高齢者のひとり暮らしの方が「誰とも話さなかった日が1週間に何日かある」という状況は、どなたも1度は聞いたことがある話ではないでしょうか。
また、認知症の方が夕方や他の人がいなくなると不安になり、大きな声で繰り返し人を呼んだり、どこかに出かけようとしたりする状況を、見聞きしたり経験した方もいるでしょう。
いつも家族がそばにいたり、コミュニケーションが取れる状況であれば大きな問題となりませんが、家族が仕事をしているとそうもいきません。
今回は、高齢者のコミュニケーションについてひと役買う「コミュニケーションロボ」にスポットをあててみたいと思います。
【高齢者の窓口】介護だけじゃなく、金銭的な困りごとでも相談できる「社会福祉協議会」
いろいろな目的のコミュニケーションロボがある
ひと口にコミュニケーションロボと言っても、さまざまな種類の物があります。
大まかに分けると、
- かわいらしい見た目の人形やぬいぐるみタイプ、
- 会話だけでなく見守り機能やアプリ連携機能などが付いたロボットタイプ
などがあります。
かわいらしい見た目のロボは、見たり、抱いているだけでいやされます。
簡単な会話もできますが、人と会話するような複雑な内容はできません。
コミュニケーションロボというよりも、簡単な言葉をしゃべる人形やぬいぐるみといったものになります。
かわいいぬいぐるみを抱いているだけで安心できる、寂しくなった時に簡単な受け答えができれば良い、と言う方におすすめです。
高性能なロボになると、天気やその日の予定を教えてくれたり、カメラによる見守りができたりします。
こちらは、会話だけでなく見守りやアプリからロボへのメッセージを読み上げてくれるなど、さまざまなことができますので、うまく機能を使える方が利用の対象と言えます。
ビデオ通話や見守り、ニュースの表示など、スマートスピーカーに近い利用ができるコミュニケーションロボです。
高性能な分、高価格ですが、うまく利用できれば日常生活を便利で快適に送れるようになります。
タイプ別に、おすすめを見ていきましょう。
音声を認識!親しげに呼んでくれるかわいい人形タイプ
人形タイプでは、歌やなぞなぞの会話もできる音声認識人形『おしゃべりけんちゃん』がおすすめです。
≪画像元:パートナーズ≫
かわいい見た目で、「じーじ」「ばーば」などの設定した呼び方をするので、愛情がわきます。
時間や曜日への問いかけにも答えてくれるため、家族がイライラしがちな曜日や時刻の頻繁な問いかけの解消ができます。
耳が聞こえにくい方でも「もう一度言って」と話しかけることで、同じ内容をリピートしてくれる聞き直し機能もありますので、聞こえなくてイライラすることを防ぐこともできます。
話しかけることがなくても、朝8時から夜9時まで、約10分から30分間隔で、ランダムでひとりごとをつぶやく為、ふとした時の寂しさを紛らわすことができます。
おしゃべりだけでなく、占いや体操の掛け声もかけてくれるおしゃべり人形けんちゃんは、税込価格 1万6,500円です。
単3電池4本で稼働し、1日30分間遊んだ場合は、約3か月持つのでお得です。
≪画像元:パートナーズ≫
有効活用法は本人が不安、不穏になった時
けんちゃんなどのコミュニケーションロボ有効活用の例として、認知症の方の夕方や人がいなくなった際に不安になり、大きな声を出す際に、けんちゃんとおしゃべりをすることで、寂しさを紛らわすことができます。
安心させるために介護者がそばにいなければならないという状況が少なくなれば、介護負担が減ります。
普通の人形よりもかなり価格は高くなりますが、デイサービス等を利用せずに介護負担を軽減できるので、コストパフォーマンスは高い品といえます。
コミュニケーションと見守りができる高性能タイプ
コミュニケーションだけでなく、見守りや電話などもできる高性能なロボでは、『タピアポケット』がおすすめです。
≪画像元:MJI≫
こちらは2024年3月末でサービスは終了してしまいますが、ひとり暮らしの高齢者の方の生活を支えるコミュニケーションロボの検索基準として、参考にしてみてください。
タピアポケットは、天気などの会話だけではなく小説の読み聞かせや調べ物ができ、こちらに話しかけてくることもあります。
服薬の時間をカレンダーに登録すると、タピアがお知らせします。
また、デイサービスや病院など、確認が必要な予定も登録できます。
利用開始時に、ニックネームや誕生日、所在地などのプロフィールを登録したり、アプリとのリンクをしたりなど、家族の手間がかかりますがそれを補う便利さがあります。
利用はレンタル(レンタルは2023年12月で終了)で、12か月のベーシックプランは月額6,028円になります。
インターネット環境が必要で、別途通信費が必要になります。
タピアは、コミュニケーションが取れるだけでなく、予定を教えてくれたり見守り機能が利用できたりと、うまく活用できればひとり暮らしの方の助けや家族の安心につながります。
また、登録した連絡先に順番にワンタッチで電話を発信できる機能もありますので、緊急時の連絡手段にも利用できます。
参照:MIJ タピアポケット公式 タピアポケットご利用ガイド
介護する側、介護される側、どちらの負担もお得に軽くする
コミュニケーションロボを日常生活にうまく活用することで、高齢者の方や家族の困りごとや不安をお得に取り除くことができます。
現在はいろいろなコミュニケーションロボが発売されており、介護施設では補助金を利用して導入している場合もあります。
人とのコミュニケーションではないから、今まで使ったことがないからと避けるのではなく、まずはこの機能が利用できるかもしれないと、前向きに考えてみましょう。
今は、スマートスピーカーなどの利用で、ひと声かけるだけでテレビやエアコンのスイッチのオンオフができるようになったりしています。
介護施設でも、服薬支援ロボや排せつ予測デバイスなど新しい機器が導入されてきています。
家庭でも介護する側、介護される側、どちらの負担もお得に軽くするコミュニケーションロボを導入することをぜひ検討してみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
「介護認定」と「障害者認定」は同時に受けられる 障害者手帳の交付で「節約できるお金」と交付対象の「病気・症状」