フランス大統領選挙の一次投票が終わり、当初の予想通り、マクロン氏とルペン氏が決選投票に進みました。
それを受けて、24日のシドニー市場は大幅円安という結果を得られました。今回は今後の動向に関して、お話をしていきたいと思います。
リスクはオンなのか? オフなのか?
今の世界情勢は、フランス大統領選挙ももちろんですが、日本でも北朝鮮からの地政学リスクを受けてリスクオンモードになります。
そのほかヨーロッパではギリシャの財政問題やドイツの総選挙などを控えており、リスクがなくなったか、どうかの話をすると、とてもではないですが、リスク選好モードになるとは思えません。
では、今の金融市場や為替市場をどう見るか? という話をしなくてはなりません。
こういうときは、どう金融市場や為替市場をみるかのお話をしてまいりたいと思います。
今回の下落の発端を考える
今回の為替相場において円高への端緒は年初になるのです。
その年初は、何があったかと考えていくと、2016年末のFRBによる利上げが端緒と考えることができるのです。
この利上げの意味を取り間違えている方が非常に多いのですが、利上げというのは過熱しすぎた経済を冷やすために利上げを行う、ということです。
つまり、年末のFRBの政策金利上げというのは株価やドルを押し下げる効果が当然の反応で、年初から株安、円高が進行をしたのが当然の話になります。
そして、3月にはFRBが再利上げに踏み切れば、株安、円高が進行をするのは当然なのです。
利上げイコール、株高、ドル高と考える人が非常に多いのですが、理屈を考えると利上げというのは円高、株安になるのは当然の話で、今の流れは当然の話であって当たり前のことを間違って解釈をしていることを理解しなくてはなりません。
もちろん、日米の金利差が利上げによって広がるから円安なんて平気でテレビで言う方は、そんな間違いにいつ気づくのでしょうか?
そして、円高、株安の流れを加速させたものの中にはこの間お話しをさせていただいた、冬場のアメリカの景気は下押しをしただけの話になります。
それで、今回フランス大統領選挙の1次投票を終えて、大きな戻りがきたことでまた、円安論者が幅を利かせることでしょう。
原因は取り除かれたのか?
今回の金融市場の下押しというものを、端緒がFRBの利上げと考えると、その利上げによって、経済の過熱を抑え、そして3月にもさらに金融引き締め、つまり再利上げをしたということになります。
その間の経済指標は、4月発表の雇用統計が予想よりも低いことに代表されるように、まだ、利上げによる経済の過熱を抑える効果が続いていると見ることが、妥当な判断です。
そして、前にもお話をしたように、4月末日のGDP速報値は、かなり低い数字の予想です。この状態はおそらく夏過ぎまで続くと考えています。
今、発表される数字は案外いい数字になりますが、最終的には、7月の末日に発表される4-6月期のアメリカGDP速報値で底が確認できるまでは、アメリカ経済の下押しは続くと考えています。(執筆者:角野 實)