親の介護については「必要になったら考えよう」と先延ばしにしやすく、公的支援やサービスも多いため「なんとかなるだろう」と思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし介護にかかる「見えにくい出費」は意外と多く、介護が長引けば子どもの生活にも影響が出るくらい大きな出費になることもあります。
今回は、親の介護に使える公的支援以外の節約ワザを紹介します。
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遠距離介護の交通費節約ワザ
親の介護が必要になったとき、子どもが近くに住んでいるとは限りません。
昔は「夫婦の親の介護は夫婦でやる」と考える人が多く、親の介護をきっかけにして親元に夫婦で転居することもありました。
しかし最近は「夫の親は夫、妻の親は妻が介護」と割り切る人が増えています。
地方で暮らす親の介護のために転居することはなく「今週末は実家に帰るから」と遠距離介護で乗り越える傾向があります。
遠距離介護になると交通費の出費があります。
飛行機や新幹線で通うとなれば月4回でも10万円ちかい出費になるでしょう。
遠距離介護の交通費節約ワザはたくさんあります。
飛行機ならば大手航空会社の多くは介護割引を実施しています。
旅行ならば前もって計画をして早期割引を利用することができますが、介護の場合は仕事の都合や体調によって予定がギリギリにならないとわかりません。
介護割引ならば予約の変更も可能です。
新幹線ならば株主優待券を金券ショップで購入しても
新幹線ならば株主優待券を金券ショップで購入して割引を受けることもできます。
しかし介護が始まればこまめに金券ショップに足を運ぶ時間と手間が負担になります。
また、金券ショップでは株主優待券が1枚数千円で売られているため、距離や使い方によってはさほど節約にはならないこともあります。
おすすめはJRジパング倶楽部
おすすめはJRジパング倶楽部です。
年会費が3,840円(個人会員)必要で、入会には男性65歳以上、女性60歳以上の条件があります。
他にも「片道もしくは往復の連続で201km以上利用」と「年間20回まで」という条件がありますが、遠距離介護の場合は条件をクリアできるケースが多いでしょう。
「普通乗車券」「指定席と自由席の特急券」「急行券」「グリーン券」「指定席券」(新幹線のぞみ、みずほの特急料金とグリーン料金は対象外)は、20~30%割引で購入することができます。
参照:JR東日本ジパング倶楽部、日本航空 介護帰省割引
親の介護費用は親の財布から「銀行の代理人カード」
親の介護費用を子どもが負担することは大きな負担です。
親の介護費用は親の財布から出すようにします。
しかし、お金を使うたびに親の財布からお金をもらうことは手間がかかります。
つい面倒になって「自分が立て替えておこう」と考えてしまい、徐々に経済的にも精神的にも介護が負担になってしまいます。
おすすめは銀行で代理人カードを作る方法です。
通常、親の銀行口座のキャッシュカードは口座名義人である親が持っています。
しかし代理人カードは、口座名義人(親)が指名した代理人も持つことができる2枚目のキャッシュカードです。
銀行によって「生計を同一にする親族」や「2親等以内の親族」という代理人指名に条件があります。
いずれの銀行も親自身の意志と手続きが必要です。
代理人カードは、介護する子ども自身がお金を引き出すことができる便利なカードですが、お金の出所は親の口座です。
自分の口座からお金を引き出すときよりも自然と「必要最低限」という意識が働き節約につながるのではないでしょうか。
参照:みずほ銀行 代理人カード
家やマンションを貸して節約「マイホーム借上げ制度」
最近、テレビコマーシャルなどで自宅に住み続けながらお金が借りられる「リバースモーゲージ」という言葉を耳にします。
住み続けながらお金が入れば、家を売らずに介護費用を捻出することができます。
ただ、リバースモーゲージは、最後は自宅を売却して借りたお金を返さなければなりません。
最後は自宅の所有権がなくなるのです。
もしも、介護をきっかけにして子どもと同居したり施設に入ったりして自宅が空き家になるならば「マイホーム借上げ制度」がおすすめです。
リバースモーゲージのように住み続けることはできませんが、家賃収入を得られるため、介護費用の節約につながります。
また、最後まで自宅が売却される心配もありません。
借上げられた自宅は3年契約で定期借家契約の賃貸に出されるため、3年ごとに「自宅に戻ろうか」と検討することができます。
マイホーム借上げ制度は、借り手がみつからない期間も賃料が保証されるため、出費が継続する介護費用に充てやすいメリットがあります。
一方、設定される賃料が相場よりも安かったり、経費がかかったりするデメリットもあります。
親の介護はお金がかかります。
高額療養費制度や介護保険など公的支援も充実していますが、交通費や介護中の自分の食事代などは自己負担になります。
節約しながら頑張ることも大切ですが、親の介護は細く長く続けることが大切です。
お金も心も体にも無理がないように賢く節約ワザを使ってみてはいかがでしょうか。(執筆者:美大卒 式部 順子)
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