- 今年のNISA恒久化議論はこれまでの流れとは違う
- この議論を機に少しでも多くの方にNISAを知ってほしい
- 少しでも多くの方に投資に興味を持っていただき、そして始めてほしい
こんな思いから進捗があるたびに、何度もNISA制度の恒久化について解説してきました。
そして2022年12月16日、ついに令和5年度税制改正大綱が発表され、NISAの恒久化が決定しました。
今回の決定は当初の予想以上に大きな進化となり、全ての投資家にとって朗報であることは間違いないでしょう。
発表された令和5年度税制改正大綱をもとに、NISAの超進化について解説したいと思います。
【岸田首相がNISA恒久化を表明】全投資家注目ニュースに大きな進展あり
一般NISAとつみたてNISAを一本化
現行制度では、
- 一括投資枠としての一般NISAと
- 積立投資枠としてのつみたてNISA
の2つの制度があり、どちらか一方のNISAしか選ぶことができませんでした。
ですが今回の改正により2つのNISAが一本化、一括投資と積立投資を併用することが可能となります。
現行の一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」と、つみたてNISAの役割を引き継ぐ「つみたて投資枠」が合体して新NISAとなります。
一括投資と積立投資の併用が可能となり、投資戦略の幅が広がることは間違いありません。
非課税保有期間を無期限化
現行制度では一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間という非課税期間が設定されています。
これが無期限化されることになりますので、30年でも40年でも非課税運用が可能となります。
投資期間が長くなればなるほど、複利の効果は強くなります。
その強くなった複利の効果を、全て非課税で受け取れるのです。
これだけでも超進化といえると思いますが、改良はこれだけにとどまりません。
口座開設可能期間の無期限化
たとえば現行のつみたてNISAでは、口座開設可能期間が2042年までと決まっています。
つまり始めるのが遅くなればなるほど非課税で投資できる期間、金額も少なくなることになっています。
それが、いつ始めても無期限で非課税運用可能とのことですので、まだ投資を始める余力がない方や、若年層にとってもうれしい進化です。
いつ始めてもいつまででも非課税。
とてもわかりやすい制度に生まれ変わります。
年間投資上限額の拡充
- 成長投資枠については現行制度の2倍となる240万円、
- つみたて投資枠については現行制度の3倍となる120万円
まで年間限度額が拡充されます。
そして先にも解説したとおり、新制度ではこの2つの併用が可能となります。
これによって年間投資上限額が合計360万円となり、モデルとなっているイギリスのISA制度を上回る金額を非課税運用することが可能となります。
現行制度において限度額以上の余力があった方にとってはとてもうれしい話です。
生涯における非課税限度額の設定
これは少し残念な改正ではありますが、高所得者層に対する優遇とならないよう、年間投資上限額とは別に、一生涯における非課税運用限度額が設定されることになりました。
その金額については、1,800万円です。
また、1,800万円のうち、成長投資枠については1,200万円までが生涯限度額となります。
満額使うことを想定すると、少なくとも600万円はつみたて投資枠となる形です。
もちろん成長投資枠を使わずに、全ての枠をつみたて投資枠で使うことも可能です。
その場合は現行つみたてNISAの限度額800万円に対して、2倍以上の額が非課税運用できることになります。
制限があるとはいえ、かなり大きな進化といえるでしょう。
現行の一般NISA、つみたてNISAは2023年12月末で新規買付終了
新しいNISAが開始されるにあたり、現行のNISA制度は2023年12月末をもって新規買付終了となります。
現行制度で投資した枠については、新しいNISAとは別の枠で残せるということです。
今NISAを活用しているからといって、新しいNISAの枠が少なくなるということはなさそうです。
現行NISAでの投資金額に関わらず、新たに1,800万円の非課税枠が使えることはうれしい限りです。
また、現行制度について新規買付は終了となりますが、取り扱いは継続するとのことなので、引き続き一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間の非課税運用が可能となります。
恒久化NISAの活用戦略は無限大
現行制度と違い、投資限度額が大幅に引き上げられました。
現行NISAをめいっぱい活用していた方にとっては、2024年以降の戦略を改めて考える楽しみが増えそうです。
例えばつみたてNISAを満額の年間40万円実施、さらに余力がある場合はクレジットカード積立など、特定口座を活用されている方が多いでしょう。
クレジットカード積立は1つのカードで上限5万円までという限度額があるので、複数の証券会社で投資をされている方も多いはずです。
ですが、つみたてNISAの限度額が年間120万円まで引き上げられるということもあり、これまで複数の証券会社で積立していた分の集中化が想定されます。
各証券会社も、これまで以上に顧客の囲い込み合戦が激しくなるでしょう。
また、これまでの一般NISAとつみたてNISAの併用が可能になるということで、積立+一括投資という選択肢が増えることになります。
例えば、
「つみたて投資枠で年間120万円の積立投資を実践しながら、成長投資枠で高配当株へ投資し、非課税で配当を受け取る」
なんて戦略も現実味を帯びそうです。
いずれにせよ、2024年までさまざまな戦略が世間をにぎわせることになるでしょう。
今後が楽しみでなりません。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)
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