自分で健康保険料や厚生年金保険料を払わないために、扶養から外れないように調節して働いているパートやアルバイトの方も多いかと思います。
しかし、パートやアルバイトの方であっても、一定の条件を満たした場合は、健康保険や厚生年金保険に加入しなければなりません。
国はこの健康保険や厚生年金保険の加入者を増やす方向性であるため、だんだんと健康保険や厚生年金保険の加入要件を拡大させています。
今回は、パートやアルバイトの方が収入がどのくらいから社会保険に加入して、厚生年金料や健康保険料を払わなければならないかについて解説していきます。
健康保険や厚生年金保険の加入要件
健康保険や厚生年金保険の加入要件を満たした労働者は、健康保険や厚生年金保険に加入しなければなりません。
以下は、健康保険や厚生年金保険の加入要件になります。
(1) 常用雇用者の健康保険や厚生年金保険の加入要件
まず、社会保険の適用事業所で常用的に使用される労働者は、国籍、性別、年金の受給の有無にかかわらず健康保険や厚生年金保険に加入しなければなりません。
社会保険の適用事業所で常用的に使用される労働者であれば、パートやアルバイトなどの短時間労働者であっても健康保険や厚生年金保険の被保険者です。
(2) 常用雇用者以外の健康保険や厚生年金保険の加入要件
社会保険の適用事業所に使用されていて、勤務が常用的でなかったとしても、以下の条件を満たしたパートやアルバイトなどの短時間労働者も健康保険や厚生年金保険の被保険者になります。
・ 1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所の同様の業務に従事している常用雇用者の4分の3以上あること
また、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が常用雇用者の4分の3未満であっても、以下の条件をすべて満たしたパートやアルバイトなどの短時間労働者も健康保険や厚生年金保険の被保険者です。
・ 「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」「国・地方公共団体に属する事業所」に勤務する労働者であること
・ 週の所定労働時間が20時間以上であること
・ 2か月を超える雇用が見込まれること
・ 賃金の月額が8万8,000円以上であること
・ 学生でないこと
特定適用事業所とは?
特定適用事業所とは、1年のうち6か月以上適用事業所の厚生年金保険の被保険者、共済組合員(短時間労働者は含まない)の総数が現在は101人以上見込まれる企業などのことです。
2024年10月からは、特定適用事業所の条件が厚生年金保険の被保険者、共済組合員の総数51人以上になり、さらに今後この総数の要件を撤廃しようという動きがあります。
これからは社会保険の加入者を拡大していく方向
最近では、106万円の壁という言葉をよく聞くと思います。
賃金の月額が8万8,000円以上(年収約106万円)以上になった場合に社会保険に加入しなければならないことを、106万円の壁といいます。
この106万円の壁のために国は助成金の支給をしていますが、社会保険の加入者を拡大していく方向で進んでいるのです。