クレジットカードの適正枚数がどの程度かという設問は古くからあります。
今回はやや角度を替え「物理的な」券面の枚数を減らす方法を考えます。
プラスチックカードの枚数を減らすためには、キャッシュカード等も無関係ではありません。
カード解約も方法のひとつですが、それだけではありません。
お財布に入れるカードを減らしたい悩みにお答えします。
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クレジットカードが多くて困る理由
「クレジットカードが多くて困る」といってもその理由は様々で、解決方法もそれぞれ異なります。
この整理から始めます。カッコ内は、対策の方向性です。
必ずしも「解約」が正解ではありません。
- 管理が大変(一部解約し、数枚のカードに集約する)
- ポイントが失効してしまう(ときどき共通ポイントに移行すればいい)
- 不正利用が心配(最近はオンラインの不正が多いため、カードを減らしたからといって直ちに不安が解消するわけではない)
- 盗難・紛失が心配(デジタルカード化)
- 年会費が掛かる(今どきスタンダードで年会費の掛かるカードは解約が正解)
- 支払日が複数に分散する(10日、または27日のカードに集約する)
- 財布に入れたいのに入らない(キャッシュカードと機能を集約する)
- その他ポイントカード等のプラスチックカードが多い(スマホアプリに移行)
管理が大変なら、解約して機能を集約する
カード枚数の多さ自体は、ただちにマイナスとは言えません。
ユーザーが管理できていて、すべてを使いこなしている限りは、何枚あってもいいのです。
「3枚程度が妥当」という見解はよく見かけますが、人の管理能力に勝手に制限を掛けては失礼だと感じます。
しかし、数を管理できないことを自覚しているなら、利用頻度の低いカードを解約したほうがいいでしょう。
整理にあたり気をつけたいのは、公共料金その他固定費の引落しに利用しているメインのカードが優秀だとは限らないということです。
古いカードで、還元率も低いものかもしれません。
利用頻度自体も見直して、定期的に入れ替えたほうがいいかもしれません。
整理に当たり悩みやすいのは、「特定の商業施設で割引があるカード」をどうするかではないでしょうか。
「特定商業施設に必ず行くのだが、行く頻度が低いし、他の用途で使う気はない」場合、悩みます。
悩んだときは、年会費徴収の有無で決めればいいと思います。
年会費を取られるのなら、必ず行く商業施設であっても元は取りづらいものなので解約していいでしょう。
ポイント失効が怖いなら共通ポイントに移行する
最近は、さまざまなクレジットカードのポイントプログラムが共通ポイントに移行できます。
年に1回でも、たまったポイントを移行していれば、そう簡単には失効しません。
移した先の共通ポイントについては、使っていれば(ためていれば)失効しないものが大部分です。
この点dポイントだけ例外ですが、それでも有効期限4年と長くなっています。
共通ポイント移行以外の簡便な利用方法としては、「カード代金に充当(キャッシュバック)があります。
ポイント交換より目減りする場合が多いですが、三井住友カードのように等価のカードもあります。
三井住友カードの場合、目減りするポイント交換より有益です。
カードを減らしても不正利用の根本的解決にはならない
かつてはカード不正利用の手口といえばスキミングでした。物理的に情報を盗んでいく手段です。
主に海外で、カードの磁気情報を読み取られ、悪用された時代がありました。
現在は、オンライン不正利用が主です。
フィッシング等なんらかの方法で入手した個人のカード情報と、ログイン情報の両方を使って、換金性の高い商品をオンライン決済されてしまうわけです。
このような時代においては、カードを減らしても根本的解決にはなりません。
確かに日頃使わないカードを減らせば、不正利用に気づきやすくなるかもしれません。
減らしすぎると、実際に不正利用の被害を受けた際に、決済する他のカードがなくて困ることも考えられます。
スマホから情報を漏らさない対策
最近のカード利用は、スマホアプリが重要な役割を果たします。
- ログインパスワードがランダム設定される場合、その設定を利用する
- 自分で設定するパスワードの場合、生年月日、電話番号、郵便番号等の類推可能な情報を入れない。そして、定期的に入れ替える
- 生体認証を使える場合、なるべく設定する
クレジットカードの選び方のヒント
これらのカードの場合、とりわけスマホアプリが重要な役割を果たします(番号を確認する等)。
- 券面に番号のない、ナンバーレスカードを選ぶ
- 券面のない、デジタルカードを選ぶ(後述)
アプリへのログインは、利便性を追求すると安全性が落ちる関係にあります。
かといってログイン情報を一切記録させず、毎回ID、パスワードを一から打ち込む(しかもすべてのカードで変える)となると大変です。
ログインが大変になると、不正利用への気付きも遅れるので、ログイン自体はしやすいほうがいいでしょう。
偽物のサイトに個人情報を入力させられてしまう「フィッシング」には気をつけましょう。
クレジットカードの枚数を減らす方法
次に、解約以外でカード枚数を減らす具体的な方法を見ていきます。
