介護離職が増えている現状
離れて暮らす両親が介護を必要とする状態になった場合、止むを得ず自分が離職をし帰省して介護をする事になったというケースは少なくありません。
人によっては今まで培って来た経験やキャリアを手放す事は、相当な覚悟が必要なものです。
そして、介護のために離職したからといって再就職をしないで居られる状況にある人は少ないでしょう。
しかし、
介護をしながら続ける事ができるのか?
そんな心配を抱えながら離職をするのは不安ですね。
今回は介護離職をした場合についてお話したいと思います。
再就職するにあたって
まず始めに、自身がどのスタイルで新しい仕事につきたいのかがポイントになります。
介護を中心と考えた場合に介護対象者の身体状況にもよりますが、週に数回のアルバイトやパートタイマーが良いのか、それともフルタイムで働きたいのかにより利用するべき介護サービスの種類や頻度が変わってきます。
そして、再就職を希望する事業所に、自分が介護をしている状況であること、自分が働ける時間帯などをしっかりと伝えることが重要です。
業種や事業所によっては臨機応変に就業開始・終了時刻を調整してくれる場合もありますので、規定の時間通りに就業出来ないからといって諦めず面接の際に担当者と良く話し合いましょう。
職業安定所等で求職をする際にも、自分がどのような状況にあり、どのようなワークスタイルを希望しているのかしっかり伝えて自分にあった仕事を紹介してもらう事が大切です。
再就職後も介護を理由に休まなくてはなくなる可能性もあります。
介護休業制度はパートタイマーやアルバイト、フルタイム雇用等関係無く取得する事ができますが、取得する際には政府が定めた以下の条件がつきます。
(1) 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている。
(2) 介護休業取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、かつ、契約の更新がされないことが明らかでない。
(引用元:厚生労働省 )
しかし、再就職して直ぐの場合は制度の対象外とする労使協定があります。対象外になる方は以下の通りです。
(1) その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
(2) 介護休業申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
(引用元:厚生労働省 )
今すぐに取得は出来ませんが、この先長く介護の状態が続いた場合は介護休業制度が重要になってきますので、しっかりと覚えておきましょう。
どうやって収入を得れば良いのか?
介護休業を取得する場合は介護休業給付金が支給されますが、離職してしまった人に対しての給付金は現状存在しません。
ですので、やむを得ず離職する事になってしまった場合はまず職業安定所で失業手当の申請を行いましょう。
前職などで雇用保険に加入していて再就職の意志がある場合、受給資格に係る離職の日における年齢・雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって給付日数が決定され、90日~360日のあいだ失業手当の受給を受けながら新しい就職先を探す事ができます。
在宅も視野に
在宅で仕事を請け負う事も視野に入れてみましょう。
業種によっては今までの年収には到底及ばないかもしれませんが、自分のできる範囲で臨時収入を得られるのであれば積極的に探してみる事も大切です。
しかし、収入が途絶えてしまった場合でも、保険料などは払わなくてはいけませんね。
市町村の窓口へ離職票や介護対象者の介護保険証を持参し、自身が介護のために離職した旨を伝え社会保険料等の免除や減免制度の相談をするのが良いでしょう。
いつまで続くかわからない介護状態ですので、再就職でしっかりと収入を得られるまの間で出費を抑えられる部分は国の制度を有効的に活用していきましょう。
利用できるサービスは積極的に!
介護対象者の身体状況にもよりますが、仕事がある日にデイサービス等を利用すると日中も安心して働く事ができるでしょう。
寝たきりで自分の意志では動く事が出来ない身体状況の場合は、自身が居ない時間に訪問ヘルパーなどを導入し安否確認をして貰う方法もあります。
まとめ
雇用者側では介護離職を防ぐために色々な対策が練られてはいますが、実際には介護離職をする人が年々増加傾向にあります。
それに対しての支援制度はまだ不十分で、介護離職をする=収入が途絶えるという現状です。
離職をする前の段階から次の仕事を探す準備を始め、収入がなくなり生活が困窮することが無いようにするのが大切です。(執筆者:佐々木 政子)