ミライト・ワン Research Memo(4):2026年3月期は増収増益、受注高、売上高、営業利益など過去最高を更新
■ミライト・ワン<1417>の決算概要
1. 2026年3月期決算の概要
2026年3月期の連結業績は、受注高が前期比4.7%増の6,587億円、売上高が同4.1%増の6,023億円、営業利益が同22.4%増の342億円、経常利益が同32.9%増の365億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同35.5%増の232億円と増収増益となり、受注高、売上高、営業利益など過去最高を更新した(売上高は10期連続)。また、重視するEBITDAも同16.3%増の485億円と大きく増加した。
売上高は各事業が総じて堅調に推移した。特に、「ICTソリューション事業」が良好な受注環境を背景に好調に推移したほか、モバイル向け品質改善投資が続く「NTT事業」の伸びが増収に寄与した。一方、「環境・社会イノベーション事業」は案件の大型化に伴う工期長期化により、売上計上にやや遅れが生じた。その影響を受け、注力する「みらいドメイン」も若干伸び悩んだが、売上構成比は41.0%を確保した。
利益面では、増収による収益の押し上げに加え、統合効果や組織再編などを通じた「通信基盤ドメイン」の売上総利益率改善などにより大幅な増益を実現した。営業利益率も5.7%(前期は4.8%)に改善した。
財政面では、案件の大型化に伴う工期長期化により未成工事支出金及び完成工事未収入金が増加したことで、資産合計は前年末比6.6%増の5,733億円となった。一方、自己資本も利益準備金の積み増しにより同6.9%増の2,794億円に増加し、自己資本比率は48.7%(前期末は48.6%)と横ばいで推移した。
各事業の決算概要は以下のとおりである。
(1) 環境・社会イノベーション事業
売上高は前期比5.2%減の1,933億円と前期を下回った。電気・空調は好調であったものの、土木・水道、建築/リノベーションが伸び悩んだ。ただ、西武建設及び国際航業との三位一体シナジーの進展などにより案件の大型化に伴う工期長期化が進み、売上計上が後ずれする傾向にあることが理由であり、受注残※はしっかり確保している。
※ 期末の繰越工事高は前期末比16.8%増の1,923億円に増加した。
(2) ICTソリューション事業
売上高は前期比21.4%増の1,739億円と大きく増加した。NEXT GIGA※関連で物販(特に、地方の学校法人向けなどを中心とするPC・タブレットの入れ替え需要)が好調であったことに加えて、需要が拡大しているDC・クラウドやグローバル(DCケーブリングなど)が伸長した。また、LANなどやソフトウェアも堅調に推移した。活動面では、クラウド技術や運用・監視のスキルを有する(株)Y2Sを連結子会社化(2025年10月1日付)し、ICTソリューションO&M(Operation &Management)の拡大に向けて、クラウド・マネージドサービス分野の拡張を図った。
※ 文部科学省が推進しているGIGAスクール構想の次のフェーズのこと。GIGAスクール構想により、全国の小・中学校、高等学校などにおいて高速大容量の通信ネットワークや児童生徒1人に対して1台のPCまたはタブレット端末の整備が進められてきたが、NEXT GIGAではこの構想をさらに発展させ、ICT環境の更新や進化を図ることを目指している。
(3) NTT事業
売上高は前期比3.9%増の1,979億円に増加した。NTTグループ向けに固定・モバイルがともに伸長した。特にモバイル向けは品質改善投資が続いており、業績の伸びをけん引している。
(4) マルチキャリア事業
売上高は前期比9.0%減の373億円と減少した。5G基地局整備の一巡に伴いモバイルが減収となった一方、固定・CATVはおおむね前年並みで推移した。
2. 2026年3月期の総括
2026年3月期を総括すると、受注高、売上高、営業利益、EBITDAがそろって過去最高を更新したところはもちろん、内容的にも成長分野を中心にしっかりと需要を取り込み、業績拡大に結び付けた点は評価すべきポイントである。また、事業変革に向けた取り組みでも、「みらいドメイン」がそれぞれ着実に進展しているほか、三位一体シナジーの創出並びにデータセンター事業(特にコンテナ型DCへの取り組みなど)における受注拡大、統合効果や組織再編による売上総利益率改善などで一定の成果を示したところは、今後に向けてもプラスの材料と言えるだろう。
■業績見通し
2027年3月期も「みらいドメイン」を軸に増収増益を見込む
1. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の連結業績予想について同社は、売上高を前期比9.6%増の6,600億円、営業利益を同16.7%増の400億円、経常利益を同9.5%増の400億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同9.5%増の255億円と増収増益を見込んでいる。また、EBITDAも同13.4%増の550億円に増加する見通しである。
売上高は、「みらいドメイン」を軸に「企業/環境社会基盤ドメイン」が豊富な繰越工事※の完工により順調に拡大する一方、「通信基盤ドメイン」も好調なNTT事業がけん引する見通しである。「みらいドメイン」比率については中期経営計画目標である45%の達成を目指す。
※ 2026年3月期の繰越工事高(全社)は前期末比18.6%増の3,604億円を確保している。
利益面では、「企業/環境社会基盤ドメイン」の拡大に伴う収益の底上げと「通信基盤ドメイン」における生産性向上により大幅な増益を実現し、営業利益率は6.1%(前期は5.7%)、EBITDA率は8.3%(前期は8.1%)へ改善を予想している。
2. 弊社の見方
資材価格の高騰や人手不足問題など、不確実性の高い事業環境には引き続き注意が必要であるものの、受注残(繰越工事高)を十分に確保していることや、様々な成長分野の需要を取り込めていること、三位一体シナジーの創出やフルバリュー型モデルが軌道に乗り、大型案件を受注できていることなどを勘案すれば、同社業績予想の達成は十分に可能であると弊社では見ている。中期経営計画の当初計画については、M&A戦略はそのタイミング次第であることから未達となる見通しではあるが、注目すべきは2030年に向けていかに仕上げをしていくのかにある。成長分野へのリソース集中や「掛け算連結経営」の推進、AIなどの技術革新とニーズの高度化への対応に取り組む方針であり、具体的な進捗とその成果の発現をフォローしたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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