日経平均株価の値動きはネットやニュースなどで頻繁に取り上げられており、前日比プラス・マイナスなのかは入手しやすいのです。
しかし、「日経平均株価が高値圏内なのか」もしくは「底値圏内なのか」をおおよそでも把握しておくことは、取引において大切になってきます。
その際の一つの参考となる指標をお伝えします。
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騰落レシオとは
市場の過熱感や強弱感などを見ることで、株価の上昇や下落のタイミングの参考にするためのテクニカル指標です。
値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って算出するため、自分でも計算することが可能なシンプルな指標です。
なお、個別銘柄の動向を見るための指標ではなく、日経平均株価全体の状況を見るための指標です。
短期であれば5日(5日騰落レシオ)「5日間の値上がり銘柄数/5日間の値下がり銘柄数」、中期であれば25日(25日騰落レシオ)「25日間の値上がり銘柄数/25日間の値下がり銘柄数」で見ます。
値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が同じ数であれば騰落レシオは100%となります。
この騰落レシオが120%を超えると相場は過熱しており高値圏と判断でき「売るタイミング」。
一方で、70%を下回ると相場は売られすぎており底値圏と判断でき「買いのタイミング」と言われています。
なお、この騰落レシオは1日だけで見るのではなく一定期間で見るのが一般的です。
騰落レシオの確認方法ですが、証券会社のホームページの「投資情報」の項目や、「騰落レシオ 日経平均」で検索すると、本日分だけでなく直近の騰落レシオも確認できるサイトが検索結果として出てきます。
騰落レシオのメリットと注意点
この騰落レシオのメリットは「分かりやすい」ところです。
騰落レシオの「%」を見るだけで相場の過熱感や強弱感、変化のタイミングを見ることができます。
また、「25日騰落レシオ」は特に注目されており、120%を継続して超えているまたは120%を大幅に上回る状況であれば、一般的に売り圧力がかかりやすくなります。
一方でデメリットは、どのようなテクニカル指標でも言えることですが、例えば騰落レシオが過熱感を示している時でも「必ず下落する訳ではありません」。
一定期間過熱感が続くこともあります。
また、騰落レシオが売られ過ぎの数値となっていても、そのあとの上昇を必ず保証するものではありません。
政治・経済など全世界に影響を及ぼす出来事が起きた場合には売られ過ぎの状況が続くこともあります。
そもそも騰落レシオが100前後を推移しており参考になりにくいこともあります。
あくまで、参考指標の一つとしてお考えください。
しかし、日経平均株価が上昇し続けている時に、まだまだ上昇し続けると思いいわゆる「高値掴み」をしてしまうこともあります。
逆に、まだまだ下落し続けると思っていてもその後の反転により、買うタイミングを逃してしまうこともあります。
気持ちや感情だけでついつい投資判断をしてしまいがちですが、それを抑えてくれる役割もあります。
【参考】騰落レシオ・過去の動き
最近の値動きの中で参考となるものを記載します。
今年の3月10日以降は日経平均株価が下落方向でした。
3月9日時点での騰落レシオ(25日)は132.64を示しており、2月半ばから3月上旬にかけて騰落レシオは120~130を示す日がかなり多くなっており日経平均株価は過熱感があった状況でした。
なお、騰落レシオは冒頭でもお伝えしましたように、値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って算出するため、日経平均株価が前日比プラスになっても騰落レシオが下落することもあります。
また、その逆の場合もあります。
まずは、騰落レシオの使い方について徐々に慣れていくことで高値掴みや底値の目安のおおよそが見えてくるでしょう。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)
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