは46%でした。グレード3~4の貧血の発現率は、UGT1A1*28アレルがホモ接合体の患者さんでは25%、UGT1A1*28アレルがヘテロ接合体の患者さんでは10%、野生型アレルがホモ接合体の患者さんでは11%でした。UGT1A1の活性の低下が認められた患者さんについては、副作用を注意深く観察してください。UGT1A1の機能低下を示す可能性がある、または急性の早期発症または異常に重度の副作用が認められた患者さんにおいては、観察された副作用の発現、持続時間および重症度の臨床的評価に基づいて、sacituzumab govitecan-hziyの投与を中断するか、または永続的に中止してください。
胚・胎児への毒性:その作用機序から、妊婦に投与すると催奇形性および/または胚・胎児致死を引き起こす可能性があります。sacituzumab govitecan-hziyは遺伝毒性成分であるSN-38が含まれており、急速に分裂する細胞を標的としています。妊婦や妊娠可能な女性には、胎児への潜在的なリスクについて説明してください。妊娠可能な女性には、sacituzumab govitecan-hziyの投与中および最終投与後6カ月間は有効な避妊法を使用するよう指導してください。妊娠可能な女性パートナーを持つ男性患者には、sacituzumab govitecan-hziyの投与中および最終投与後3カ月間は有効な避妊法を使用するよう指導してください。
副作用
ASCENT試験(IMMU-132-05)において、最も多くみられた副作用(発現率25%以上)は、疲労、好中球減少症、下痢、悪心、脱毛症、貧血、便秘、嘔吐、腹痛、食欲減退でした。1%以上の頻度で認められた重篤な副作用(SAR)は、好中球減少症(7%)、下痢(4%)、肺炎(3%)でした。27%の患者さんにSARが報告され、5%の患者さんが副作用により治療を中止しました。ASCENT試験で最も多く認められたグレード3~4の臨床検査値異常(発現率25%以上)は、好中球数、白血球数、リンパ球数の減少でした。
TROPHY試験(IMMU-132-06)において、最も多くみられた副作用(発現率25%以上)は、下痢、疲労、好中球減少症、悪心、感染症、脱毛、貧血、食欲減退、便秘、嘔吐、腹痛、発疹でした。5%以上の頻度で認められたSARは、感染症(18%)、好中球減少症(12%、うち発熱性好中球減少症は10%)、急性腎障害(6%)、尿路感染(6%)、敗血症または菌血症(5%)でした。SARは44%の患者さんで報告され、10%が副作用により治療を中止しました。TROPHY試験で最も多かったグレード3~4の臨床検査値異常(発現率25%以上)は、好中球数、白血球数、リンパ球数の減少でした。
薬物相互作用
UGT1A1阻害剤:UGT1A1阻害剤とsacituzumab govitecan-hziyを併用すると、SN-38の全身曝露量が増加する可能性があるため、副作用の発現率が高まる可能性があります。UGT1A1阻害剤とsacituzumab govitecan-hziyの併用は避けてください。
UGT1A1誘導剤:UGT1A1誘導剤を併用している患者さんで、SN-38への曝露量が大幅に減少する可能性があります。UGT1A1誘導剤とsacituzumab govitecan-hziyの併用は避けてください。
枠付き警告文を含む完全な処方情報を参照してください。
1 Kalinsky et al, 2020
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995年の「米国証券訴訟改革法」に記載されている「将来予想に関する記述」に該当し、いくつかのリスク、不確実性などの要素を含む場合があります。これらのリスク等には、sacituzumab govitecan-hziyの臨床試験を予定されたスケジュールで開始、進行および完了するギリアドの能力、sacituzumab govitecan-hziyに関する進行中および追加の臨床試験から好ましくない結果が得られる可能性、規制当局へのHR陽性HER2陰性の転移性乳がんを含む新規ならびに追加の適応症に関連する申請および承認に関する不確実性が含まれます。また、ギリアドがHR陽性HER2陰性の転移性乳がんの治療に対するsacituzumab govitecan-hziyの開発中止を戦略的に決定し、結果としてsacituzumab govitecan-hziyの本適応症が商業化されない可能性、または上記いずれかの根拠となる仮定も含まれます。
これらの、またその他のリスク、不確実性、その他の要因については、米国証券取引委員会に提出済の2021年12月31日を期末とするギリアドの年次報告書(フォーム10-K)に詳しく記載されています。これらのリスクや不確実性、およびその他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なる可能性があります。歴史的な事実以外の全ての記述は「将来予想に関する記述」と見なされる可能性があります。このような将来予想に関する記述は将来の業績を保証するものではなく、リスクと不確実性を含むものであり、将来予想に関する記述に過度に依存しないようにご注意ください。将来予想に関する記述の全て、またギリアドが現在入手できる情報に基づいており、当社は、将来予想に関する記述を更新する義務は負わず、更新する意向もありません。
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