インフレへの懸念や株価の上昇で投資を始める人が増えています。
とくにつみたてNISAは投資経験が少ない人や元手が少ない人でも始めやすいことで人気があります。
書店に行けば「はじめてのつみたてNISA」や「少額で始められるつみたてNISA」という言葉がたくさん並んでします。
しかし、中をのぞいてみるとインデックスやファンドなど聞いたこともない言葉ばかりです。
今回は、筆者の経験をもとにつみたてNISAを始めようと思った投資初心者が感じる素朴な疑問にスッキリと答えます。
積立投資は毎月いくらが正解か?鍵は「非課税枠の使い切り」にあり
つみたてNISAを始めるにはつみたてNISAを買えばいいのですか
筆者が初めてつみたてNISAに興味をもったとき、つみたてNISAは株と同じように購入するものかと思っていました。
つみたてNISAは商品名ではなく「投資に奥手な日本人を投資にチャレンジしやすくさせるための政策」です。
つみたてNISAは、年間40万円までの投資で儲けた分には課税しないというメリットがあります。
40万円の枠の中で「なにに投資をするか(商品選び)」は始めた後に決めなくてはなりません。
つみたてNISAは、一戸建てをたてて賃貸にだすイメージで考えるとわかりやすいです。
一戸建てをたてるときには、土地を買う必要があります。
土地を買うことは口座開設であり、家を建てる建築会社選びは証券会社や金融機関選びにあたります。
どんな家を建てるか考えることが商品選びになります。
書店に並ぶたくさんの解説本のほとんどは、この商品選びから書かれているのです。
できあがった家を誰に貸して家賃をどの程度にするかは投資信託なのでお任せです。
家賃収入があれば所得税がかかりますが、つみたてNISAならば非課税なので税金がかかりません。
つみたてNISAは10月から始めたら損ですか
つみたてNISAは年間40万円までの投資が非課税になります。
年間の考え方は、つみたてNISAを始めた月から1年間ではありません。
1月から始めても10月から始めても1年間は1月から12月までと考えます。
つみたてNISAは、毎月同じ金額をつみたてるため40万円÷12か月で1か月の積立額は約3万円です。
10月から始めたら、3か月しかつみたてることができず、非課税になる40万円を使い切ることができません。
そのため「10月から始めると損だから来年1月から始めよう」と考える人もいるのです。
しかしつみたてNISAは、つみたてる期間を長くすることでリスクを分散します。
たった3か月ですが3か月あれば株価はかなり動いてしまうでしょう。
つみたてNISAを扱う証券会社や金融機関では、年に2回だけ投資額を増やしたり、40万円の枠を使い切れる額を投資したりすることができます。
例えば、10月から3万円ずつつみたてNISAを始めたら、12月だけ36万円に増やせば年間40万円の枠を使い切ることができます。
つみたてNISAを10月から始めても損ではありません。
むしろ開始時期を先延ばしにしたほうがもったいないことになるのではないでしょうか。
つみたてNISAの損切りのタイミングはいつですか
筆者は、今までにいくつかの投資にチャレンジしました。
株もFXもマイナスに転じてきたら「損切り」を考えます。
損切りとは、損が大きくなる前に多少の損を受け入れることです。
タイミングよく損切りすることでダメージを小さくすることができます。
つみたてNISAも投資信託なので元本保証はありません。
リーマンショックやコロナショックのときには、多くの人が元本割れしたのではないでしょうか。
そのとき「損切り」という言葉が頭に浮かぶかもしれません。
結論から言えば、よほどのことがない限りつみたてNISAに損切りという言葉はないのかもしれません。
リーマンショックもコロナショックも一時的に株価は急降下しましたが、数年で回復しています。
急降下したときに損切りしてしまった人は損になりましたが、ひたすらつみたてを続けた人はしっかりと増えています。
つみたてNISAは投資期間が20年間です。
もしも20年後に急落したらどうしようと心配になりますが、20年間を過ぎても急いで売る必要はありません。
20年経てばつみたてNISAの口座から課税口座に変わるだけです。
課税口座に変わってもつみたてNISA時代の儲けには課税されません。
つみたてNISAでつみたてができなくなったらどうしたらいいですか
つみたてNISAは少額から始められることが魅力です。
しかし20年もの長い間、月1~3万円の投資を続けることは大変かもしれません。
つみたてのお金が用意できなくなったら解約しなければならないのかと心配になります。
つみたてNISAは、途中でやめることもつみたて額を変更することも一時停止することもできます。
つみたてNISAは安心なイメージがありますがリスクのある投資のひとつです。
投資は、リスク管理が必須です。
生活費が足りなくなるほど投資したり、学資に手を出して一獲千金を狙ったりしてはいけません。
そして、お財布の許容度だけでなく、心の許容度も考えて時には一時停止したり増やしたりしながら長く続けるといいのではないでしょうか。(執筆者:クリエイティブな節約家 式部 順子)
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