品川リフラ Research Memo(1):オーガニックな成長力強化に注力、第6次中期経営計画の総仕上げへ
■要約
品川リフラ<5351>は、工業用耐火物・断熱材分野において、売上高で世界トップクラスに位置付けられる耐火物メーカーである。2025年10月に創業150周年を迎え、品川リフラクトリーズ(株)から品川リフラ(株)に社名を変更した。海外事業を成長エンジンとし、海外売上高は2026年3月期までの5年間で約4.7倍に伸長した。長期目標「ビジョン2030」では2031年3月期までに海外売上高比率50%を目指す。直近でも米国でのM&Aを実行するなど積極的な成長投資を進めている。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高177,738百万円(前期比23.4%増)、EBITDA22,134百万円(同23.3%増)、営業利益13,609百万円(同2.5%増)、経常利益15,986百万円(同17.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益26,071百万円(同166.6%増)と大幅な増収増益で着地した。セクター別では、オランダのGouda Refractories Group B.V.(以下、Gouda)及びブラジルのReframax Engenharia S.A.(以下、Reframax)の業績寄与により耐火物セクター及びエンジニアリングセクターの売上高が、それぞれ前期比15.7%増、同78.2%増と好調に推移した。親会社株主に帰属する当期純利益は、赤穂工場及びSR do Brasil Ltda.(ブラジル、以下、SRB)、Reframaxにおいて減損損失を合計9,716百万円計上したものの、固定資産売却益を合計37,245百万円計上したことから大幅な増益となった。ちなみに3件の減損については、いずれも現時点でのキャッシュ・フローは確保しているものの、今後様々な将来見通しが想定されるなかで、保守的な見通しに修正したことに伴うものである。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高189,000百万円(前期比6.3%増)、EBITDA22,000百万円(同0.6%減)、営業利益13,000百万円(同4.5%減)、経常利益13,000百万円(同18.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10,000百万円(同61.6%減)と増収ながら減益を見込む。中東情勢を含む不透明な事業環境を踏まえて保守的な見通しを策定した。重点施策としては、(1) グローバルなグループ連携の拡充、(2) 耐火物セクターにおける連続鋳造用機能材事業のグローバル展開の加速、(3) 先端機材セクターにおける新規分野への事業展開の加速を掲げている。
3. 「ビジョン2030」に向けた第6次中期経営計画の進捗と、第7次中期経営計画の方向性
2024年5月に長期目標「ビジョン2030」を策定し、事業成長における財務目標と社会課題解決におけるサステナビリティ目標を設定した。2031年3月期に売上高2,400億円、海外売上高比率50%などを目指す。同時に第6次中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)を開始し、最終年度の目標として売上高1,800億円、ROS(売上高営業利益率)11%、ROIC(投下資本利益率)10%、海外売上高比率45%を掲げている。2024年10月に実施したGoudaに対する大型M&Aに加え、2025年9月にはイタリアで合弁会社を設立、耐火物事業では従来未開拓であった欧州市場での拠点展開を実現し、中東・アフリカ市場も視界に入れた。また、2026年3月には新たに米国でもM&Aを実現し、北米、南米にまたがりセクター横断型のグループネットワークを拡充した。第6次中期経営計画の最終年度である2027年3月期は、多種多様なグループ連携を実現し、シナジー発揮によるオーガニック成長を目標達成のカギとする。なお、第7次中期経営計画については、「ビジョン2030」設定当初に対し厳しさを増す足元の事業環境を踏まえて経営戦略を軌道修正し、競争力の強化を通じた事業の成長、グローバル調達・供給体制の最適化などに向けて具体的な施策を検討する方針だ。
■Key Points
・2026年3月期は大幅増収増益、Gouda及びReframaxがけん引
・2027年3月期はオーガニックな成長力強化がカギ、不透明な事業環境を踏まえて保守的な見通し
・強化されたグループによるシナジー発揮で第6次中期経営計画達成を目指す
■会社概要
高温技術のリーディングカンパニー。世界の耐火物市場で売上高トップクラスに位置する
同社グループは、工業用耐火物・断熱材分野において、売上高で世界トップクラスの耐火物メーカーである。高温技術のリーディングカンパニーとして耐火物の製造・販売及び窯炉の設計・築炉工事などのエンジニアリングサービスの提供を通じて、鉄鋼をはじめ非鉄金属、セメント、ガラス、焼却炉、ごみ溶融炉、ガス・電力関連など日本の基幹産業を支えている。連結売上高の8割程度は鉄鋼業向けである。世界の基幹産業の多くが、製造現場に高温プロセスを持ち、特に鉄鋼、化学、機械といった同社の主要顧客はエネルギー多消費型の装置産業であり、温室効果ガス(GHG)の排出量が多い。GHG排出量の削減に寄与する同社グループの製品・サービスに対するニーズは、中長期的に拡大すると見られる。
創業150周年を迎えた2025年10月には、旧社名「品川リフラクトリーズ(株)」の耐火物を意味する「リフラクトリーズ」を「リフラ」(造語)に改めた。150年の歴史と伝統を継承しつつ、耐火物事業に加えて断熱材、先端機材、エンジニアリング事業などの拡大・成長に注力する意思を示している。また、新たに企業ロゴを制定し、同社グループの企業理念も再構築した。新たな企業理念は、グループとしての志を表す「PURPOSE」、目指す姿を表す「VISION」、大切にしたい価値観を表す「VALUE」の3階層で再構築された。『セラミックスで「最適」を実現する』ことを「PURPOSE」とし、祖業である耐火物だけでなく断熱材、先端機材、エンジニアリングの領域も含めたセラミックス技術で顧客に最適なソリューションを提供し、世界の産業と社会の発展に貢献することを志す。グローバルなソリューション展開によって成長し続ける、従業員が自己の成長と心豊かな生活を楽しめる職場を作る、事業を通じてより良い環境と社会を未来世代に継承することを「VISION」として目指す。ベースとなる価値観として、挑戦、迅速、柔軟、徹底、連携の5つのキーワードを掲げている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)
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