TKP Research Memo(7):2027年2月期も、増収増益基調を見込む
1. 2027年2月期の業績見通し
ティーケーピー<3479>の2027年2月期の連結業績は、売上高を前期比27.7%増の146,000百万円、営業利益を同6.8%増の11,000百万円、経常利益を同6.6%増の9,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)を同67.5%減の4,000百万円と、引き続き増収増益を見込んでいる。当期純利益のみ減益となるのは、前期における一過性要因(固定資産の売却益)の剥落によるものである。
各事業の成長が業績の伸びに寄与する。特に同社本体(空間再生流通事業)は、好調なオフィス需要が続くなかで、多様なオフィス利用ニーズの取り込みにより事業拡大を図る。積極出店に加え、通信環境など設備投資※も強化する。また、新体制となったグループ各社については事業基盤の整備を進めるとともに、シナジー創出の本格化に注力する。
※ 2026年4月1日より、東京・大阪・名古屋・横浜など三大都市圏を中心に全国17施設で高速・無料Wi-Fiの提供を開始し、会議や研修、セミナー、イベントにおける快適な通信環境の整備を強化している。
利益面では、増収効果により増益を確保するものの、グループ体制の強化や新規出店・設備投資等による先行費用の拡大、物価高騰等(ナフサ問題を含む)の影響を保守的に見積もり、営業利益率の低下を見込んでいる。
2. 弊社の見方
弊社では、同社の業績予想はグループ全体で想定されるリスク要因やコスト要因を織り込んだ合理性のある前提に基づいていると判断している。好調なオフィス需要やインバウンド需要が続くなかで、宿泊施設を含む、前期出店分が業績寄与することや、内製化・業務効率化による収益性の改善、期間貸しの受注拡大などを踏まえれば、やや保守的な水準との見方もできるだろう。注目すべきは、引き続き地方を含めた出店戦略やグループシナジー創出に向けた進捗である。出店戦略については、都心におけるビル建設や大型再開発プロジェクトの進行遅れ(建設資材や人手不足等に起因)、仕入コストの高騰等による影響が想定されるものの、地方都市においては宿泊施設を含めて出店のチャンスが十分にあると見ている。また、需要の大きな都心での超大型施設の獲得に向けた動きに加え、成長の軸となってきた「TKP fabbit」方式の拡大や新たな「CROSSCOOP」の取得が今後の出店ペースに及ぼす影響にも注目したい。一方、グループ子会社に目を向けると、ナフサ問題や物価高騰による影響(特にリリカラ事業)などが懸念されるが、経営改革やグループシナジーの効果がどのような形で具現化してくるのか、先行きを見通すうえでも重要な判断材料となるだろう。
■今後の方向性
フレキシブルオフィス事業のさらなる拡大と、グループシナジー創出に取り組む
1. 前中期経営計画の振り返り
同社は、2023年2月にリージャス事業の売却に踏み切ったことや貸会議室・宿泊需要の回復が進んできたこと、仕入れ環境も追い風に向かっていることを踏まえ、アフターコロナを見据えた中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)を推進し、最終年度を終了させた。前中期経営計画では、1) 貸会議室の床面積を積極拡大しながら周辺事業を取り込み、シェア拡大と対象市場の拡張を図る、2) 経営効率の最適化を推進し、過去最高の利益を達成する、3) 積極性と合理性のバランスがとれた成長投資を柔軟に実施し、中長期的な企業価値向上への投資機会を逃さない、を基本方針に掲げ、貸会議室事業と宿泊事業を2本柱として本格的な成長軌道への回帰を進めてきた。その結果、業績目標である売上高57,500百万円、営業利益9,400百万円、経常利益9,100百万円、ROE10%をクリアするとともに、主力であるフレキシブルオフィス事業の基盤強化(床面積の拡大やサービス形態の拡充、内製化・業務効率化の推進等)、並びにM&Aを通じて、グループシナジーが期待できるスペースソリューション事業及びブライダル事業への参入を果たすなど、新たな成長ステージに向けた形を作ることができた。
2. 今後の方向性
同社は、現時点で新たな中期経営計画を公表していない。事業環境の不確実性が高まるなか、様々な戦略オプションを柔軟に行使するため、一定の前提条件に基づく成長シナリオや業績目標を明示することが現実的でないとの考えに基づくものと推察される。ただ、これまで種まきしてきた施策(事業基盤)を本格的に軌道に乗せることで、空間再生、事業再生、業界再生、地方創生という「再生」を軸とした重層的な施策を展開し、指数関数的な事業拡大を目指す中長期の構想に大きな見直しはないようだ。もっとも今後数年間については、「fabbit」及び「CROSSCOOP」を加えたフレキシブルオフィス事業の拡大や宿泊事業のさらなる発展に加え、前中期経営計画で形づくったグループ体制の本格稼働に注力する方針であり、そこには十分に伸びしろがあるとの認識である。一方、中長期の視点では、固定資産の流動化を含む投資余力をはじめ、出店の都度増殖を続ける顧客基盤(3万社を超える法人顧客)やスペースを有効に活用するノウハウの蓄積、グループシナジー創出などを価値創造の源泉として、それらを空間再生だけでなく、事業再生(業界再生)、地方創生にいかに生かすのかがポイントとなるだろう。
■株主還元策
積極的な成長投資を優先し、配当については引き続き見送る方針
同社は現在、先行投資の段階にあり、事業展開のスピードを高め、規模の拡大に伴って必要な資金を確保する観点から利益配当を見送ってきた。2027年2月期についても現時点で利益配当の予定はない。
一方、自己株式取得については2025年4月14日付の決議に基づき、合計180万株(発行済株数の4.52%)を総額3,499百万円で取得した。株主還元の強化及び資本効率の向上が目的であり、2025年1月14日付の決議(合計214万株を総額3,419百万円で取得)に続いての実施となった。
また、毎年2月末時点の株主(1単元以上)に対し、保有株式数に応じて同社が運営する宿泊施設やレストランの優待券を贈呈する株主優待制度も導入している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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