ベルトラ Research Memo(4):商流拡大により資産規模が拡大、利益計上により財務基盤の強化が進む
2. 財務状況と経営指標
2025年12月期末の資産合計は、前期末比738百万円増加し9,323百万円となった。このうち、流動資産は同490百万円増加し8,336百万円となった。主に、現金及び預金が520百万円増加したことによる。固定資産は同248百万円増加し、986百万円となった。主に、ソフトウェアの取得が117百万円、ソフトウェア仮勘定が93百万円それぞれ増加したことによる。
負債合計は、前期末比657百万円増加し6,353百万円となった。このうち、流動負債は同657百万円増加し6,353百万円となった。これは主に営業未払金が389百万円、前受金が230百万円それぞれ増加したことによる。固定負債は、同横ばいであった。
純資産合計は、前期末比81百万円増加し2,969百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が140百万円増加したことによる。
自己資本比率は28.3%と前期末比0.8ポイント低下したものの、これはLINKTIVITYの取引拡大に伴い売掛金や前受金が増加したことが主因であり、事業規模の拡大に起因する運転資本の増加が反映されたものである。利益の計上により純資産は増加しており、収益回復の動きは着実に財務面にも表れている。
財務全体を見ると、資産規模は拡大し、営業黒字化により自己資本の積み上げも進んだ。負債の増加は事業成長に伴う商流拡大の結果であり、資金繰り面での大きな懸念は生じていないと見ている。業績は改善基調にあり、今後は利益の積み上げによる自己資本の充実とキャッシュ創出力の強化がどの程度進むかが注目点となろう。
3. キャッシュ・フロー
2025年12月期の営業活動によるキャッシュ・フローは920百万円の収入となった。主な増加要因は、仕入債務の増加392百万円、前受金の増加231百万円などで、主な減少要因は前渡金の増加149百万円などである。投資活動によるキャッシュ・フローは388百万円の支出となった。これは主に、固定資産の取得による支出400百万円などによる。フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は531百万円の収入であり、本業で創出した資金で成長投資を十分に賄える状態にある。需要回復を背景に、キャッシュ創出力が安定してきたと評価できる。財務活動によるキャッシュ・フローは0百万円の収入となった。その結果、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比520百万円増の5,686百万円と積み上がった。財務基盤は一段と強化されており、今後の成長投資や不測の環境変化にも対応できる資金余力が高まったと見る。
■今後の見通し
2026年12月期は大幅増益の見通し。構造改革による収益基盤強化と成長投資に注目
同社の2026年12月期の連結業績は、営業収益が前期比9.1%増の5,000百万円、営業利益が同261.5%増の380百万円、経常利益が同266.7%増の366百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同141.3%増の340百万円の見通しである。
同社は2026年12月期を、売上成長の最大化を追求する局面から、収益基盤の強化とキャッシュ創出力の向上を優先する局面へ転換する1年と位置付けている。営業収益は着実な拡大を見込む一方で、組織体制の再構築や拠点の最適化により固定費の圧縮と生産性向上を推進し、営業利益は前期比3.6倍の水準へ拡大する計画である。
OTA事業では、既に確立された収益基盤を一段と高める方針である。勝率の高い市場・商品・チャネルに経営資源を集中し、顧客獲得コストの最適化とリピート率向上により営業レバレッジの最大化を図る。加えて、マレーシア法人の機能を国内へ統合し開発拠点を集約するとともに、企画・開発・運用が一体となった自律型小規模チームを基軸とする職能横断モデルを本格導入することで、ガバナンス強化と意思決定の迅速化を進める。国内開発リソースについても戦略的優先順位に基づく再配置を行い、高付加価値領域への集中を図ることで、組織全体の投資対効果を高める方針である。これらの施策は短期的なコスト最適化にとどまらず、中期的なキャッシュ創出力の底上げにつながると見られる。
観光IT事業では、サービス領域の拡張を継続しながらも投資規律を強化し、収益確保フェーズへの移行を図る。インバウンド需要については保守的な前提を置き、外部環境に過度に依存しない計画とする一方で、既存販売網の深耕やパートナー連携強化により安定的な成長を目指す。LINKTIVITYについては、これまでの先行投資を回収する収益化フェーズへ移行し、安定的に高い利益を創出できる体制の構築を目標とする。損失幅の縮小にとどまらず、黒字化を視野に入れた事業運営へ段階的に転換していく方針である。
なお、特別利益としてマレーシア法人閉鎖に伴う分配利益、特別損失として子会社における資金流出事案に伴うコストを見込んでいるものの、純額での業績影響は限定的と見込まれる。
筆者は、今回の構造改革が単なるコスト削減に終わらず、組織の機動力向上と資本効率改善に結び付くかが最大の注目点と考える。特に営業レバレッジがどの程度顕在化し、営業利益率やフリー・キャッシュ・フローが安定的な拡大基調へ転じるかを注視したい。また、創出したキャッシュが高付加価値領域やデータ活用分野へ再投資され、顧客単価、LTV、リピート率などの改善につながるかも重要である。トップライン成長と収益性向上を両立することができれば、同社の企業価値評価が見直される可能性があると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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