解説
2014年の国外財産調書制度を皮切りに、様々な富裕層に対する包囲網が敷かれ始めています。
1. 既に確定している制度
国外財産調書制度
5000万円を超える国外財産を保有する個人は保有財産の内容等を記載して税務署に提出(2014年から)
国外転出時課税制度
1億円以上の有価証券を保有している場合、日本を出国時に譲渡したとみなして課税(2015年7月から)
超富裕層監視制度
富裕層を区分して各国税局で監視する(2015 年7 月から)
財産債務調書制度
所得2000万円超かつ総資産3 億円以上または有価証券等1億円以上を保有する個人は国内外を問わず、財産の内容を記載して税務署に提出(2016年から)
自動情報交換制度
各国の税務当局とお互いの居住者の銀行口座の残高、受取配当の額などの情報を交換する(2018年から)
2. 今後見直し予定の制度
5年ルールの見直し
相続人と被相続人が5 年間海外に住めば、国外財産に対しては相続税は課税されない制度が見直しされる見込み。
国家間の富裕層に関する情報共有
富裕層の海外財産を明らかにするため、二国間のみならず、国際的な情報交換のための協調体制を構築中。
要するに…
リーマンショック以降世界的な不況によって、各国の財政状態が悪化し、その結果富裕層や多国籍企業の課税逃れに対する批判が高まりました。そしてこの流れに追い打ちをかけたのが、今年発生したパナマ文書問題です。
今後ますます富裕層に対する締め付けは厳しくなると思われます。(執筆者:小嶋 大志)