ムゲンエステート Research Memo:2026年12月期第1四半期は海外需要・高価格帯の鈍化が影響し減収減益
1. 2026年12月期第1四半期の業績概要
2026年12月期第1四半期は、売上高が前年同期比27.0%減の12,523百万円、営業利益が同66.0%減の1,014百万円、経常利益が同72.5%減の731百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同75.5%減の440百万円と、減収減益で進捗する。
直近の公示地価(国土交通省発表、2026年3月)によると、全用途の全国平均は前年比2.8%増と5年連続で上昇した。また、2026年3月の首都圏の中古マンションの成約件数および成約価格は、ともに17ヶ月連続の上昇となった。首都圏の不動産に関しては、物件への投資金額が上昇するものの、賃料上昇により収益性が確保できている状況といえる。一方で、中東情勢の悪化を背景とした原油価格の高騰に伴い、住宅設備の供給制約や建築資材価格の上昇がみられるなど、不動産を取り巻く事業環境への影響が懸念される。
売上高では、主力の買取再販事業で、海外投資家の需要に一部弱含みが見られたことに加え、大型物件の販売が伸び悩んだ影響が減収の要因となった。内訳では、投資用不動産で一棟物件の販売(3億円超)が増加した結果、前年同期比65.1%増の5,527百万円となった。一方で、居住用不動産は高価格帯物件の販売が伸び悩んだ影響が大きく、同56.0%減の5,780百万円となり大幅な減収となった。販売エリアに関しては、東京都の売上高構成比が前年同期比25.5pt減の54.2%と下がり、地方エリアの構成比は同13.8pt増の16.5%と上昇した。海外投資家向けの売上高構成比が同22.6pt減の20.2%に低下した。不動産特定共同事業は、荻窪プロジェクトの完売により増収となった。賃貸その他事業では、資産拡大により同32.9%増の862百万円と増加した。利益に関しては、減収の影響に加え、収益性の高い高価格帯・大型物件の販売件数減少により売上総利益率が同5.2pt低下したことなどにより減益となった。
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期は、売上高は前期比16.1%増の79,286百万円、営業利益が同12.2%増の12,398百万円、経常利益が同11.1%増の11,058百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.1%増の7,595百万円と、売上高および各利益ともに二桁成長を予想する(期初予想から変更なし)。
主力の買取再販事業では、営業基盤の強化と物件の高単価化により、営業生産性の向上を図る。前期に引き続き、物流施設、ホテル、ヘルスケア施設などの取り扱いアセットの多様化も推進する計画である。事業別では、投資用買取再販で前期比27.6%増の39,379百万円予想、住宅用買取再販で同4.2%減の31,086百万円予想とメリハリをつけ、投資用買取再販を成長ドライバーとした。不動産開発事業は、竣工済みの2物件(SIDEPLACE HIRAI・SIDEPLACE JUJO)早期売却を進める(前期比229.5%増予想)。不動産特定共同事業は、草加プロジェクトの早期販売に向けた営業強化と販売ルートの拡大を進める(同84.9%増予想)。新規事業のアセットマネジメント事業は、2025年12月に第二種金融商品取引業と投資助言・代理業の登録を完了しており、早期の私募ファンドの組成を目指す。第1四半期の仕入れ額は、前年同期比492百万円増の11,505百万円となり、物件の収益性と在庫のバランスを勘案しながら慎重に仕入を行った。販売用不動産残高(第1四半期末)は79,255百万円と十分である。海外投資家からの需要は限定的と見込まれる中、中東情勢の影響に伴う資材納期の遅延等の不確実性も高まっており、国内投資家及び実需層を主なターゲットとして、柔軟な価格設定の下、販売の強化を進める方針である。
成長戦略・トピック:不動産特定共同事業(小口化商品)で「草加プロジェクト(介護施設)」の募集開始
同社では、2027年12月期を最終年度とする3か年の中期経営計画推進中であり、その中で不動産特定共同事業(小口化商品)を成長事業の一つとして位置付けている。これまで、住居や宿泊施設を扱ってきており、2026年3月には第8弾となる荻窪プロジェクト(住居、第二期募集3.4億円)が完売した。2026年3月からは、第9弾となる草加プロジェクト(介護老人保健施設「みどりの館」、第一期4.4億円)の募集が開始され、契約が順調に進捗しているという。新たなビジネスモデル(小口化商品)であるとともに、市場ニーズが高く安定しているヘルスケア(介護施設等)分野の拡大は、成長事業への取り組みが着実に進展している事例として注目したい。
株主還元策:2026年12月期は16円増配の通期130円(中間期52円、期末78円)予想
同社は、株主への利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けており、長期的な事業拡大のため財務体質の強化と内部留保の充実を図りつつ、安定した配当を継続することを基本方針としている。利益配分は、業績の水準やバランスシートをベースとする資本コストや資本収益性等を総合的に勘案し、中長期的な連結配当性向の目標水準を40%以上としている。実績では、2025年12月期まで5年連続の増配、3年連続40%台の配当性向となる。
2025年12月期には中間配当が導入され買いやすくなった。2026年12月期は、年間配当130円(前期比16円増配、中間期52円、期末78円)、配当性向40.2%を予想する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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