60歳以降も会社員などで厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受給している方がいらっしゃいます。
このように厚生年金に加入しながら受給する老齢厚生年金を在職老齢年金といい、 給与や賞与の額と年金の受給額の合計が一定以上になると、全部または一部の年金が支給停止となるのです。
2022年4月からの年金制度改革による法改正により、60歳から65歳未満の在職老齢年金の支給停止になる基準が変更になりました。
今回は、この年金制度改革での見直しにより有利になった在職老齢年金について、分かりやすく解説していきます。
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2022年4月から在職老齢年金がどのように変わったのか
在職老齢年金は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が一定額を越えると、年金額の一部または全額が減額されます
2022年3月までの在職老齢年金の支給停止基準は、60歳から65歳未満の在職老齢年金と、65歳以上の在職老齢年金で計算の仕組みが異なっていました。
もちろん、65歳以上の在職老齢年金の支給停止基準よりも、60歳から65歳未満の在職老齢年金の支給停止基準の方が厳しかったのです。
しかし、2022年4月からの年金制度改革により、60歳から65歳未満の在職老齢年金の支給停止基準が、65歳以上の在職老齢年金と同じになりました。
すなわち、現在の在職老齢年金の支給停止基準は、年齢にかかわらず同じです。
在職老齢年金の支給停止基準額の計算式
在職老齢年金は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額に応じて、年金額が以下のように支給停止されます。
老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下の場合
年金額は減額されず、老齢厚生年金は全額支給されます。
老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超える場合
支給停止額(月額) = (基本月額+総報酬月額相当額-47万円) × 1/2
支給停止基準額の基になる基本月額とは、老齢厚生年金の年額を12で割った金額です。(加給年金は除く)
総報酬月額相当額とは、 標準報酬月額に、直近1年間の賞与額を12で割った額を足した金額です。
このように、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下なのか、47万円を越えるかによって、老齢厚生年金が減額されるのか、減額されずに全額受給できるかが変わってきます。
厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受給している方が、年金額を減額されないためには、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を越えるかがポイントになります。
そのため、合計額が47万円を越えないように働くのも、1つの方法です。
制度改正で年金額が増えた人も多い
2022年4月からの年金制度改革による法改正により、年齢により異なっていた在職老齢年金の支給停止になる基準がなくなりました。
このことにより、60歳から65歳未満で在職老齢年金を受給していた方は、支給調整される基準がゆるやかになったため、年金額が増えた方も多くいるのです。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)
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