EY調査、家庭はブロードバンドの回線スピード保証以上のものを求めている
・調査した世帯の52%がブロードバンドの回線スピード以上に回線の安定性を重視
・回答者の42%が5Gへのアップグレードに関心がなく、5Gへの乗り換えを計画しているのはわずか22%
・26%の世帯がコロナ禍においてネットワークの信頼性の低下を経験
EYの調査「Decoding the digital home(デジタルホームを解き明かす)」(以下、「本調査」)の第二回目の結果によると、調査世帯の59%がコロナ禍においても通信事業者はうまく対応したと考えている一方で、通信事業者が提供するサービスと顧客が必要とするサービスの間に「コネクションの悪さ」が存在することが明らかになりました。一般的にプロバイダーは他社との差別化要因としてブロードバンドの回線スピードを宣伝していますが、調査回答者の52%がブロードバンドのスピード以上に安定性が重要だと考えています。また、46%の世帯が、費用をかけてまでより回線スピードの速いパッケージにアップグレードする必要はないと考えています。一方で25%の回答者が、ブロードバンドのスピードが実際に何を意味するのか分からないと述べています。
こうした回線の安定性を望む声は、コロナ禍でブロードバンドのサービス安定性が低下したとの認識(調査した世帯全体では26%、11歳以下の子供のいる世帯では38%に上昇)と合致しています。特に、回線の安定性への懸念は英国および米国の都市部で最も高く(両国ともに39%)なっています。回線の安定性を確保する方法について、プロバイダーから有効な案内や助言があったと回答した世帯は、わずか31%でした。
EYグローバル・テレコミュニケーション・リーダーのTom Loozenは、次のように述べています。
「マーケティングで回線スピードを主な差別化要因として宣伝することは、もはや時代遅れです。通信プロバイダーは、バリュープロポジションを再考して、顧客の真のニーズに応え、消費者の利用を加速させることで、投資リターンを改善させるという喫緊の課題に取り組む必要があります。さらに、大きな懸念材料として、通信業界が成長に向けた体制を整えている中で、多くの顧客が、「ギガファスト」や「ファイバースピード」といった宣伝用語を理解できず、どのようなコネクティビティがもたらされるのかについての認識に欠けるため、消費者の権利が正しく反映されていないように感じているという課題があります。基本的に、各世帯は、通信の安定性に対する今以上の保証を求めており、通信事業者は、コロナ禍後の家庭における自社の役割を最大化させるために、いかに自社の通信が安定しているかを伝える方法を改善しなくてはなりません」
5Gに魅力を感じる世帯は限定的
調査を行った国すべてで5Gサービスが既に利用できるようになっていますが、5Gに対する消費者の関心は依然として低迷しています。既に5Gを利用していると回答した世帯は9%のみで、5Gへのアップグレードに関心があると回答した世帯はわずか22%でした。42%の世帯は5Gへのアップグレードに全く関心がないと、22%の世帯は関心があるともないともいえない(どちらでもない)と回答しています。もしアップグレードをする場合、その根拠となる理由のトップ(36%)に挙げられているのは、やはりここでも回線の安定性となりました。これは、ビデオのストリーミング(20%)、ゲーム(わずか7%)の利便性の向上といった理由を大きく引き離しています。
5Gへのアップグレードへの関心の低さにも関わらず、調査した世帯の32%が、もしモバイルブロードバンド(5G)が家庭のニーズを満たすことができるのなら、有線ブロードバンドを解約してモバイルブロードバンドへ切り替える意思があると、回答しています。
EYグローバル・テレコミュニケーション・リードアナリストのAdrian Baschnongaは次のように述べています。
「5G という新しいモバイルケイパビリティに対する理解が進んでいないのが現状です。この課題に取り組まなければ、将来的に5Gが普及する妨げとなるでしょう。5Gのメリットと5Gが提供するクオリティを明確にコミュニケーションすることが重要です。特に、モバイル接続でも自宅のインターネットニーズを満たすことができるかどうか検討している家庭が一定の割合で存在していることを考えると、明確なコミュニケーションは不可欠です。また、消費者が5Gに対してより関心を抱き、彼らが最新の5Gサービスに反応できるようにするためには、シンプルで分かりやすい料金プランも必要となるでしょう」
追いつめられるテレビとブロードバンドのパッケージサービス
大半の回答者が最終的には、「基本的なサービス」が問題なく提供されることを求めている一方で、ブロードバンドのパッケージの一環としてオプションサービスの追加を検討している回答者は、プライバシーと安全(51%)を優先しています。これは、コロナ禍でデータ保護に対する懸念と不安をさまざまな場面で経験したことが反映されています。
しかし、従来のパッケージサービスは危機に直面しています。特に顕著なのが、ブロードバンドのパッケージサービス検討の際に、プレミアムコンテンツが利用可能かどうかを最優先の理由に挙げているのは調査した世帯のわずか15%のみという事実です。若い世代(23歳~34歳)の世帯では特に、同一のサービスプロバイダーからブロードバンドとテレビ放送の両方を購入することにメリットを感じていない家庭が多く(33%)見受けられました。また、ブロードバンドのプロバイダーから購入しているテレビ放送とコンテンツが、料金に見合った価値があると感じているのは、調査した全世帯のわずか39%にとどまっています。
さらに、Baschnongaは次のように述べています。
「ブロードバンドとテレビ放送を組み合わせたパッケージがマーケットの主流となっていますが、こうしたパッケージにどれだけのメリットがあるのか疑問を呈する回答者が一定数います。プロバイダーは、こうした注意報をしっかりと受け止めて、パッケージのすべての要素が利便性と価値を提供していることを確実にする一助とすべきです」
EY Japan テクノロジー・メディア &エンターテインメント・テレコム・コンサルティングリーダー 尾山 哲夫は次のように述べています。
「日本の消費者は一部のヘビーユーザーを除き、現状の4Gで満足しており、5Gの普及が期待されたほど進んでいません。これは5Gによって「感動」を感じられる「ソフト」の不足によりものだと考えています。
今後、企業が5Gにより“桁違いの品質、感動”を実感できるソフト(ゲーム、ストリーミング映像など)を開発して“顧客提供価値”を向上することが5G普及のポイントになると考えています」
本調査の第二回目結果は、コロナ禍という複雑な環境を上手に乗り越えることを目指す通信事業者に、成功のための4つのステップを提供しています。
※本プレスリリースは、2021年6 月24日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版プレスリリース:
https://www.ey.com/en_uk/news/2021/06/ey-survey-reveals-uk-households-need-more-than-broadband-speed-promise
〈EYについて〉
EY | Building a better working world
EYは、「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」をパーパスとしています。クライアント、人々、そして社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼の構築に貢献します。
150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。
アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。
本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したものです。同社は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
〈本調査について〉
「Decoding the digital home(デジタルホームを解き明かす)」は、オンライン調査に基づいて作成されています。本オンライン調査はEYのために行われるもので、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国の18,0000以上の世帯が調査対象となっています。本年度の調査は、2020年12月と2021年1月に行われました。本調査は、家庭で体験するテクノロジー、コネクティビティ、コンテンツに対して、およびそうした製品やサービスを提供する企業に対して、消費者がどのように態度を変化させているかを理解することを目的としています。
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