所得税は、1月1日から12月31日の1年間で生じた所得に対して課される税金なので、所得税対策は基本的に年末までに講じる必要があります。
年をまたいでしまうと、節税効果の減少や、効果が得られなくなる節税手法もありますので、今回は年末までに確認すべき所得税対策のポイントをご紹介します。
社会保険料はその年に支払った分が控除対象になる
国民年金や国民健康保険の保険料は、支払った金額に応じて所得金額から社会保険料控除として差し引くことができます。
所得控除の一つである生命保険料控除は、支払った保険料の一部しか控除対象にならないケースもありますが、社会保険料控除は支払金額がそのまま控除対象となるため、節税効果が高いです。
一方、社会保険料控除の対象となるのは、その年に支払った保険料に限られ、未払いとなっている金額を控除額に含めることはできません。
たとえば、令和6年中に支払うべき社会保険料が全額未払いとなっている場合、令和6年分の社会保険料控除額はゼロになりますが、未払いとなっていた昨年以前の保険料を令和6年中に支払ったときは、その支払金額も含めて令和6年分の社会保険料控除額とすることができます。
また、生計を一にしている子どもの国民年金保険料を代わりに支払っている場合には、その保険料も控除額の対象となりますので、控除額を計算する際は計上漏れに注意してください。
株式の売却益に対する課税は年単位で判断する
上場株式を売却した場合、売却代金は譲渡所得の対象となり、売却益に対して譲渡所得税が課されます。
売却益は1月から12月までの1年間のトータルで判断しますので、年の途中で利益が生じている方は、年末までに見込み損失を確定させることによって、年間の売却益を圧縮させることができます。
証券会社の特定口座(源泉徴収有)で株式売買を行っている方は、証券会社が損益計算だけでなく、利益に対する税金の支払いも行うため、基本的に確定申告は不要です。
しかし、異なる証券会社の損益は確定申告でないと通算できませんので、利益と損失が発生している証券会社がある場合には、確定申告をすることも検討してください。
医療費控除は家族の医療費も含まれる
医療費控除は、その年に支払った医療費の合計額で控除額を計算します。
令和6年に治療を受けたとしても、医療費を支払ったのが令和7年になる場合、その医療費は令和7年分の医療費控除の対象です。
医療費対象になる医療費は、納税者だけでなく、配偶者や子どもなど生計を一にする親族のために支払った医療費も含まれます。
ただし、その年に発生した医療費から原則10万円を差し引いた部分が医療費控除額となるため、10万円を超える医療費を支払っていないと基本的に医療費控除を受けることはできません。
<医療費控除の計算式>
医療費-保険金等の補填(ほてん)金額-A=医療費控除額
A:次のいずれか低い金額
10万円
総所得金額等 × 5%
所得金額が200万円以下の方については、支払った医療費が10万円以下でも医療費控除を受けられる可能性がありますが、所得金額が200万円を超えている方は医療費が10万円を超えるか確認してください。
「年末調整」を分かりやすく解説!適用できそうな控除の確認、必要書類の準備をして節税に備えよう