日本の国の歳入は年間約110兆で、内訳は所得税18%、消費税20%、法人税13%、相続税・揮発油税・酒税等9%、その他9%、公債金(借金)31%です。
所得税は、税金を負担する力=「担税力」に応じて負担する仕組みで、高所得者には高い税率、低所得者には低い税率となっています。高所得者に厳しい制度です。
所得税の負担状況、所得税率、所得税計算時の控除について解説します。
【1】所得額の分布と税額、所得額に対する割合
国税庁、令和4年(2022)実績(給与者と申告者)を筆者加工
(1) 所得階層別の状況
<グラフ1>所得階層別の人数割合
<グラフ2>所得階層別負担割合
所得税を負担しているのは約5,200万人。
約3,300万人(65%)は所得額500万円未満で、所得税全体約18兆円のうち約3兆円(17%)を負担、約360万人(7%)は、所得額1,000万円以上で、所得税 約10兆円(55%)を負担しています。
(2) 所得税の平均税額、所得額に対する割合
<グラフ3>「所得階層別(所得額9区分)の所得税額平均」と「所得額に対する割合」
★所得額=収入-収入から差し引かれる金額(給与所得控除、公的年金等控除)
赤色の折れ線グラフは、「所得額に対する割合」で、所得500万円までは7%以下、2,000万円超えると急激に割合が増え20%、最大40%ほどになります。
【2】所得税の税率は超過累進税率
所得税は<グラフ4>赤線の様に超過累進税率で階段状に設定されています。
所得税=課税所得*税率
「例」課税所得695万円
195万円×0.05+(330-195)万円×0.1+(695-330)万円×0.2=96.25万円
青線の折線グラフは、「課税所得額に対する割合」で、課税所得額695万円で14%、900万円で16%、1,800万円で24%、課税所得が増えるほど45%に近づきます。
★課税所得=所得額-所得控除(基礎控除や社会保険料控除など15種類)
【各々の額に対する「所得税の割合」の関係】
実収入に対する割合<所得額に対する割合<課税所得に対する割合
【3】所得税に影響するのは 「収入から差し引かれる金額」と「所得控除」
(1) 収入から差し引かれる金額(給与所得控除、公的年金等控除)は、「必要経費」として控除されますが、給与者と年金者で計算式は異なります。
★所得額=収入-収入から差し引かれる金額(給与所得控除、公的年金等控除)
<表1>給与所得控除
<表2>公的年金等控除
<グラフ5>所得控除額
<グラフ6>控除の割合
・ 控除額や控除割合は、給与者と年金者で差は少ないですが、次の傾向がみられます。
410万円以下では 年金者>給与者
660万円以上では 年金者<給与者
・ 低所得者の控除割合は高く、高所得者の控除割合が低く、高所得者に厳しい制度になっています。
(2) 所得控除(基礎控除や社会保険料控除等15種類)は、税負担の軽減目的で、各人の事情や所得額で変わります。
★課税所得=所得額-所得控除(基礎控除や社会保険料控除等15種類)
1:雑損控除・・・災害、盗難、横領による損失に対し一定額を所得控除
2:医療費控除 … 一定額の医療費を支払った場合の所得控除
3:社会保険料控除 … 社会保険料として支払った金額全額を所得控除
4:小規模企業共済等掛金控除 … 小規模企業共済契約として支払った掛金額全額を所得控除
5:生命保険料控除 6:地震保険料控除 … 保険料を払った場合、一定額を所得控除
7:寄附金控除 … 国や地方公共団体、特定の法人などへ寄附をした場合の所得控除
8:障害者控除 … 障害のある方の特例として、一定額を所得控除
9:寡婦控除 10:ひとり親控除 … 寡婦、又はひとり親に該当する場合、一定額を所得控除
11:勤労学生控除 … 納税者自身が勤労学生である場合、一定額を所得控除
12:配偶者控除 13:配偶者特別控除 … 夫婦の一方が正社員、もう一方がパートで、正社員が受ける所得控除 一定の要件に当てはまる場合、「配偶者控除」又は「配偶者特別控除」どちらかを所得控除
14:扶養控除 … 一定の要件に当てはまれば、扶養している親族に対して、一定額を所得控除
15:基礎控除 … 全ての方に適用される所得控除で、合計所得金額2,400万円超で減額、2,500万円超で停止
所得税は高所得者に厳しい制度
・ 所得税は、税金を負担する力=「担税力」に応じて負担する仕組みで、高所得者には高い税率、低所得者には低い税率となっています。高所得者に厳しい制度です。
・ 所得税を負担している約3,300万人(65%)は所得額500万円未満で、約17%を負担、約360万人(7%)は、所得額1,000万円以上で、約55%を負担しています。
・ 所得税の税率は超過累進税率で階段状に設定されています。課税所得額に対する割合で、課税所得額900万円で16%、1,800万円で24%、課税所得が増えるほど45%に近づきます。
・所得税に影響するのは 「収入から差し引かれる金額(給与所得控除、公的年金等控除)」と「所得控除(基礎控除や社会保険料控除など15種類)」です。
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