ワイヤレスゲート Research Memo(3):eSIMを使ったデジタル展開で成長を目指す
■事業概要
1. 事業セグメント(売上区分)
ワイヤレスゲート<9419>の事業は、「Wi-Fi・グローバルeSIMコネクティビティ事業」の単一セグメントであるためセグメント情報は開示していない。2025年11月にFREEDiVEを連結子会社化したのに伴い、従来、「ワイヤレス・ブロードバンド関連事業」としていた事業名を、現在の「Wi-Fi・グローバルeSIMコネクティビティ事業」に変更した。単一セグメントで展開する事業については、同社単体とFREEDiVEそれぞれの売上高が開示されている。2026年12月期第1四半期の売上高は、同社単体が2,275百万円(売上構成比82.3%)、FREEDiVEが489百万円(同17.7%)であった。
主な事業(サービス)内容は以下の通り。
(1) Wi-Fiサービス
主に「au」及び「WiMAX」の通信網を借り受けて、顧客ニーズに応じた各種通信サービスと、通信サービスの価値を高める周辺サービスを提供する「月額通信サービス」がある。
1) 月額通信サービス
高速インターネットサービスを利用できるWiMAX端末やワイヤレスゲートWi-Fiサービスといった通信サービスを提供する。利用者は、まず同社と契約を締結して無線ルーターを借り受け(または買取)、これを利用することで全国ほぼどこでも高速インターネットを利用することができる。
料金は月額固定で、顧客のニーズ(通信速度、データ量等)に合わせて、以下の様々なサービスプランを提供している。料金は基本的には月額固定で、36ヶ月契約が多いが、期間の縛りはない。平均的な利用料は4,000~5,000円となっている。端末保険付きなどの付帯サービスも提供している。端末や利用回線などによって、以下のような種類がある。
a) ワイヤレスゲートWiMAX+5G
高速モバイルインターネット「WiMAX2+」に加えて、高速モバイルワイドエリア「au 4G LTE」、さらに高速で幅広いエリアに対応した「au 5G回線」を利用できる。通信モードとしては、「スタンダードモード」と「プラスエリアモード」から選択できるほか、端末修理サービス及び盗難・紛失を補償するオプションサービスも付けられる。
b) ワイヤレスゲートWi-Fi+スマホ保険付き
全国約40,000ヶ所で利用できる「ワイヤレスゲートWi-Fi」にスマホ保険を付帯したプランで、故障や破損などで修理・交換にかかった費用に対する見舞金が支払われるサービスとなっている。
2) コストと販売チャネル
通信キャリアに支払うコストは、顧客当たり(利用回線当たり)月額固定となっており、契約当たりの売上総利益は一定であるため、契約数の増加がそのまま同社の売上・利益の増加につながる。
現在の主力販売チャネルは、(株)ヨドバシカメラであるが、(株)キタムラ(通称「カメラのキタムラ」)や他の販売チェーンとも提携している。
(2) SIM・eSIMサービス
1) eSIMサービスの概要
訪日外国人観光客(インバウンド)が日本国内でWi-Fiを利用する場合には、Wi-Fiルーターのレンタルまたは物理的なSIMカードの購入が一般的である。しかし昨今、海外ではスマホ(eSIM対応機種に限る)に直接SIM機能をダウンロードする「eSIM」が広まっている。同社では、この「eSIM」の販売に注力していく方針で、これが第2の事業となる。料金は利用期間やデータ量などによって決まるが、顧客当たり平均3,000円程度となっている。
2) FREEDiVEを子会社化
eSIMは既に海外では普及しつつあり、特にインバウンドにとっては購入しやすいサービスとなっているが、一方で参入障壁が低いため、「早い者勝ち」のビジネスとも言える。そのため同社では、2025年11月にEC領域に強みを持つFREEDiVEを完全子会社化した。これによりルーター等を使ったリアル販路での通信サービスは同社が担う一方、FREEDiVEによるWeb販売チャネルを活用したeSIMサービスの販売体制を強化した。
2. 主な競合サービス(企業)
インターネット通信サービス全体では、通信形態等により様々なサービスがある。主なものとして、光回線を使ったNTTフレッツ光、ドコモ光、SoftBank光、auひかり、NURO光などがある。モバイルルーター(持ち運び型Wi-Fi)では同社のWiMAXや楽天モバイル「Rakuten Wi-Fi Pocket」などがある。またホームルーター(置き型Wi-Fi)ではSoftBank Air、ドコモhome 5Gなどがある。
顧客のニーズは多様化しており、同社は付加価値(保険やオプションサービスなど)の提供により差別化を図っている。
3. 強み
(1) 通信の安定性
大手キャリア(au)の通信インフラを利用していることから通信の安定性は高い。
(2) 販売力
既述のとおり主力の販売ルートとしてヨドバシカメラと提携しており、販売力は強いと言える。また今回、FREEDiVEを連結子会社化したことでモバイルWi-FiおよびeSIMのECによる販売力も強化され、今後はオフライン×オンラインの融合により販売力は一層強化されるものと見られる。
(3) 商品力
MVNOとして、主力のWiMAXをはじめ、クラウドルーターや各キャリアの通信サービスを仕入れることが可能であることから、様々なサービス(商品)の開発ができる点も同社の強みと言えるだろう。さらに前述のようにeSIMサービスも幅広く展開することが可能となり、商品ラインナップは一段と強化されたと言えるだろう。
(4) 国内大手通信キャリアでの実績と信頼
同社は大手通信キャリア(au)の通信インフラを長い間利用してきたため、利用者からの信頼は厚い。さらに長年にわたる通信キャリアとの関係や実績は、海外の大手キャリアとの提携などの海外展開を進めるうえでも重要な要素となり、これも同社の強みと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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