
健康保険証は2024年12月2日に、新規交付や再交付が停止になりましたが、ここから最長1年の経過措置期間が終わるまでは、引き続き使用しても良いのです。経過措置期間が終わった後は原則として、健康保険証の代わりにマイナ保険証(健康保険証の利用登録を済ませたマイナンバーカード)を使用します。
一方でマイナンバーカードを持っていなかったり、健康保険証の利用登録を済ませていなかったりして、マイナ保険証を使用できない方は、健康保険証の代わりに資格確認書を使用します。マイナ保険証を使用するようになって、マイナンバーカードを持ち歩く機会が増えると、おそらく紛失する方が現在より多くなるのです。
またマイナンバーカードが再交付されるまでに、1~2か月くらいの期間がかかると、すぐに必要な時などに困ると思います。
そこで政府は2024年12月2日に特急発行・交付制度を導入し、再交付の申請から原則1週間で、新たなマイナンバーカードを受け取れるようにしたのです。この制度によってマイナ保険証は早く再交付されますが、次のように資格確認書が早く再交付される制度や、マイナンバーカードの紛失防止になる制度もあるのです。

マイナンバーカードを紛失した時の手続き
マイナンバーカードを紛失した時は、24時間365日対応の次のような電話番号に電話をかけ、マイナンバーカードの利用を一時停止するのです。
【マイナンバー総合フリーダイヤル(無料)】
0120-95-0178
【個人番号カードコールセンター(有料)】
0570-783-578、050-3818-1250
また自宅の外で紛失した時は、警察に遺失届(盗難の場合は被害届)を提出し、受理番号などを控えておきます。これらが終わったら市区町村役場に行って、紛失・廃止届を提出しますが、提出の前にマイナンバーカードが見つかった時は、市区町村役場で一時停止を解除すると再び利用できます。
紛失・廃止届を提出した方が、マイナンバーカードの再交付を希望する時は、市区町村役場で再交付の申請を実施します。この再交付の申請を実施してから原則1週間で、新たなマイナンバーカードを受け取れるというのが、特急発行・交付制度の特徴になるのです。
そのため再交付の申請を実施する前段階の手続きが遅くなると、新たなマイナンバーカードを受け取れるまでに、原則1週間以上の期間がかかる可能性が高くなります。またマイナンバーが漏洩して、不正に用いられる恐れがあると認められる時は、本人の申請または市区町村長の職権による、マイナンバーを変更する手続きが加わります。
特急発行・交付制度を利用する時の注意点
特急発行・交付制度を利用する時の注意点としては、市区町村役場に紛失届を提出してから原則30日以内に、再交付の申請を済ませる必要があるため、申請できる期間に制限があります。
また住所地の市区町村以外で再交付の申請を行った時は、新たなマイナンバーカードを受け取れるまでに、原則1週間以上の期間がかかる場合があります。これらよりも注意すべきだと思ったのは、特急発行・交付制度を利用する時の手数料です。
マイナンバーカードを再交付する時の一般的な手数料は、1,000円(2種類の電子証明書を付けない場合は800円)になります。
一方で特急発行・交付制度を利用して再交付する時の手数料は、2,000円(2種類の電子証明書を付けない場合は1,800円)になります。マイナ保険証を使用する場合、利用者証明用電子証明書と署名用電子証明書という2種類の電子証明書のうち、前者を付ける必要があるため、ちょうど2倍の手数料がかかるのです。
ただ特急発行・交付制度を利用すると、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)から自宅にマイナンバーカードが送付されるため、市区町村役場に取りに行く手間や時間を省けます。また本人の責めによらない理由(例えば天災)などで、マイナンバーカードを紛失した時には、再交付の手数料が無料になる場合があるため、必ず手数料がかかるわけではありません。
資格確認書を紛失した時に早く再交付される制度
資格確認書を交付や再交付するのは、保険者(保険料を徴収したり、保険給付を支給したりする公的医療保険の運営主体)になります。自営業者、フリーランス、無職の方と、その親族などが加入する国民健康保険の保険者は、次のような2種類に分かれます。
・自治体(市区町村、都道府県)
・国民健康保険組合(同種・同業に従事する者で組織される団体)
後期高齢者医療(75歳以上の方、一定の障害があると認定された65歳以上75歳未満の方が加入)の保険者は、各都道府県の広域連合になりますが、資格確認書は市区町村が交付します。自治体の国民健康保険や後期高齢者医療に加入する方が、資格確認書を紛失した時は、本人や同世帯の親族が市区町村役場に行くと、その日に再交付できる場合が多いのです。
このような即日交付は特急発行・交付制度よりも早くに、資格確認書が再交付される制度になります。また普段はマイナ保険証を使用する方が、これを紛失した時に申請すると資格確認書が交付されるため、資格確認書の即日交付はマイナ保険証を使用する方にもメリットがあるのです。
会社員とその扶養親族などが加入する健康保険の保険者は、次のような2種類になります。
・健康保険組合(主に大企業の会社員とその扶養親族が加入する、組合健保を運営している)
・全国健康保険協会(主に中小企業の会社員とその扶養親族が加入する、協会けんぽを運営している)
これらが交付した資格確認書を紛失した時は、資格確認書が再交付されるまでに、1週間以上の期間がかかる場合が多いのです。そのため自治体の国民健康保険や後期高齢者医療と違って、特急発行・交付制度を利用すると、資格確認書よりもマイナ保険証の方が早く受け取れる可能性があります。
なお健康保険組合と国民健康保険組合は、資格確認書を再交付する時に手数料を徴収しており、その金額が特急発行・交付制度の手数料を上回る場合があります。
マイナンバーカードの紛失防止になる制度
保険者に対して健康保険証の利用登録の解除を申請すると、マイナ保険証は使用できなくなりますが、保険者から資格確認書が交付されます。
また要配慮者(障害者手帳の交付を受けている方、要介護認定を受けている方など)が申請した場合、マイナ保険証を使用できる状態であっても、保険者から資格確認書が交付されます。いずれかの方法で資格確認書を入手すると、マイナンバーカードを持ち歩く機会が減るので、この紛失防止になるのです。
マイナンバーカードに付けられた電子証明書をスマホに搭載する、スマホ用電子証明書搭載サービスも紛失防止になります。その理由としては利用者証明用電子証明書をスマホに搭載すると、スマホだけで医療機関の受付が可能になるため、マイナンバーカードを持ち歩く機会が減るからです。
今のところはコンビニで住民票などを交付できても、医療機関の受付では使用できないのですが、2025年9月からはスマホだけで受付が可能になる見込みです。ただスマホ用電子証明書搭載サービスを申込する時は、原則として15歳未満の方には発行されない署名用電子証明書を利用するので、実質的な年齢制限があります。