アズ企画設計 Research Memo(5):物件大型化、商品種別多様化の進展で不動産販売事業が成長ドライバーに(2)
3. 事業セグメント別動向
(1) 不動産販売事業
不動産販売事業は、売上高12,585百万円(前期比9.5%増)、営業利益926百万円(同10.2%減)と増収減益となった。年間販売件数は26件となり、アセット別内訳はレジデンス(1棟マンション)8棟、区分マンション7件、1棟事務所(ビル)5棟、区分事務所6件となった。価格帯別では、注力している5億円以上の物件は10件(前期9件)を数え、うち10億円以上の物件2件(同2件)、5億円〜10億円未満の物件8件(同7件)と着実に成長した。その結果、1棟収益不動産の平均売却価格は7.9億円(前期比1.3億円増)へ上昇した。目利き力のアップと大型化戦略の進展が数値に表れている。同社では、現在15億円規模の大型物件を複数保有しており、在庫の積み増しも順調に推移している。
(2) 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、売上高703百万円(前期比1.2%減)、営業利益74百万円(同42.3%減)と、減収・大幅な減益となった。減収・大幅減益となった主因は、貸しコンテナやコインパーキングなどは安定的に推移したものの、不動産販売事業の新築物件や実需区分の仕入れが増加したことで、一時的に賃料収入が発生しない物件の割合が増加したことである。
(3) 不動産管理事業
不動産管理事業は、売上高254百万円(前期比13.9%増)、営業利益88百万円(同9.4%増)と増収増益を達成した。既存顧客(オーナー)の世代交代に伴う解約が一部マイナス要因となったものの、2025年9月に子会社化した富士ホーム(管理戸数約300戸)の業績がプラスに寄与した。この子会社化により、グループ全体の管理戸数は約1,840戸へ拡大し、ストック収益の基盤強化が進む格好となった。
4. 財務状況と経営指標
2026年2月期末の資産合計は前期末比1,274百万円増の14,514百万円となった。流動資産は同1,185百万円増加して13,773百万円となった。主な要因は、現金及び預金(同743百万円増)と棚卸資産(同362百万円増)の増加である。棚卸資産の内訳は、販売用不動産が同1,901百万円減、仕掛販売用不動産が同2,264百万円増であった。一方、固定資産は同89百万円増加し、740百万円となった。主に、富士ホームの子会社化に伴うのれん(60百万円)の計上や繰延税金資産の増加(同44百万円増)によるものである。
負債合計は前期末比246百万円増の10,528百万円となった。流動負債は3,395百万円となり、同357百万円増加した。これは主に、短期借入金(同158百万円増)と1年内返済予定の長期借入金(同246百万円増)が増加したためである。一方、固定負債は同111百万円減の7,132百万円へ減少した。長期借入金が増加(同25百万円増)したものの、社債が減少(同80百万円減)したことが主因である。
純資産合計は前期末比1,028百万円増加して3,986百万円となった。剰余金の配当(36百万円)を実施したものの、新株予約権の行使(資本金、資本剰余金がそれぞれ同372百万円増加)、譲渡制限付株式報酬としての新株発行(資本金、資本剰余金がそれぞれ同11百万円増加)、及び親会社株主に帰属する当期純利益(294百万円)を計上したことがプラスに寄与した。
経営指標について、財務の安全性を示す自己資本比率は、主に新株予約権行使と親会社株主に帰属する当期純利益の計上により前期末の22.3%から27.5%へ大幅に上昇した。このほか、流動比率は405.6%(前期末は414.3%)と高水準を維持したほか、D/Eレシオは前期末の312.9%から241.1%へ低下しており、財務の健全化が進んでいることを確認できる内容となった。収益性については、営業利益率は前期の7.8%から5.7%へ低下、ROEも前期の16.9%から8.5%へ低下した。不動産販売事業における大型物件の引き渡し時期の期ズレが主因であり、一過性の要因によるものと考えられる。
5. キャッシュ・フローの状況
2026年2月期における期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比476百万円増の3,852百万円となった。棚卸資産の取得継続や投資活動による支出があったものの、借入れ及び新株予約権の行使などによる資金調達が円滑に進捗した。
営業活動によるキャッシュ・フローは250百万円の使用となった。税金等調整前当期純利益の計上(467百万円の資金流入)があった一方、棚卸資産の増加(363百万円)等の増加要因があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは、284百万円の使用となった。定期預金の預け入れによる支出(250百万円)や、子会社株式取得による支出(53百万円)が要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは1,010百万円の獲得となった。減少要因として長期借入金返済による支出8,389百万円、配当金の支払額36百万円、社債の償還による支出118百万円が働いたが、長期借入れによる収入8,651百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入738百万円などの資金流入が上回った。
フリー・キャッシュ・フローは534百万円のマイナスとなったが、積極的な物件仕入れと事業投資を優先した結果である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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