増加する「遺産相続争い」
日本ではまだまだ遺言を書く人の数は少ないようですが、遺産相続をめぐる争いは年々増加しています。
全国の家庭裁判所で取り扱った遺産分割調停事件の新受件数を見ると、平成22年分の家事事件件数を見ると遺産分割事件の件数は、全国で1万849件。
また平成26年1月から12月までの1年間に、全国で作成された遺言公正証書は、ついに10万件を超え、10万4,490件に達しました。
遺言公正証書の作成件数も増加
少子高齢化の中で相続・遺言に対する関心が高まっており、遺言公正証書の作成件数が年々増加傾向にあり、平成26年は前年比8,470件の増加となりました。
なお、任意後見契約公正証書の作成件数も、前年比705件増の9,737件となっています。
「うちの子供たちは仲が良いから大丈夫」
「いつも子供たちと話をしているから問題ない」
という方もいらっしゃいます。
遺言が必要な人はどんな方なのでしょうか?
以下に一つでも当てはまる方は、ぜひ遺言も含めた準備をお勧めします。
・ お子様のいないご夫婦
・ 長年連れ添った相方がいるが入籍していない
・ よく尽くしてくれる長男の嫁に財産をあげたい
・ 音信不通の子供がいる相続人がいないので財産を寄付したい
・ 会社を継ぐ長男に事業用資産を相続させたい
・ 障害を持つ子供がいる
・ 暴力をふるう息子に相続させたくない
・ 子供たちの仲が悪い
・ 先妻との間に子供がいる
・ 認知したい子供がいる
・ 自宅以外の財産がない
・ 寝たきりになったときに世話をしてくれる人がいない
・ 相続人が多い
・ 万が一のとき入所したい施設がある
・ 延命治療は受けたくない
・ 脳死後の臓器移植を考えている
遺言を書くときの注意点
御夫婦・子供2人の場合
「夫死亡時は妻に1/2 長男・長女にそれぞれ1/4…」のように記載することも多いのですが、男性が早く亡くなる確率が高いとはいえ逆もありえます。
この場合のことも想定し、
もし、妻が先に亡くなったもしくは相続放棄をした場合、長男に自宅(土地・建物)、長女に預貯金・株式の全てを相続させる。」
のように具体的な遺言をすることをおすすめします。
同時に奥様にも同様に遺言を書いていただくことがより効果的です。
また、遺言執行者を指定しておくと相続手続きがしやすくなりますので指定することをお勧めします。金融機関や不動産の手続きがすぐにできます。
加えて、付言事項に「なぜこのような遺言を残したか」について追記することで、よりいっそう遺言者の想いが伝わると思います。
残されたご遺族がもめないような遺言を遺しましょう。(執筆者:寺岡 克彦)