NISA時代の新基準――営業利益15倍のRIZAP、すかいらーく、ギフトHDら「稼ぐ力」のある還元銘柄3選
特に、原材料高や人件費増といったインフレ局面において、企業が安定した株主還元を継続するためには、コスト増を跳ね返す「本業の稼ぐ力(営業利益)」の成長が不可欠である。投資家にとって最も魅力的な局面とは、多額の先行投資や大規模な構造改革のステージを完遂し、まさに「収益化・投資回収フェーズ」へと移行した瞬間だといえる。こうした企業は、利益の急拡大と株主還元の余力が同時に高まる「成長の黄金期」にあるからだ。
本稿では、営業利益の爆発的成長と、驚異的な還元利回りを両立する「実利型成長銘柄」に焦点を当て、最新の決算データをもとに、その変革の軌跡と将来の収益ポテンシャルを分析する。
1. RIZAPグループ<2928>
RIZAPグループは、自己投資産業を軸に「結果にコミットする」サービスを展開する企業である。現在はコンビニジム「chocoZAP」を成長の柱に据え、独自の「無人運営エコシステム」と「DX戦略」を通じて、低コストかつ高密度な出店を実現している。1,800店舗超の直営店で培ったノウハウをFC(フランチャイズ)展開へ開放する「二刀流」戦略により、資本効率の最大化と安定した収益基盤の確立を両立させている。
(1)2026年3月期第3四半期の業績概要
同社は2026年3月期第3四半期累計の連結業績において、営業利益が7,688百万円(同1,558.5%増)となり、chocoZAP事業の黒字化定着により約15.5倍という驚異的な成長を遂げた。最終損益は1,744百万円の損失となったが、これは第1四半期に計上したRIZAP(株)に対する債権放棄に伴う一過性の損失(59億円)が主因である。このキャッシュアウトを伴わない特殊要因を除いた「補正後最終利益」は42億円の大幅黒字を確保しており、実力値ベースの収益力は極めて高い水準にある。
(2)事業戦略と将来の成長可能性
同社の将来性を決定づけるのは、chocoZAP事業で確立した「筋肉質な事業基盤」の拡張性である。第一に、出店余地の劇的な拡大が挙げられる。当初想定していた人口密度5,000人/1キロ平方メートルという基準を覆し、新モデルの検証によって「人口密度50人」の過疎地でも収益化が可能であることを証明した。これにより、出店余地は従来の常識を大幅に突破している 。 第二に、資本効率を最大化する「直営×FC」の二刀流戦略である。1,800店舗超の直営店で培った無人運営のノウハウをFCパートナーへ開放することで、自社資本に依存しないレバレッジの効いた出店スピードを実現するフェーズに入った。 第三に、海外市場への「勝ちパターン」の横展開である。香港での成功モデルを基に、シンガポールやマレーシアへの進出を決定しており、単月黒字化までのスピードは当初の3倍に加速している。これらにより、中期的な営業利益のさらなる積み上げと、健康の社会インフラとしての地位確立が期待される。
(3)株主還元と投資判断
通期業績予想の達成を前提とした3年ぶりの復配方針とともに、驚異的な優待利回りを維持している。2026年3月末権利確定分では、400株保有時の優待総額が50,760円相当となり、総合利回りは61.3%(2026年2月10日終値換算)に達する。先行投資期から回収フェーズへの完全移行を考慮すれば、極めて投資魅力の高い水準といえる。
2. すかいらーくホールディングス<3197>
ファミリーレストラン最大手。不採算店舗の閉鎖と全店規模での配膳ロボット導入等のDX投資により、損益分岐点の引き下げを完了している。
(1)2025年12月期第3四半期の業績概要
2025年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上収益339,642百万円(前年同期比15.3%増)、営業利益23,854百万円(同23.7%増)と大幅な増収増益を達成した。DX導入による人件費抑制が奏功し、売上の伸びを上回るペースで利益が拡大する収益構造へと変貌。通期の売上収益は445,000百万円、営業利益は29,000百万円を見込むなど、過去の投資が利益へと転換する局面を迎えている。
(2)事業戦略と将来の成長可能性
将来の成長ドライバーとして、2027年までの中期事業計画では、国内外で計300店舗の新規出店目標を掲げている。特にM&Aで傘下に収めた「資さんうどん」の全国展開や、台湾・米国を中心とした海外事業が収益の柱となりつつある。既存店においても、AIを活用した需要予測による食材ロス低減と、客単価3〜4%の安定成長を目標としたプライシング戦略を推進しており、店舗あたりの収益性を高める「筋肉質な成長」を継続する方針である。
(3)株主還元と投資判断
株主優待は、100株保有で年間4,000円相当の飲食カードを贈呈し、2025年12月期の年間配当は2,200百万円(1株当たり22円)を予定している。安定したキャッシュフローに支えられた優待の継続性は、インフレ局面における実質的な生活支援としての価値も高く、ポートフォリオの安定感を高める優良銘柄である。
3. ギフトホールディングス<9279>
横浜家系ラーメン「町田商店」を主軸に展開。直営店で磨いた高収益フォーマットをプロデュース事業(FC)へ横展開するモデルが強みである。
(1)2025年10月期通期の業績概要
2025年10月期連結決算は、売上高35,878百万円(前期比26.0%増)、営業利益3,367百万円(同15.8%増)と、二桁の増収増益を達成した。店舗数はQ3時点で797店舗に達し、ドミナント展開による物流・採用の効率化が利益率の維持に寄与している。価格改定を適切に実施しながら客数を維持する「ブランド力の強さ」が顕著である。
(2)事業戦略と将来の成長可能性
中期計画の最終年度である2027年に向けて、国内1,000店舗体制の構築と営業利益5,000百万円超の達成を目標に掲げている。地方都市への積極的な出店余地を残しており、直営店での成功モデルを即座にプロデュース事業へ展開することで、資産を持たない高利益率な収益を積み上げる。また、DX推進による店舗管理の自動化や海外市場でのマルチブランド戦略を加速させており、2026年10月期も20%規模の利益成長が射程圏内にある。
(3)株主還元と投資判断
100株保有でラーメン1杯無料券(年2回、長期保有で増量)を贈呈しており、実質的な利回りは高い。2025年10月期は配当を22円へ増配し、2026年10月期もさらなる増配(26円、総額約1,300百万円予想)を見込むなど、成長に伴う還元拡大が鮮明である。高いROE(自己資本利益率)を維持したまま成長を続ける同社は、トータルリターン重視の投資家にとって有望な選択肢といえる。
■Key Points
市場の潮流: 投資家の関心は「優待の魅力」から「事業成長の裏付けがある還元の持続性」へシフト。
RIZAPグループ: chocoZAPの投資回収期が終了し、営業利益は15.5倍の7,688百万円へ激増。実力値ベース(補正後最終益)は4,200百万円の黒字。
将来の成長性: RIZAPの「過疎地モデル×FC展開」、すかいらーくの「海外展開×DX」、ギフトの「国内1,000店目標」と、各社が明確な定量目標を掲げた再成長フェーズにある。
<AK>
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