フェローテク Research Memo(5):2026年3月期は主要製品の需要増で14.4%の営業増益
■フェローテック<6890>の業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
(1) 損益状況
2026年3月期の業績は、売上高が前期比5.3%増の288,933百万円、営業利益が同14.4%増の27,561百万円、経常利益が同2.0%増の26,063百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同5.1%減の14,886百万円となった。
セグメント別の売上高は、半導体等装置関連事業が同12.0%増、電子デバイス事業が同14.1%増、車載関連事業が同4.0%減、その他が同39.8%減となった。主力の半導体等装置関連事業が増収となったことなどから、売上総利益率は28.1%(前期26.7%)と前期比で改善した。この結果、売上総利益は81,317百万円(前期比10.8%増)となり、販管費が計画どおり同9.1%増となったことから、営業利益は2ケタ増益を確保した。
営業外費用で為替差損が693百万円発生したこと(前期は1,707百万円の差益)、持分法による投資損失が5,848百万円(同5,420百万円)となったことなどから経常利益の増益幅は小幅にとどまった。さらに法人税等が7,729百万円(前期は5,746百万円)と増加したことから親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5.1%減となった。
マレーシア・クリムの新工場を中心に設備投資額は54,598百万円(前期は51,776百万円)、減価償却費は27,426百万円(同23,672百万円)であった。この結果、EBITDA(償却前営業利益)は54,988百万円(前期比15.1%増)となった。
高水準の設備投資で有形固定資産は360億円増、一方で有利子負債も400億円増加
(2) 財務状況
2026年3月期末の財務状況は、流動資産が338,977百万円(前期末比43,610百万円増)となった。主に現金及び預金の増加12,191百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加9,102百万円、棚卸資産の増加16,230百万円による。売上増加に伴い売上債権及び棚卸資産が増加した。固定資産は350,260百万円(同45,033百万円増)となった。主に設備投資による有形固定資産の増加36,043百万円、無形固定資産の減少371百万円(主にのれんの減少184百万円、その他の減少186百万円)、投資その他の資産の増加9,361百万円(主に、投資有価証券の増加7,598百万円)であった。その結果、資産合計は689,238百万円(同88,644百万円増)となった。
負債合計は327,162百万円(前期末比50,119百万円増)となった。主に支払手形及び買掛金(電子記録債務含む)の減少637百万円、短期借入金の減少9,032百万円、1年内返済予定の長期借入金(1年内償還予定の社債含む)の増加17,180百万円、社債の増加7,083百万円、長期借入金の増加24,817百万円による。これにより、2026年3月期末の有利子負債は202,344百万円(同40,047百万円増)となった。
純資産合計は362,075百万円(同38,525百万円増)となった。主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加7,394百万円、円安による為替換算調整勘定の増加11,381百万円、その他有価証券評価差額金の増加2,390百万円などによる。この結果、2026年3月期末の自己資本比率は37.6%(前期末39.4%)となり、目標である40%を下回った。
(3) キャッシュ・フローの状況
2026年3月期における営業活動によるキャッシュ・フローは29,255百万円の収入であった。主な収入は税金等調整前当期純利益の計上26,157百万円、減価償却費27,426百万円、持分法による投資損益5,848百万円などで、主な支出は売上債権の増加4,391百万円、棚卸資産の増加14,034百万円、、仕入債務の減少3,264百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは66,856百万円の支出であった。主に定期預金の増加(ネット)による支出6,392百万円、有形固定資産の取得による支出54,197百万円、投資有価証券の取得による支出1,926百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは38,798百万円の収入であった。主な収入は長短借入金の増加(ネット)32,741百万円、非支配株主からの払込みによる収入15,236百万円で、主な支出は社債の償還320百万円、配当金の支払額7,494百万円であった。
