ムゲンエステート Research Memo:2025年12月期は収益性重視で売上・各利益ともに過去最高を更新
1. 2025年12月期通期の業績概要
2025年12月期通期は、売上高が前期比9.8%増の68,262百万円、営業利益が同14.8%増の11,049百万円、経常利益が同12.3%増の9,951百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.4%増の6,659百万円と、売上高、各利益とも、過去最高を更新した。
日本銀行による政策金利の引き上げが実施され金利水準が上昇しているものの、世界的に見れば日本の水準は依然として低位にあり、不動産市場への影響は限定的にとどまっている。2025年(1月~12月)の首都圏の中古マンション成約件数は3年連続の上昇、成約価格は13年連続の上昇となった。首都圏の不動産に関しては、物件への投資金額が上昇するものの、賃料上昇により収益性が確保できている状況といえるだろう。
主力の買取再販事業では、堅調な市場環境を背景に国内外投資家からの需要が堅調に推移し、投資用不動産及び居住用不動産ともに売上高を伸ばした。特に第4四半期には、想定を上回る複数の大型物件の販売が進捗し、通期計画の上振れの要因となった。内訳としては、投資用不動産の売上高は、前期比14.1%増の30,866百万円、居住用不動産は同16.0%増の32,438百万円といずれも好調である。販売エリアに関しては、投資用不動産産の販売における東京都の構成比が63.4%(前期比3.5pt増)と高いが、地方エリアの構成比も販売件数・販売金額ともに前期比で増加している。海外投資家向けの売上高構成比が高いのも同社の特徴である。不動産開発事業および不動産特定共同事業は、前期比で減収となった。利益に関しては、増収効果に加え、収益性を重視した販売により売上総利益率で28.3%(前期比1.6pt増)と上昇したことで売上総利益額が伸びた。人件費の増加などにより販管費も増加したものの、営業利益で前期比14.8%増、営業利益率でも16.2%(同0.7pt増)となった。
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期は、売上高は前期比16.1%増の79,286百万円、営業利益が同12.2%増の12,398百万円、経常利益が同11.1%増11,058百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.1%増の7,595百万円と、売上高および各利益ともに二桁成長を予想する。
主力の買取再販事業では、営業基盤の強化と物件の高単価化により、営業生産性の向上を図る。前期に引き続き、物流施設、ホテル、ヘルスケア施設などの取り扱いアセットの多様化も推進する計画である。事業別では、買取再販事業の投資用不動産が前期比27.6%増の39,379百万円、居住用不動産が同4.2%減の31,086百万円とメリハリをつけ、投資用不動産を買取再販事業の成長ドライバーとした。不動産開発事業は、ブランディングや環境認証の取得を通して開発物件の価値向上を図る等により早期売却につなげる(同229.5%増)。不動産特定共同事業は、税制改正大綱公表の影響を踏まえ、慎重に事業の拡大を目指す(同84.9%増)。新規事業のアセットマネジメント事業は、2025年12月に第二種金融商品取引業と投資助言・代理業の登録を完了しており、早期の私募ファンドの組成を目指す。期末の販売用不動産は75,600百万円(前期末比14,874百万円増、うち投資用不動産は11,872百万円増)と十分である。足元の収益実績では2025年12月期下半期の営業利益ベースで前年同期比21.2%増であり、進行期予想(同12.2%増)は実現性が高い。人員増強やDX化にも取り組んでおり計画達成に向け条件が整っていると言えるだろう。
成長戦略・トピック:進行中の第3次中計の数値計画を収益重視に修正
同社では、2027年12月期を最終年度とする3か年の第3次中期経営計画が進行している。2027 年の同社のあるべき姿として「組織力の強化を起点に、事業領域の拡大と新規事業の創出」と定め、「事業領域の拡大」と「新たな価値創造」に向けた取り組み等を推進している。この中計の位置づけ・戦略に変更は行わないものの、2025年12月期の実績も踏まえ、より実現可能性の高い計画へ見直しを行った、2026年12月期は、収益性を重視し、売上高は当初計画から減額、各利益は若干上回る計画とした(前述)。最終年度の2027年12月期は、金利環境等の先行き不透明感を考慮し、売上高、各利益ともに減額修正し、より実現可能性の高い計画とした。ただし、2027年12月期の売上高予想94,770百万円(2025年12月期実績の1.39倍)、営業利益予想で13,843百万円(同1.25倍)とやや厳しくなる環境の中でも事業の成長性は維持する計画である。
株主還元策:2025年12月期は10円増配の通期114円(中間期45円済、期末は計画から2円増配の69円実施予想)。進行期は年間130円配当予想
同社は、株主への利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けており、長期的な事業拡大のため財務体質の強化と内部留保の充実を図りつつ、安定した配当を継続することを基本方針とている。利益配分は、業績の水準やバランスシートをベースとする資本コストや資本収益性等を総合的に勘案し、中長期的な連結配当性向の目標水準を40%以上としている。2025年12月期は、中間配当が導入され、年間配当114円(前期比10円増配、中間期45円済、期末は計画から2円増配の69円実施予想)、配当性向40.0%の実施となった。2026年12月期は、年間配当130円(前期比16円増配、中間期52円、期末78円)、配当性向40.2%を予想する。
(執筆:客員アナリスト 角田秀夫)
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