相続税は富裕層が支払うイメージの強い税金ですが、亡くなった人が会社員・公務員だった場合など、一般家庭においても相続税を支払う可能性はあります。
そこで今回は、一般家庭で相続税が発生しやすい3つのケースをご紹介します。
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1. 法定相続人の人数が少ない
相続税は亡くなった人の財産に対して課される税金ですが、相続税の申告が必要になるのは全体の1割未満です。
大半の相続において相続税手続きが不要なのは、相続財産が相続税の基礎控除額以内に収まるからです。
相続税には、
3,000万円+600万円×法定相続人の人数
の基礎控除額が設定されており、配偶者と子4人いる家庭であれば、相続税の基礎控除額は6,000万円になります。
相続人の人数が多い家庭ほど控除額は多くなりますが、亡くなった人(被相続人)の相続人1人の場合、基礎控除額は3,600万円しかありませんので、保有財産によっては基礎控除額を超える可能性も十分あります。
2. 死亡保険金・死亡退職金を多く受け取っている
「死亡保険金」と「死亡退職金」は相続財産ではありませんが、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
- 死亡保険金は亡くなったことを原因として受け取る保険金、
- 死亡退職金は現職中に亡くなった際に相続人等が亡くなった人の代わりに受け取る退職金をいい、
双方の金額に対しては「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠が設けられています。
受け取った額が非課税枠以内であれば、それらの金額は相続税の対象にはなりません。
しかし数千万単位で死亡保険金や死亡退職金を受け取った場合、本来の相続財産と合算することで相続税の基礎控除額を上回ることも考えられますので、金額は必ず確認してください。
3. 親や配偶者から相続財産を引き継いだ財産が多い
相続財産は亡くなった人が蓄積した財産だけでなく、親や配偶者などから引き継いだ財産も含まれますので、一次相続で取得した財産が多かった場合は注意が必要です。
相続税の基礎控除額は、平成27年3月31日まで「5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数」と現在よりも控除額が大きく、相続人の人数次第では1億円の財産があったとしても相続税が課されないケースもありました。
ただ現在の基礎控除額は以前の6割程度しかありませんので、前回の相続で相続税が課されなかった家庭でも、今回の相続においては相続税の申告手続きが必要になるかもしれません。
相続財産は相続税の有無に関係なく全部把握すること
相続財産は相続税の支払いの有無に関係なく、基本的に相続人がすべて引き継ぐことになります。
最近はインターネットバンキングなど、相続人が存在を把握しにくい財産も多いですし、相続財産の把握漏れがあると、遺産分割協議書を再度作成する必要も出てきますので注意してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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