和田興産 Research Memo(5):旺盛な需要が続く分譲マンション販売の増収増益が続く
2. 事業セグメント別動向
(1) 分譲マンション販売
主力の分譲マンション販売の売上高は前期比11.6%増の34,175百万円、セグメント利益は同0.2%増の4,386百万円と2期連続で増収増益となった。引渡戸数は前期比32戸減の610戸となったものの、戸当たり平均価格が前期の48百万円から56百万円に上昇したことが増収要因となった。また、期初計画比では旺盛な購入需要を背景に引渡戸数で10戸、平均価格で1百万円、売上高で1,275百万円それぞれ上回った。
売上総利益率は建築コストの上昇を背景に、前期比1.7ポイント低下の21.1%となったが、契約が順調に進んだことにより想定を上回る利益率を確保した。同社は分譲マンション販売の売上総利益率について仕入れ時には17〜18%を目安にしているが、2024年2月期以降は20%を上回る利益率を維持している。セグメント利益率についても同1.5ポイント低下の12.8%と計画を上回った。
そのほか、2026年2月期における発売戸数は前期比103戸増の840戸、契約戸数は同17戸増の656戸、契約済未引渡戸数は同46戸増の733戸(平均価格61百万円)といずれも増加し、期初計画に対しても上回った。契約済未引渡残高も同15.6%増の44,786百万円に積み上がっており、2027年2月期以降の売上に貢献する見通しである。一方、仕入戸数は同59戸減の637戸と2023年2月期の964戸をピークに3期連続で減少し、計画(650戸)に対しても下回った。建築コストの上昇傾向が続くなかで、仕入活動を慎重に進めたことが要因となった。
(2) 戸建て住宅販売
戸建て住宅販売の売上高は前期比4.7%減の1,763百万円、セグメント利益は同51.0%減の65百万円となった。新規発売物件を中心に契約獲得に向けた販売活動に注力したものの、引渡戸数が前期比4戸減の38戸(計画比5戸減)となった。この結果、前期比横ばい水準で計画していた売上総利益率は同1.1ポイント低下の14.2%となり、セグメント利益率も同3.6ポイント低下の3.7%となった。
(3) その他不動産販売
その他不動産販売の売上高は前期比37.7%減の2,680百万円、セグメント利益は同43.1%減の518百万円と減収減益となった。賃貸マンションや木造アパート等の販売用収益物件の売上が、一部プロジェクトの販売時期を2027年2月期に繰り越した影響もあり、同14.1%減の2,680百万円となったほか、2026年2月期は開発関連(素地売り等)の売上を計上していない(前期は1,181百万円を計上)ことが減収減益要因となった。売上総利益率は前期比0.9ポイント低下の25.3%、セグメント利益率は同1.9ポイント低下の19.3%となった。計画比では売上高が320百万円下回ったものの、販売用収益物件の利益率が想定を上回ったことにより、利益は会社計画を上回って着地した。
(4) 不動産賃貸収入
不動産賃貸収入は前期比0.4%増の3,295百万円、セグメント利益は同1.1%増の1,045百万円と堅調に推移した。主力とする住居系物件を中心に入居率が高水準で推移したほか、賃料水準も安定して推移したことが要因となった。売上総利益率は前期比1.1ポイント低下の38.5%となったものの、販管費の抑制によりセグメント利益率は同1.1ポイント上昇の38.5%となった。売上総利益率の低下は新規物件取得に伴う減価償却費の増加(同約62百万円増)が要因である。
賃貸収入の内訳について見ると、住居系が前期比1.9%増の2,460百万円、店舗・事務所等が同0.6%減の698百万円、駐車場が同横ばいの89百万円、トランクルーム他が同37.2%減の46百万円となった。最適な賃貸不動産のポートフォリオ構築のため保有物件の入れ替えを進めた結果、期末時点の保有戸数は住居系で前期比横ばいの2,755戸、店舗・事務所等が同1軒増の117軒、駐車場が同29台減の337台となり、保有物件の時価評価額は前期末比7.3%増の34,256百万円、含み益は同14.8%増の6,916百万円となった。
(5) その他
その他の売上高は前期比178.3%増の229百万円、セグメント利益は同136.8%増の165百万円となった。新規事業として開始した系統用蓄電所の売電収入を約1.6億円計上したことが増収増益要因となった。系統用蓄電所とは、電力会社の送配電ネットワークに接続された大型蓄電システムのことで、電力需給の調整弁としての活用が期待される。価格が安い電力余剰時に電力を市場で購入して蓄電し、価格が上昇する電力ひっ迫時に放電することで、売買差益を得るビジネスモデルである。中期経営計画で掲げた「社会的課題の解決に向けたソリューション機能の充実と育成」の一環として参入を決めた。第1弾となる丹波篠山市の蓄電所で、蓄電容量7.4MWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を設置し、2025年7月から運用を開始した。設備投資額は6億円で減価償却費や蓄電所の維持費用、電力の市場取引手数料を考慮しても、一定の収益が見込める事業となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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