こんな経験をしたことはありませんか?
選択肢が多すぎるあまり、脳が合理的な判断を下せなくなり、適切な変化を選べなくなることを「決定麻痺」と呼びます。
情報過多になりがちなこの時代だからこそ、この決定麻痺を回避して、みすみす損を選ばないようにしましょう。
決定麻痺とはどんなもの?
決定麻痺とは、上述した投資の例のように、「行動しなければ損」とわかっているのに実行に移せず、結局現状維持を続けてしまうことを指します。
こういった状態は、商品やサービスの選択肢が増えた現在ではいたるところで陥りがちです。
特に株や保険、格安SIMなど、多様なプランの比較検討が必要な商材について考える時は、「間違った選択をして後悔したくない」という思いが強くなり、結局「とりあえず今のままにしておけばいいや」となってしまう傾向があります。
けれど決定麻痺を起こして現状維持を続けてしまい、投資を始めるのを先送りにしてしまった結果、長期投資の複利効果(利息が利息を生んでふくらむ効果)の機会を失ってしまうかもしれません。
「より良い商品やサービス」を選ばなかったために、みすみす損をしてしまう可能性もあります。
決定麻痺を回避するには?
では、この決定麻痺を回避するにはどうすればいいのでしょうか。筆者が実際に行っている2つの方法をご紹介します。
1. 意図的に選択肢を減らす
一番シンプルな方法は、選択肢が適度に減るように、絞り込みの条件を決めることです。
例えばスマートフォンの料金を安くしたいと格安SIMを探しているのなら、「通話無料のオプションがある」、「月額料金が2,000円以下」といった「ゆずれない条件」を先に決め、これにあてはまらない選択肢は見ないようにします。
この「選択肢を減らす」という方法は、意外と簡単なようで難しいです。
最初のころは「見なかった他の選択肢にもっと良いものがあったかもしれない」という気持ちをこらえきれず、結局自分で選択肢を増やして決定麻痺に陥ることもしばしばありました。
けれど意図的に選択肢を減らすことに慣れてきた今では、「この選択肢はベストではない可能性はあるけれど、確実にベターなので、私は満足」と思えるようになりました。
選択肢を減らす条件は、サービスの内容でも良いですし、「いつまでに決める」という時間的な制約でも良いと思います。
心理学では、「選択肢が増えれば増えるほど、人の幸福度は下がる」という実験結果があるそうです。
決定麻痺を回避し、満足度の高い選択をするために、時には増えすぎた選択肢を切り捨てる思い切りの良さが必要です。
2. 試金石を作る
そもそも選択肢をせばめるための条件が思い浮かばない、という場合は、自分の中で「どんな商材を欲しいと思っているのか」が明確になっていない可能性があります。
例えば、将来の資産運用のために株を始めたいけれど、どの株を買ったら良いのか全く想像できないといったような場合は、「何でも良いので、まずは手頃な銘柄を買ってみる」というのも、決定麻痺を回避する一手だと思います。
次の銘柄を探す時は、「最初に買った銘柄と比べてどうか」という指針を持つことができますし、「最初の一歩」を踏み出したことで、「決定を先送りして何もやらない」という状況を回避しやすくなります。
小さな決定をまず行ってみて、その経験を踏まえて次の決定に進むというステップアップの方法も、決定麻痺の回避には有効だと思います。
決定麻痺を回避して、合理的な選択を増やそう!
インターネットの発達により、選べる商材の数は無数に増え、その商材をどこから、どうやって買うのかということも選ばなければならない時代になりました。
私たちは何をするにも複数の選択肢を抱え、常に脳が「決定疲れ」を起こしているといっても過言ではないかもしれません。
「とりあえず現状維持」で損をしてしまうことのないよう、決定麻痺を回避するための自分なりの方法を、常に持っておきたいですね。(執筆者:青海 光)