船場 Research Memo(1):2025年12月期はオフィス・余暇施設等分野が成長をけん引、上場来最高益を達成
船場<6540>は内装・ディスプレイ業界大手4社の一角である。商業施設の専門性が高く、専門店や大型店・ショッピングセンターなど幅広く展開する。近年ではオフィス、医療・介護施設、学校、空港などのインフラ施設などにも事業領域を拡大している。いずれも商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”に特長があり、構想力・設計力(デザインワーク)・施工力を強みとして、調査・分析から運営まで空間創造を一気通貫で支援する。近年では“Good Ethical Company”を標榜し、人や地球環境・社会・地域に配慮した新しい付加価値を追求している。同社の創業は1947年に遡り、陳列ケースの製造及び販売事業を大阪で開始した。戦後の好景気の時期には店舗の内装工事業に進出し、その後のモータリゼーションの発展に伴い郊外ショッピングセンターやチェーン店、大型商業施設などに対象を拡大した。1984年には、日系企業の海外進出に合わせて香港に拠点(現在は閉鎖)を設け、アジア進出を開始した。現在では、台湾、中国(以下、上海)、シンガポール、ベトナム、マレーシアに拠点を持つ。イオン<8267>グループ(代表プロジェクト:越谷レイクタウン)や森ビル(株)(代表プロジェクト:麻布台ヒルズ)など大手デベロッパーとの取引実績が豊富である。従業員数は554名(2025年12月期末時点)、設計・デザイン系人材が約4割、監理・施工管理系人材が約3割で層が厚い。2016年に東京証券取引所(以下、東証)2部上場、2017年に東証1部へ昇格、2022年に東証スタンダード市場に移行した。2025年に入り、マーサージャパン(株)(オフィス強化)、コクヨ<7984>(オフィス強化)、米国Autodesk, Inc.(BIM※推進)と業界大手企業と戦略的な提携を行っている。
※ BIM:Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の略。
1. 事業概要
同社事業は商環境創造事業のみの単一セグメントであるが、市場分野別に「専門店」「大型店・複合商業施設」「オフィス・余暇施設等」の3分野に分けて管理している。売上高構成比では、「専門店分野」が31.9%、「大型店・複合商業施設分野」が36.7%、「オフィス・余暇施設等分野」が31.4%(いずれも2025年12月期)である。特に「オフィス・余暇施設等分野」を注力分野としており、業績の成長性も高い。なお、海外事業の売上高構成比は12.0%(同)である。近年では、業務効率化や生産性向上を目的としてBIMを推進している。特に3Dビジュアライゼーションの活用が合意形成の迅速化に大きく貢献し、関係者の理解度深化や時間短縮及びそれに伴うクリエイティブ作業の時間増加につながっている。BIM基本技術の習得人材比率は設計職の7割を超える。
2. 業績動向
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比13.4%増の32,831百万円、営業利益が同20.2%増の2,305百万円と前期比で2ケタの増収及び営業増益となり、2016年12月上場以来の最高益となった。売上高の増加要因としては、注力して取り組む「オフィス・余暇施設等分野」が同3,279百万円増、「専門店分野」が同1,603百万円増と増収をけん引した。具体的には、戦略的営業活動により受注拡大に取り組むオフィス関連施設、余暇施設及びラグジュアリーな空間の飲食店及び物販店の新装、昨年から継続して推進していたインフラ施設の案件などが増収に寄与した。海外では、台湾の長期にわたる大型開発案件の進捗などにより増収となった。売上総利益は、増収を主因に同5.8%の増加、一方で売上総利益率は同1.4ポイント低下した。これは、売上の増加に伴い事業部門社員の増員含め事業に関わる業務比率を増加させたこと、その人件費・工事経費を売上原価に計上したことが主な要因である。販管費は、逆に上記の事業部門の人件費・工事経費を売上原価に計上したことにより減少し、販管費率は同1.8ポイント低下した。結果として、営業利益は同20.2%増と大幅な増益となった。各利益の水準は同社上場来の最高益を更新した。
2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比12.7%増の37,000百万円、営業利益が同1.9%増の2,350百万円と、売上高・利益の堅実な成長を予想する。2025年12月期末の受注残高は前期末比29.0%増の8,429百万円であり、例年では通期売上計画に対して20%前後となっているが、今期はそれを3ポイント上回る。特に、「オフィス・余暇施設等分野」での受注残高が5,500百万円と多いことが進行期の特徴である。営業利益は同1.9%増、経常利益は同0.0%増と増益率は鈍化する予想だが、中期的な成長に向けて積極的な先行投資や体制強化を織り込んだ計画と見ている。弊社では、ディスプレイ業界が活況であること、過去の実績などによりリピート顧客(ファン)が増えていること、過去3年は期初予想から上振れて着地しており、やや保守的な業績計画であることなどから、予想を超えることが期待できると考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社では、2025年12月期を初年度、2027年12月期を最終年度とする「中期経営計画2027」を推進中である。スローガンは、“Create More Fun and More Fans!”であり、顧客志向をさらに深め、より高付加価値の提供を宣言している。重点施策には、(1) 未来を創る人材の育成と獲得、(2) “Good Ethical Company”のファンベース構築、(3) サービス領域の拡大と提供価値の向上、(4) 持続的成長を支えるサプライチェーン、(5) グローバル市場の深耕、を掲げた。数値計画では、最終年度となる2027年12月期に、売上高で400億円、営業利益で25億円、親会社株主に帰属する当期純利益で17億円を目指す。事業領域では、短期的には「オフィス・余暇施設等分野」が、中期的には海外市場が成長ドライバーとなろう。進捗は順調であり、中期経営計画最終年度のさらにその先を見据えた先行投資が進行している。
■Key Points
・商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”が特長。調査・分析から運営まで空間創造を一気通貫で支援
・2025年12月期は「オフィス・余暇施設等分野」が成長をけん引し、上場来最高益を更新
・2026年12月期は売上高で2ケタ成長予想、体制強化を進めながら着実な増益を見込む
・「中期経営計画2027」の重点施策と、その先の中期的な成長に向けた先行投資が進行中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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