四電工 Research Memo(5):2026年3月期は上方修正値を上回る増益で着地
■四電工<1939>の業績動向
1. 2026年3月期連結業績の概要
2026年3月期の連結業績は、売上高が同6.1%減の99,448百万円、営業利益が同9.3%増の8,822百万円、経常利益が同9.3%増の9,327百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.0%増の7,500百万円となった。受注高は前期比7.1%増の106,590百万円で過去最高(単体ベースでも同6.5%増の93,364百万円と過去最高)となった。売上高は前期に完工した複数の大型案件の反動で減収となったが、各利益は2026年1月に修正した会社予想(売上高を据え置き、各利益を上方修正。売上高100,000百万円、営業利益8,000百万円、経常利益8,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,000百万円)を上回り、増益での着地となった。工事が順調に進捗したほか、工事原価の徹底管理により利益率が想定以上に向上した。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益に投資有価証券売却益1,084百万円を計上したほか、前期に減損損失531百万円を計上したことの反動などにより大幅増益となった。
売上高の内訳は完成工事高が同6.9%減の93,860百万円、その他の事業が同11.1%増の5,588百万円となった。売上総利益は同1.1%増(完成工事総利益が同0.4%減、その他の事業総利益が同17.0%増)し、売上総利益率は同1.3ポイント上昇して18.7%(完成工事総利益率が同1.2ポイント上昇して17.8%、その他の事業総利益率が同1.7ポイント上昇して34.3%)となった。売上総利益は減収影響で微増にとどまったが、売上総利益率は工事原価の徹底管理により向上した。販管費は同5.3%減となったが、販管費比率は同0.1ポイント上昇して9.8%となった。この結果、営業利益率は同1.3ポイント上昇して8.9%、経常利益率は同1.3ポイント上昇して9.4%となった。
電気・計装工事が前期の大型案件の反動で減少したが配電工事は順調
2. セグメント別、工事種類別・得意先別の動向
セグメント別(セグメント間内部取引消去等調整前)では、設備工事業は売上高が前期比7.2%減の94,034百万円、営業利益が同6.7%増の7,311百万円、営業利益率が同1.0ポイント上昇して7.8%となった。売上高は、電気・計装工事や空調・管工事における前期の大型案件の反動が影響して減収となったが、利益面は工事原価の徹底管理により利益率が向上して増益となった。リース事業は売上高が同8.7%増の3,027百万円、営業利益が同2.3%増の272百万円、営業利益率が同0.6ポイント低下して9.0%となった。利益率は低下したが、おおむね順調に推移して増収増益となった。太陽光発電事業は売上高が同7.1%増の2,259百万円、営業利益が同17.3%増の938百万円、営業利益率が同3.6ポイント上昇して41.5%となった。増収増益と順調で、利益率も上昇した。その他は売上高が同14.8%増の1,546百万円、営業利益が同45.0%増の303百万円、営業利益率が同4.1ポイント上昇して19.6%となった。CADソフト販売などが順調だった。
単体ベースの売上高は同10.7%減の84,072百万円で、工事種類別では配電工事が同3.9%増の36,753百万円、送電・土木工事が同3.2%増の5,255百万円、電気・計装工事が同25.1%減の26,594百万円、空調・管工事が同14.9%減の9,222百万円、情報通信工事が同21.4%減の4,614百万円、兼業事業が同15.9%増の1,632百万円となった。得意先別では四国電力グループが同4.0%増の42,771百万円、官公庁が同8.4%減の8,090百万円、一般民間が同24.8%減の33,210百万円となった。前期の大型案件の反動で一般民間向けの電気・計装工事、空調・管工事、情報通信工事が減少したが、四国電力グループ向けの配電工事や送電・土木工事は順調だった。なお2026年3月期末時点の単体ベースの繰越工事残高は前期末比19.5%増の56,992百万円で高水準を維持している。
なお2026年3月期の施工事例としては、第一生命京橋キノテラス(東京都、オフィスビル、電気・計装工事)、パティーナ大阪(大阪府、ホテル、電気・計装工事)、ワンルーフレジデンス中野南台(東京都、マンション、空調・管工事)、こころの医療センター五色台(香川県、病院、電気・計装工事及び空調・管工事)、ミロク日章工場(高知県、工場、空調・管工事)、坂出バイオマス発電所(香川県、再エネ発電所、電気・計装工事及び空調・管工事)、吉野川市環境センター(徳島県、ごみ処理施設、電気・計装工事)、西条市立東部学校給食センター(愛媛県、給食センター、電気・計装工事及び空調・管工事)、医療法人高田会 高知記念病院(高知県、病院、電気・計装工事)、三豊市立豊中小学校(香川県、学校、空調・管工事)、福岡ソノリク福島物流センター(福島県、物流センター、電気・計装工事)、関西東部地区フリーフロー用無線設備(滋賀県・京都府・大阪府、交通情報システム、情報通信工事)、四国管内フリーフロー用無線設備(四国全域、交通情報システム、情報通信工事)、松山自動車道CCTV設備(愛媛県、交通情報システム、情報通信工事)、立田線一部増強(高知県、送電設備の鉄塔建替・JV、送電・土木工事)、蔵本藍場線他ケーブル(徳島県、送電設備の地中送電線張替、送電・土木工事)などがある。
自己資本比率上昇、財務の健全性は良好
3. 財務の状況
財務面で見ると2026年3月期末の資産合計は前期末比4,241百万円増加して103,871百万円となった。主に関係会社預け金が2,500百万円、電子記録債権が917百万円、繰延税金資産が534百万円、それぞれ減少した一方で、現金預金が3,809百万円、受取手形・完成工事未収入金等が646百万円、未成工事支出金が799百万円、投資有価証券が877百万円、退職給付に係る資産が880百万円、それぞれ増加した。負債合計は同2,067百万円減少して32,672百万円となった。主に未払法人税等が409百万円、未成工事受入金が451百万円、それぞれ増加した一方で、支払手形・工事未払金等が1,246百万円減少した。また有利子負債残高(長短借入金、社債の合計)が571百万円減少して7,891百万円となった。純資産合計は同6,308百万円増加して71,199百万円となった。主に利益剰余金が4,331百万円、その他有価証券評価差額金が1,870百万円、それぞれ増加した。この結果、自己資本比率は同3.3ポイント上昇して68.4%となった。
特に大きな変動項目はなく、利益剰余金の積み上げによって自己資本比率が上昇基調にある。キャッシュ・フローの状況にも特に懸念される点が見当たらないことを勘案すれば、同社の財務の健全性は良好と弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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