プラスチックカードの枚数自体が減ればいいのです。
その1:デジタルカード活用
デジタルカード(バーチャルカード)は券面の存在しないカードであり、盗難・紛失の心配がありません。
キャッシュレスの発達により、券面のないカードも、オンラインのみならず実店舗で利用できるようになっています。
メインのカードとして選ぶには躊躇するかもしれませんが、サブカードとしては悪い選択肢ではありません。
・三井住友カード(CL)
・PayPayあと払い
・Visa LINE Payクレジットカード(p+)カードレスデザイン
・セゾンカードデジタル(ただしプラスチックカードも送られてくる)
PayPayあと払いはクレジットカードという認識のない人が多いでしょうが、「PayPayカードのカードレス版」です。
プラスチックカードを持たずに、PayPayあと払いだけ持つこともできます。
Visa LINE Payクレジットカード(p+)は、LINE Payに組み合わせて月500ポイントを上限に、5.0%還元のスグレモノです。
券面のあるタイプも選べますが、LINE Payで使うのが最大のメリットなので、券面は不要でしょう。
その2:クレジットカードとキャッシュカードを統合
キャッシュカードもアプリにできれば持たなくてよくなりますが、現状カードレスかつ無手数料で使えるアプリがあるのは「セブン銀行」「ローソン銀行」程度です。
クレジットカードとキャッシュカード機能が1枚に統合されていれば、物理的なカード枚数を減らせます。
古くからこのタイプのカードは存在していますが、銀行系カードの性質上クレジット機能に目立つものがなく、主流にはなりませんでした。
・三井住友Oliveフレキシブルペイ
・イオンカードセレクト
・楽天銀行カード
2023年登場の三井住友Oliveフレキシブルペイは画期的なカードです。
金融総合プラットフォームとして機能し、デビットカード、ポイントカード(決済用)の機能も有しています。そしてナンバーレスなので安全性も高くなっています。
さらにゴールドカードの場合、年間100万円以上利用で年会費永年無料、実還元率1.5%のため多くのカードよりずっと優れています。
銀行一体型クレジットカードが、通常のタイプより機能面で充実している珍しい存在が、イオン銀行一体型の「イオンカードセレクト」です。
電子マネーWAONへのチャージは通常ポイント対象外ですが、イオンカードセレクトのオートチャージなら、ポイント対象でWポイントとなります。
他には「楽天銀行カード」が楽天カードと同等の性能を持っているのでいいでしょう。ただし国際ブランドはJCBのみです。
その3:自宅にしまい込む
デジタルカードは券面がないため、不正利用の心配が多少減りますが、まだ少数派です。
ご自身のカードを擬似デジタルカードにしてしまいましょう。
カード券面を自宅にしまい込んでしまうだけです。
筆者のメインカードの1枚はエポスゴールドカードですが、このカード、持ち出すことはほぼありません。
このカードは次のキャッシュレスで使いこなせるので、筆者にとっては疑似デジタルカードなのです。
- モバイルSuica(えらべるポイントアップショップ登録でチャージがポイント3倍)
- au PAY(月5万円までチャージ可。チャージでポイントも付く)
- 楽天Edy(楽天カードより有利)
- オンラインチャージ(コメダ、カルディ、ドトール等)
- 公共料金引落し(えらべるポイントアップショップ登録でポイント3倍)
スマホのタッチ決済や、QRコード決済のEpos Payも利用可能ですが、得にならない(カード直接決済と比べ付加価値がない)ので一切使いません。
その他、独自の経済圏の中核をなすカードには意外と「持ち出す必要のない」傾向があります。
以下の通りです。カッコ内は具体的な利用方法です。
・楽天カード(楽天ペイ、楽天Edy)
・dカード(d払い、iD)
・au PAYカード(au PAY)
しまい込んだカードのICチップにハサミを入れてしまえば盗難対策にもなりますが、そこまではまだ決意できません。
その4:ポイントカード、店舗のプリペイドカード等はアプリへ移行
クレジットカード以外で、いまだに財布のスペースを、共通ポイント等のポイントカードが占めていませんか。
共通ポイントは「ポイントカード一体型クレジットカード」の段階もすでに通り越し、現在、スマホアプリで管理する時代です。
減らしたければ積極的にアプリに移行しましょう。
なかなかアプリが登場しない存在として、ドトールコーヒーの「ドトールバリューカード」、コメダ珈琲の「コメカ」などチェーン店のプリペイドカードがあります。
このうちドトールバリューカードはポイント還元率も高い優秀なカードですが、ドトールコーヒーではキャッシュレスのキャンペーンが常にあるため、意外と手放しても損しないはずです。
クレジットカードを解約して減らすのもひとつの方法ですが、それ以外にもさまざまな方法があります。
特に、券面をしまい込んでしまっても困らないことが増えているので、この方法もおすすめです。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
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