こんにちは。現役為替ディーラー国府勇太です。
2017年の相場に向かうには、まずは2016年の動きを抑えておくことが必要です。
そこで今回は
について為替ディーラー目線で月ごとの重要トピックを振り返っていきたいと思います。
国内ニュースも合わせて取り上げ特に投資初心者の方に親しみやすい内容としています。
1月 「年明けから大波乱の幕開け」
マーケットは、2016年のはじまりと共に大波乱を迎えました。
1月4日
日本の株式市場の取引初日「大発会」でいきなり日経平均は582円安でスタート。リーマンショックが起こった2008年に次いで戦後2番目の下げ幅となりました。
その後、日経平均は6営業日続けて値を下げます。こういった動きは史上初です。
追い打ちをかけるようなビックサプライズ
日銀が29日の金融政策決定会合で、新たな追加緩和策として「マイナス金利」を導入しました。
これは金融機関の当座預金の一部の金利をマイナスにするもので、これによりマーケットはさらに混乱しました。
2月 「円高が止まらない」
大きく円高(ドル円下落)が進んだ月でした。
2月26日
日本の長期金利が過去最低のマイナス0.075%になりました。ちなみに、このあとも過去最低を更新します。
3月 「月を通して動きなし」
3月は、1か月を通してほとんど動きがなかった月です。こういったチャートの足を十字線といいます。
4月 「円高が加速」
円高が加速した月です。
年明け120円だったのに、とうとう110円を割れてしまったことでマーケットが騒然としました。この後さらに下げることになります。
円高になると我々消費者は海外旅行に行きやすくなり「ラッキー」と思うかもしれませんが、自動車会社などの輸出産業は収益が落ち大きな打撃を受けます。
そして日経平均株価を支える多くの企業がこれらの会社です。つまり一般的に円高になると株安が進みます。
国内外のニュースで特に記憶に残った2つ
1. 「パナマ文書」問題が勃発
タックスヘイブンの利用者情報が流出し、世界各国のリーダーなどの名前が晒されました。
疑惑の渦中にあったアイスランドの首相が辞任するという一国の政治をも動かす大問題となりました。
2. 4月14日 熊本県でM6.5の地震が発生
多数の家屋が倒壊し多くの死傷者や被害が出る大地震となりました。
トンネルやスカイラインが復旧したり、「東京ガールズコレクション」(TGC)を熊本で開催協議のニュースが流れるなど現在も復興へ向けた動きが進んでいます。
5月 「円高がさらに加速」
ここから為替に関するトピックが増えます。
5月を通してみると上昇していますが、円高がさらに進行します。
日銀が期待されていた追加緩和を見送ったため円買いが加速し、ドル円は105円台になる場面がみられました。このあたりはマーケットが日銀の動きに振り回されていた時期です。
6月 「まさか! イギリスのEU離脱」
円高が決定的になった月です。
6月23日
イギリスは国民投票を行い、その結果EU(欧州連合)からの離脱(Brexitブレグジット)が決定しました。
このビックサプライズを受け円高が加速し、ドル円は今年最安値98.907円をつけました。
英ポンドも大きく変動
ポンド円は6月高値160.655円から安値133.174円まで一気に急落し、為替マーケットは大混乱しました。
このブレグジットは、為替ディーラーとしても記憶に残る1日となりました。世界の株式時価総額も1日で約3.3兆ドル(約330兆円)消失したと言われています。
日本の長期金利がマイナス0.215%となり、過去最低を更新
そして、この後2016年は下半期に入っていきます。下半期のテーマは「急回復」です。
7月~10月 「停滞するマーケット」
上半期とは打って変わって、下半期の4か月は安値圏での停滞でした。
下値を探っている状態で、アナリストの多くは円高論「90円割れ、80円割れ」を唱えていました。
それぞれの月で印象に残っているニュース
7月
スマホ向けゲーム「ポケモンGO」の配信が日本で開始しました。大ブームになり、任天堂の株価にも影響を与えました。
8月
SMAPが2016年12月31日をもって解散とジャニーズ事務所が発表し、芸能界のみならず日本全体に大きな衝撃が走りました。
9月
広島東洋カープが25年ぶりにリーグ優勝を果たしました。
10月
東京都で12日、大規模停電が発生しました。都内で最大35万戸、警視庁や東京高裁、一部の信号まで停電し都内はパニックとなりました。
11月~12月 「今年一番の見せ場! トランプラリー」
4か月近く停滞していたドル円ですが、11月になると一変し大きくドル円が急伸しました。
今年一番転機となった月
11月8日
アメリカで大統領選挙が行われました。
民主党のヒラリー・クリントン氏と共和党のドナルド・トランプ氏が対決し、もともと泡沫候補と言われていたドナルド・トランプ氏が多くの世論調査を覆し勝利しました。
多くのアナリストはトランプが当選するようなことがあれば「トランプショック」が起こり、株価は暴落、円高は必至と言われていました。
しかしフタを開けてみればマーケットは真逆の株高、円安方向に進みました。この動きは「トランプラリー」と呼ばれました。
その後、12月になってもトランプラリーの勢いは止まりませんでした。
12月14日
そんな中、アメリカFRBは1年ぶりの利上げをし、ドル高の流れを支えました。
国府勇太2016年マーケット総括
こうして1年を通してみると上半期は「円高」、下半期は「円安」と大きく動いた1年でした。
そして、上半期はブレグジット、下半期はトランプ大統領当選と、「まさか」が続く1年だったといえます。
2017年 「酉(とり)は騒ぐか?」
相場の格言に
とあります。これは、申年と酉年は「値動きの荒い一年になる」という意味の格言です
酉(とり)年の今年もまだまだ騒がしいマーケットが続きそうです。
1月20日にはいよいよトランプ大統領の就任式がありアメリカの財政政策が本格始動します。
投資をやる方も、やろうと思っている方も2017年のマーケットにぜひ注目して下さい。(執筆者:国府 勇太)