SBSHD Research Memo(5):2026年12月期は収益構造改革やM&A効果により2ケタ増収増益見通し
1. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高で前期比14.2%増の560,000百万円、営業利益で同12.7%増の24,000百万円、経常利益で同13.5%増の24,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同14.6%増の13,500百万円と2ケタ増収増益を見込み、過去最高業績を更新する見通しだ。売上高は、物流事業における成長戦略の推進並びに新規連結効果が増収要因となる。利益面では増収効果に加えて、物流事業の収益構造改革、新規連結効果が増益要因となる。
2026年12月期第1四半期よりブリヂストン物流が連結業績に加わり、前下期から連結化したBlackbird Logisticsが通年で寄与することにより、売上高で約610億円、営業利益で約20億円の増収増益要因となる見通しだ。のれん償却額の増加分が2社合計で4.7億円※となるため、営業利益の実質寄与分は15億円程度となる見込みだ。これら新規連結効果を除いた既存事業ベースで見ると、売上高は約2%増、営業利益は約6%増となる計算で、堅実な計画を見込んでいることになる。なお、2026年12月期は前半に不動産流動化を予定しているため、中間期に収益が偏重する計画となっている。
※ のれん償却額はブリヂストン物流が2.7億円、Blackbird Logisticsが4億円(前期比2億円増)でいずれも20年定額償却。なお、Blackbird Logisticsについては2025年12月に追加で20%の株式を取得。
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比14.5%増の527,000百万円、営業利益は同23.7%増の14,700百万円を計画している。重点3分野の成長や新規連結効果に加えて、料金適正化への取り組みや収益構造改革による不採算事業拠点の収支改善等が増収増益要因となる。
主要子会社3社(SBS東芝ロジスティクス、SBSネクサード、SBSロジコム)のうち、SBS東芝ロジスティクスは売上高で前期比横ばいの1,260億円、営業利益で前期比8%増の55億円を見込む。計画策定時期(2025年秋頃)に対して2025年12月期の実績が上振れたため、売上は横ばい見通しとなっているが、実際には数%程度の増収が可能と見られる。SBSネクサードは収益性の改善を最重要課題として取り組むため、売上高は同1%増の1,094億円と微増にとどまるが、営業利益は不採算事業所の損益改善効果等により同27%増の38億円と増益に転じる見通し。SBSロジコムはEC事業者向けのフルフィルメントサービス「EC物流お任せくん」の事業をSBSホールディングスから移管した。前期実績を遡及修正したベースと比較して売上高は同3%増の839億円と若干の増収を見込み、営業利益も不採算事業所の損益改善により同8%増の55億円を見込む。その他の子会社では、SBS即配サポートが競争激化の影響で低迷が続く以外は、総じて堅調に推移する見通しとなっている。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比3.5%増の20,000百万円、営業利益は同1.6%減の9,000百万円とほぼ前期比横ばい水準を計画している。不動産流動化事業は、「野田瀬戸物流センター」の第2期分(40%に相当)を第1四半期に流動化し、84億円の売却益を計上する見込みとなっている。残り25%については2027年12月期第1四半期に売却する予定となっている。賃料収入については若干の増収を見込んでいる。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比20.6%増の13,000百万円、営業利益は同3.7%増の700百万円となる見通しである。マーケティング事業の成長を見込んでいる。
2030年12月期に売上高7,000億円、営業利益380億円を目指す
2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
同社は2030年12月期までの5ヶ年の新中期経営計画「Harmonized Growth 2030」を発表した。利益成長を伴うバランスの取れた安定成長に取り組むことをテーマに掲げた。基本方針として、物流事業の成長戦略(3PL、国際物流、EC物流)&不動産開発によるオーガニック成長と、独自の競争優位性を持つM&Aによるインオーガニックな高成長を組み合わせた成長の実現に取り組むとともに、近年低下していた物流事業の営業利益率改善に向けた収益構造改革を推進することで、売上成長とバランスの取れた利益成長を目指す。
オーガニック成長では、グループ各社が持つ独自性(旧親会社という強固な顧客基盤を有し、特定領域において圧倒的な競争力を持つ)を維持・発展させるとともに、グループ各社が連携(=プラットフォーム化)することによってシナジーを創出していく。不動産開発事業については安定収益基盤として位置付け、継続的に開発投資と流動化による資金回収を行い、3PL事業の拡大につなげていく。インオーガニック成長となるM&A戦略では、対象先としてこれまでと同様にメーカー系物流会社や、輸送別ネットワークの強化につながる企業をターゲットにし、国内外問わず検討していく。
一方、収益構造改革については、4つのKPI(不採算拠点・事業の撲滅、倉庫空き坪の解消、人員構成の最適化、料金適正化の取り組み強化)を軸にPDCAを回しながら収益性の改善に取り組むほか、新規受注案件の審査体制を強化すべく、同社主導でグループ共通の審査体制を構築していく考えだ。これまでは、事業規模の拡大を優先して採算が低い案件でも受注を取りに行き、結果的に収益の足を引っ張ったケースが散見され、近年の利益率低下の一因となっていた。これらの取り組みにより、物流事業の営業利益率を2025年2月期の2.6%から2030年12月期は4.5%まで引き上げることを目指す。
(2) 経営数値目標
2030年12月期の経営数値目標として、売上高7,000億円、営業利益380億円、ROE14.1%、物流事業における営業利益率4.5%を設定した。5年間の年平均成長率は売上高で7.4%、営業利益で12.4%となる。新規M&Aの効果については2030年12月期に売上高で600億円を織り込んでいる。M&A案件は多いため、実際には上振れする可能性も十分にあるが、利益成長を伴うバランスの取れた成長を目指していること、物流事業の収益性向上も目標に掲げていることから、今回の中期経営計画では保守的に数値を織り込んでいるようだ。
事業セグメント別の年平均成長率を見ると、物流事業は売上高で4.6%(新規M&A除く)、営業利益で17.1%、不動産事業は売上高で18.8%、営業利益で2.9%、その他事業は売上高で10.5%、営業利益で23.2%となる。物流事業のうち、重点3分野について見ると、3PLが7.7%、国際物流が7.5%、EC物流が4.2%となっている。EC物流の成長率が低いように見えるが、本格参入して2年間の経験を踏まえて、グループ各社がもっとも得意とする領域を定めて、しっかり利益が伴う事業展開を進めていく計画としたためだ。3PLや国際物流に関しては事業全体を上回る成長率を見込んでいる。不動産事業に関しては継続的な不動産開発と流動化を行うなかで、売上規模の拡大を見込んでいる。利益面では、建築コストの上昇により利益率の低下を想定しているが、流動化規模の拡大によって利益額の水準を維持していく方針だ。
主要グループ会社3社については、売上高で年率2%台と堅実な成長となり、いずれも収益性の改善を見込んでおり、なかでもSBSネクサードはここ数年、収益性が低下していたこともあって改善余地が大きいと見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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