POPER Research Memo(6):「ComiruPay」が成長をけん引。新規顧客獲得のフックとして機能(1)
■POPER<5134>の業績動向
1. 2026年10月期中間期の業績概要
2026年10月期中間期の業績は、売上高714百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益71百万円(同39.5%減)、経常利益71百万円(同39.2%減)、中間純利益57百万円(同57.7%減)と増収減益となった。2026年10月期より、将来の持続的な成長に向け、改めて経営理念を基盤に据えた事業の方向性に軌道修正した。そのため、基幹システムに係るプロジェクトの主軸を、フルカスタマイズ開発から、拡張性が高く安定したストック収益につながる「ComiruERP」に置いた。これにより、期初予想については、フロー収益の減少と必要な成長投資を想定していた。通期予想に対する進捗率は、売上高1,425百万円に対し50.1%、営業利益85百万円に対し83.7%、経常利益83百万円に対し85.6%、当期純利益55百万円に対し102.8%と、特に利益面で高い進捗となっている。
売上高については、主力の「Comiru」の有料契約企業数の着実な増加が反映されており、その背景には2025年1月にローンチした「ComiruPay」での想定以上に好調な導入顧客数の増加がある。各段階利益については成長投資を計画どおりに実行したことにより前年同期比ではマイナスとなった。KPIに関しては、2026年10月期より強化する準大手・中堅塾向け「ComiruERP」導入が進捗したほか、ねらいどおり「ComiruPay」をフックに個人塾や習い事で「Comiru」サービスの採用が拡大し、有料契約企業数は前年同期比16.4%増加し2,103社、課金生徒ID数は同6.6%増加の483千IDとなった。なお、課金生徒ID数については前四半期比では6.8%減となるが、これは季節要因であり、第1四半期から第2四半期にかけて、生徒の進級に伴うID削除と新年度のID登録にタイムラグが生じることから一時的に第2四半期に課金生徒ID数が減少することによる。SaaS企業の安定、成長を測るARR※は、ID数増加と同時に0.5%と低い解約率を維持し、同6.0%増の1,167百万円となった。
※ Annual Recurring Revenue(年間経常収益)の略称。四半期末(期末)の「MRR」を12倍して算出。「MRR」とは、「Monthly Recurring Revenue」(月次契約利用料)の略称で、対象月の月末時点における顧客契約プランの月額利用料の合計額(一時収益は含まない)。
ARPUは、同9.0%減の46,279円と低下した。将来の安定した成長基盤構築に向け推進する準大手、中小規模塾と習い事の強化に伴い、同領域の有料契約企業数が増加したが、特に習い事は小規模組織が多いことから採用する「Comiru」サービスが限定的であるため、結果としてARPUは縮小した。なお、今後アップセルを推進しARPUを押し上げる計画だ。また、「ComiruPay」について、導入社数は2026年10月期中間期時点で前四半期比47.6%増の673社と大幅に伸長した。月謝決済の効率化や手数料負担軽減のニーズは高く、特に中小規模塾や習い事の新規開拓において「Comiru」と「ComiruPay」が相乗効果を発揮し、有料契約企業数の拡大に寄与している。同社にとってもSaaS利用料に加え決済手数料を安定して継続的に獲得できるストック収益を計上できるため、高い投資効果を実現する。なお、口座振替に加え「コンビニ決済」「クレジットカード決済」機能を追加予定で、現在UX/UIの改善を進めており、2026年内のリリースを目指している。手数料優遇や決済手段多様化により顧客利便性を向上させ、確固たる収益基盤を構築することをねらう。
損益面では、売上総利益は、システム基盤や新機能開発の強化等、成長投資を計画どおり遂行したため前年同期比1.7%減の518百万円となり、売上総利益率は72.6%と前年同期を3.7ポイント下回った。販管費は、ストック収益拡大を見据え、セールス等人材の拡充を継続し、人件費は前年同期比12.5%増の272百万円となった。マーケティング関連費用は同5.5%増の41百万円となり販管費率は62.5%と同3.4ポイント上昇した。
2. 顧客基盤別の動向
(1) 学習塾領域
大手塾については、2025年10月期以前から取り組む「Comiru」をカスタマイズした2案件がカットオーバーし、ストック収益計上を開始した。将来の持続的な成長を見据えて注力する準大手、中堅・中小塾に関しては、拡張性と収益性が高いSaaSプロダクト「ComiruERP」を、短納期、低コストの利点を前面に押し出し積極的に提案している。中間期時点までに7社が商談に進み、ストック収益計上を開始した2社を除き、商談パイプラインは17件となっているようだ。なお、既存顧客からの新機能追加等の継続発注も含まれており、同社のドメインナレッジを評価する既存顧客とのリレーションの深化が進んでいることがうかがえる。中長期的には、順次追加を計画する新機能の提案、拡販からさらなるARPUの向上が期待できる。また、費用対効果の高いマーケティングとなる経営セミナーについては、平均参加者200人以上と引き続き好評で、個人塾や習い事等、各領域に特化したセミナーを開催し、リードを獲得している。ほかにも営業活動では、契約社数の増加に伴い蓄積された顧客導入の好事例をリード顧客に示し、説得力のある営業活動を推進している。
(2) 習い事領域
英会話教室やプログラミングスクール、音楽教室などの習い事領域においては、継続する活用事例の共有や業界特化型のセミナーの開催などの取り組みが奏功したほか、特に「ComiruPay」がドアノックツールとなり有料契約企業数は前年同期比65.2%増の365社に拡大した。新規顧客獲得に向け、2025年9月には、顧客エンゲージメントを高めることでマーケティング施策の一環となる、同社初の自社カンファレンス「ComiruDay」を開催し、200名超の塾や習い事スクールの経営者、講師が集まった。情報共有の場が少ない中小塾や習い事スクールを対象に、教育実務に焦点を当てたコンテンツを揃え、顧客企業同士の課題の共有や、共に成長するコミュニティの形成により、経営者や講師の満足度は8割強と高評価を獲得したようだ。実際、業界別組織での講演依頼や参加講師によるリファラルなど、リード獲得の側面も大きくなっている。今後も年1回の定期開催を計画しており、開催ノウハウのルーティン化によりコスト効率の高いマーケティング施策として期待できる。ほかにもWeb広告では、塾領域に加え習い事領域で教室ジャンルを細分化し、特化した広告やバナーを複数展開するなど、売上増に連動する広告投資を強化している。
(3) 学校領域
2023年10月期の千葉県八千代市の休日部活動の地域移行に向けたモデル事業での「Comiru」の採用を皮切りに、大阪市教育委員会でコナミスポーツ(株)を通じて「Comiru」が導入された。このほか、2024年度より千葉県教育委員会で(株)マイナビの専門アドバイザーとして対象校の校務DXを支援し、2025年6月には千葉県印旛郡栄町と協定し「NEXT GIGA事業推進支援員」として公教育環境DXを支援している。足元では、千葉県印西市や栄町と連携協定を締結し、同社の民間企業としての専門的知見を生かして教育環境のセキュリティポリシーの策定や校務DXを支援したほか、生成AIの活用研修等、利活用フェーズで伴走支援し、成果を生み出した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)
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