高齢になっても毎日の楽しみといえば食事です。
楽しい食事の時間ですが、高齢になると食べる力や飲み込む力である嚥下機能が弱くなってきます。
嚥下機能が低下してくると、食べ物や唾液などが食道ではなく気道に入ってしまう「誤嚥」が起こることがあります。
嚥下機能が低下していると、気管に入った物を出す咳やむせの能力も弱くなっています。
咳やむせで出せなかった食べ物と一緒に口腔内の細菌が肺に入り、誤嚥性肺炎になってしまう可能性があります。
このような誤嚥性肺炎は、令和3年の死因第6位になっています。
誤嚥性肺炎を防ぐ方法の1つは、その方にあった食形態を提供し誤嚥を防ぐことです。
今回は、高齢者の食形態とおすすめの調理方法や介護食を紹介します。
参照:厚生労働省(pdf) 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況 統計表 第10表
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摂食・嚥下機能の状態にあった食事とは
摂食・嚥下機能の低下には色々な段階があります。
食事もそれぞれの段階に合った、食形態があります。
摂食・嚥下機能に合った、食形態の判断は、専門職が行うことが望ましいです。
デイサービスや老健などの施設では、利用者の摂食・嚥下機能に合わせた食形態を提供しています。
【食形態の例】
おかずを細かく切った「刻み食」
おかずやおかゆを、それぞれミキサーにかけた「ミキサー食」
おかずやおかゆをムース状にした「ムース食」
家庭で上記のような食形態を毎食準備するのはひと手間です。
ムース食にいたっては、かなり手間です。
また、ミキサー食は、見た目で何を食べているか分かりにくく、食欲がわきにくい場合もあります。
食べたい・おいしそうと思う見た目のおかずを、できるだけ手間なく作ることができる、おすすめの方法をみていきます。
参照:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2013(pdf)
おすすめ調理器 GIFMO DliSofter
≪画像元:GIFMO DliSofter≫
GIFMOのDliSofter(以下デリソフター)は、家で作った料理や総菜などを見た目や味を変えず、フォークで簡単に押しつぶせるほど、柔らかくすることができる調理器です。
おかずが固い為、決まったおかずや小さくしたおかずしか食べることができなかった方もデリソフターで調理することで、見た目を変えることなく、食べることができます。
他の料理を用意することなく、いつもの料理をおいしく食べることができれば、食べる側にも料理する側にもメリットがあります。
デメリットは、レンコンやゴボウなどの柔らかくなりにくい食材は調理できない点や調理後15分以内を目安に食べることが推奨されている点です。
デリソフターの価格は、税込み価格で5万9,400円になります。
市販のムース食も活用しよう
≪画像元:介援隊≫
見た目も通常の料理に似せてあり、おいしく食べることができるムース食ですが、家で作ることは難しいです。
手軽にムース食を取り入れる方法として、市販のムース食の利用をおすすめします。
市販のムース食は、魚の切り身の形やそれぞれの料理での野菜の色や形になっています。
たけのこの土佐煮や筑前煮など、自宅での調理では柔らかくなりにくい料理もある為、メニューのバリエーションに富んでいます。
レンジで温めるだけの商品もあり、手軽に食卓に出すことができます。
目で見て楽しく、硬くて食べにくい食品をおいしく食べることができる市販のムース食は、毎食ではないにしても食事にとりいれたい品です。
市販のムース食、「エバースマイル ムース食」の価格は、399~420円です。
負担の少ない介護食作り
今回は、高齢者の食形態やおすすめの調理方法や介護食をご紹介してきました。
高齢者の方にとって食事の楽しみは、日常生活の中でかなり重要な要素です。
食事は毎日必要なことなので、食べる人が楽しめるだけでなく、食事を提供する人に負担がない方法をとることが、続けていくポイントになります。
ご紹介した方法以外に、介護食の宅配弁当などもありますので、市販の物をうまく取り入れながら、負担の少ない介護食作りを考えてみてはいかがでしょうか。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
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