TDSE Research Memo(2):AI技術を軸にコンサルティングや製品販売を展開
1. 会社概要
TDSE<7046>は、コンサルティング事業、プロダクト事業、AIエージェント事業の3つの事業を展開している。コンサルティング事業では、顧客企業にAIを活用した統合ソリューションを提供しており、プロダクト事業では、他社から導入した高度な技術・性能のAI製品や自社開発したAI製品を販売している。AIエージェント事業は、生成AIの急成長にスピード感をもって対応するため、2026年3月期に既存事業から戦略的に移管させた事業で、最新の生成AI技術によるAIエージェント※サービスを提供している。同社では、システム実装まで一気通貫したエンジニアリングや、経験豊富なデータサイエンティストによるデータ分析、最新のAI製品などに強みがある。コンサルティング事業が安定収益型モデル、プロダクト事業及びAIエージェント事業が高成長型モデルとなっている。顧客には小売やサービス、金融などの大手有力企業が多い。現状の売上高構成比はコンサルティング事業が全体の8割以上と圧倒的に大きいが、プロダクト事業とAIエージェント事業は急速な成長を確保しており、業績貢献度や市場からの期待値も顕著に高まっている。
※ AIエージェント:ユーザーを補助し、目標達成のために最適な手段を自律的に選択してタスクを実行するAI技術。
強みのあるAI製品を多数抱えている
2. 事業内容
(1) コンサルティング事業
コンサルティング事業では、データドリブン経営を目指す企業に、分析ノウハウを軸とした統合型ソリューションを提供している。企業がDXを進める際、多くの場合プロセスごとに専門特化した業者が担うことが多いが、同社は、データ活用のテーマ抽出からデータ分析・AIモデル構築、システム構築・実装、保守・チューニング、教育まで、顧客企業が進める事業戦略に寄り添った一気通貫したサービスを提供している。
(2) プロダクト事業
プロダクト事業では、自社製AI製品「TDSEシリーズ」や他社製AI製品、業務特有のAIモジュール※を顧客企業に提供しており、サービス利用料や運用・保守料を受領することで収益が積み重なるストック型収益構造である。取扱製品の中心は、同社設立直後の2014年に代理店契約を締結した米国Quid, Inc.の製品だ。主力の「Quid Monitor」はクラウドベースのハイエンドなソーシャルリスニングツールで、強みは、XやFacebook、Instagram、YouTubeなど正式に使用契約した豊富なソーシャルメディアデータを、圧倒的な処理スピードで様々な角度からリアルタイムに分析できる点にある。また、50ヶ国以上の言語に対応しているうえ、標準装備のAPI(Application Programming Interface)によって簡単に他のシステムと連携できる点、さらに、キーワードだけでなく人(アカウント)に着目した分析によって従来のソーシャルリスニングツールでは難しかったビジネスへの関連付けが容易な点も強みである。このため、これまでに累計300社を超える企業に導入された実績がある。「Quid Monitor」のほか、競合企業のSNSアカウントの分析ができる「Quid Compete」(旧 「Rival IQ」)やテキストデータからインサイトを導く「Quid Discover」(旧 「Quid」)などのラインナップがある。Quid製品は独自の生成AI機能を搭載するなどアップグレードを続けてきたため、足元で優位性が一気に高まってきたようだ。さらに、2024年5月に自社開発の「TDSE KAIZODE」がラインナップに加わった。「TDSE KAIZODE」は、国内ローカルニーズにも適応できる多様な分析機能や、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)を組み合わせた最新ロジック機能に特徴がある。
※ 異常検知や物体認識などのAIモデル(未学習モデルを含む)で、業務システムやアプリケーションなどに組み込むAIシステムの根幹。「scorobo」というブランドでAIモジュールを販売していたが、ブランディング戦略のなかで「scorobo」を収束し、「TDSE」を冠した自社製品へとシフトしている。
(3) AIエージェント事業
ドイツのベンチャー企業Cognigy GmbHの対話型AIプラットフォーム「Cognigy」や、同社が独自開発した国内初の生成AI「QAジェネレーター」などの製品を扱っている。「Cognigy」は、最先端の自然言語処理と自然言語理解技術を強みとしており、20以上のチャネルと30以上の業務システムにつなげるコネクターを装備し、短期間で拡張性の高い対話型AIを開発することができる。多言語対応のバーチャルエージェントは100ヶ国以上の言語をサポートし、OpenAI LPの「ChatGPT」や「QAジェネレーター」などの生成AIと連携、自然言語処理の精度向上に必要な膨大な学習用QAを自動生成することができる。ビジネスユーザーが簡単に開発できるローコード仕様になっているため、欧米では自動車メーカーや銀行、航空会社など500社以上の有力企業が導入している。一方「QAジェネレーター」は、規程やマニュアルなどのドキュメントから膨大な組み合わせのFAQを独自AIで自動生成することができる。現在、LLMの回答精度向上に向けたRAG※に対応するなど、機能アップに向けて積極的に開発を進めている。
※ RAG(Retrieval-Augmented Generation):検索拡張生成のこと。LLMに検索技術を組み合わせて回答精度を向上させること。
2024年には、米国の生成AIアプリ開発企業LangGenius,Inc.と国内初のパートナーシップを組み、生成AIアプリ開発プラットフォーム「Dify」の取り扱いを開始した。多様なLLMに接続が可能でRAGによるナレッジ機能や外部ツールとのAPI連携ができる「Dify」の特徴は、「Cognigy」がルールどおりに答えを出すことに強みを発揮するのに対し、答えを創造できる点にある。このため、コールセンターのあり方を変えるかもしれないとさえ言われている。また、クローズド環境で活用することを前提に開発された点、導入コストが安くAI専門家でないビジネスパーソンでも扱える点、NVIDIAの最新統合AIプラットフォームを利用しているためレスポンススピードが速い点※なども強みである。特にクロードである点は大きな強みで、主流の「ChatGPT」をはじめ「Microsoft Azure」やGoogle、Amazonといったオープン型の生成AIを利用する場合は情報漏洩のリスクを覚悟しなければならないが、「Dify」では構築次第でそのリスクを大幅に低減できる。このため、製造業や金融機関からの注目を集めている。また、「Dify」を扱っている企業は国内に5〜6社あるが、同社の場合、「Dify」の商用ライセンスを持っている点、AIの知見がありLLMを理解している点、コンサルティング(需要予測や与信などを分析するAI)と組み合わせることができる点、さらに、率先して「Dify」のマーケティングを行っているという点で優位性があり、商用ライセンス代理店第1号となった同社はLangGeniusより信頼があり、一目置かれている。そのため、同社コンサルティング事業で抱えている技術要員を多数同事業にシフトすることができれば、「Dify」は同社の中長期成長を大幅に押し上げる製品に育っていくと考えられる。
※ AIとビジュアライゼーションのソリューションカンパニーであるジーデップ・アドバンス<5885>と協業し、「Dify」を用いた生成AIの開発を「NVIDIA DGXTM B200」のプライベートクラウド上で利用するサービス「GX CLOUD × Dify」の提供を2025年6月に開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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