これにより2026年3月期の現金及び現金同等物は前期末比5,061百万円増加し、期末残高は113,960百万円となった。
主力の半導体等装置関連事業と電子デバイス事業は増収増益
2. セグメント別概況
セグメント別状況を見ると、主力の半導体等装置関連事業は、売上高185,139百万円(前期比12.0%増)、営業利益16,048百万円(同30.4%増)となった。半導体製造装置メーカーの生産増強に伴い、関連する需要が増加したが、そのなかでも特にセラミックス、真空シール、及び金属加工の需要が拡大した。さらに、主に中国における半導体生産の増加に伴って、装置部品の洗浄や再生ウエーハの需要も増加した。
電子デバイスの売上高は57,584百万円(前期比14.1%増)、営業利益は10,465百万円(同26.8%増)となった。好調な生成AIサーバ投資を背景に光トランシーバー向けサーモモジュールの売上が拡大した。センサは大泉製作所の決算期変更により、前年度は9ヶ月だけの売上高だったことから前年比で増加した。
車載関連の売上高は29,245百万円(前期比4.0%減)、営業利益は2,694百万円(同25.1%減)となった。EV向け等のパワー半導体基板の需要が調整局面となり売上・利益とも低調に推移した。サーモモジュールも苦戦した。センサは大泉製作所の決算期変更により、前期比で増加した。
その他の売上高は16,964百万円(前期比39.8%減)、営業損益は297百万円の損失(前期は843百万円の利益)となった。太陽光関連が低迷していることから、セグメント損失を計上した。
主要なサブセグメントの状況は以下のとおりである。
(1) 真空シール・金属加工、ウエーハ加工、再生ウエーハ
真空シール・金属加工の売上高は、半導体装置関連の需要の拡大により49,218百万円(前期比25.6%増)となった。
ウエーハ加工は、主体となる子会社が持分法適用子会社となったことから売上計上はなくなった。再生ウエーハの売上高は4,878百万円(同70.8%増)となり、堅調に推移している。
(2) 半導体マテリアル、石英製品、シリコンパーツ、セラミックス、CVD-Sic、装置部品洗浄、石英坩堝
石英製品は、中国の顧客や火加工需要を取込み、売上高は34,376百万円(前期比7.7%増)となった。シリコンパーツは、顧客の在庫調整により売上高は13,363百万円(同2.4%減)にとどまった。セラミックスは、米国メーカー向け需要が堅調だったことに加えて中国での需要も増加し、売上高は40,662百万円(同22.6%増)となった。CVD-SiCは、需要が低迷し売上高は7,588百万円(同7.4%減)となった。
装置部品洗浄では、中国顧客の需要を取り込み売上高は18,603百万円(前期比21.5%増)となった。一方で石英坩堝は、太陽光発電向けの需要がさらに減少して売上高は8,909百万円(同29.7%減)となった。
(3) サーモモジュール
電子デバイスの中のサーモモジュールは、好調な生成AIサーバ投資を背景に光トランシーバー向けサーモモジュールの売上が拡大し売上高は30,821百万円(前期比13.2%増)となった。車載関連では、中国EV車向けが低迷して売上高は4,535百万円(同29.3%減)となった。
(4) パワー半導体基板、センサ
電子デバイスの中のパワー半導体基板は、産業機械向け(主にDCB基板)が堅調に推移して売上高は19,576百万円(前期比7.8%増)となった。車載関連のパワー半導体基板(主にAMB基板)もEV車市場の低迷の影響を受けて売上高は18,057百万円(同6.2%減)と低迷した。
センサでは、電子デバイスは5,980百万円(前期比50.6%増)、車載関連は6,653百万円(同38.6%増)といずれも堅調であったが、これは主に大泉製作所の決算期変更(9ヶ月決算)による。
3. 主な投資と減価償却費
2026年3月期の設備投資額は54,598百万円(前期は51,776百万円)となった。主な投資は、欧米顧客の中国外生産(Ex-China)ニーズに対応したマレーシア・クリム第1工場(石英、セラミックス、金属加工)、同第2工場(石英、セラミックス、金属加工)などである。減価償却費は27,426百万円(前期は23,672百万円)と大幅に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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