児玉化 Research Memo(4):2025年3月期はM&A費用がかさみ微減益
1. 2025年3月期の業績概要
児玉化学工業<4222>の2025年3月期の業績は、売上高が15,842百万円(前期比7.8%増)、営業利益が162百万円(同1.8%減)、経常利益が97百万円(同302.1%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は132百万円(前期は243百万円の損失)と、増収減益となった。
前期に影響を及ぼした自動車業界全般における認証不正問題のような悪材料が見当たらず、レクサスをはじめメイン車種の生産台数が堅調に推移したことから、「モビリティ事業」が好調となった。自動車部品に関しては、企業によって生産台数に跛行色が生じており、どこに納入するかが業績の浮沈につながる傾向にあるが、同社の場合、トヨタ自動車などの納入先が好調なため、順調に売上を拡大できたという。同事業の売上高は11,090百万円(前期比15.3%増)、セグメント利益は508百万円(同66.7%増)となった。
一方、「リビングスペース事業」においては、総じて見た場合は厳しい状態が続いている。さらに、世界的な原油・原材料の価格高騰によるコスト負担増が覆い被さり、マイナス要因となった。この結果、同事業は売上高が4,263百万円(同6.0%減)、セグメント利益は338百万円(同9.1%減)となった。
「アドバンスド&エッセンシャル事業」は、売上高が488百万円(同9.9%減)、セグメント利益が7百万円(同90.8%減)となった。ゲームソフト用パッケージが販売減となったほか、新複合材製品で一部販売延期の影響があり、大幅減益となった。
全体としては、「モビリティ事業」の好調により営業利益は270百万円程度が見込まれたものの、大型のM&A費用で109百万円の負担が生じたため、わずかながらだが減益を余儀なくされた。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期は、前述のメプロホールディングスの買収が通期寄与することで、売上高が75,000百万円(前期比373.4%増)、営業利益が1,200百万円(同638.8%増)、経常利益が650百万円(同564.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が20,000百万円(前期は132百万円の損失)と大幅な増収増益を見込んでいる。
主力の「モビリティ事業」は、納入先の自動車メーカーが予定している生産台数に左右されるビジネス形態から、顧客の収益計画に沿う形で見通しを立てているが、結論から言うと、従来セグメントとメプログループで加わる製品群のいずれも、トヨタ自動車、ホンダなどメインの納入先が、懸念される米トランプ政権による相互関税の影響が比較的小さいと思われる企業とされるため、現時点での計画が大きく下振れするリスクは低いだろう。「モビリティ事業」は堅調に推移すると見られるが、「リビングスペース事業」は住宅需要の低迷が続いていることから伸びは期待しにくいだろう。
一方、収益が一気に拡大する要因は、メプログループを傘下入りさせたことにほかならない。各事業領域において、既存製品でのシェア拡大や収益力強化に加え、新製品開発や新市場展開にも積極的に取り組む方針だ。現時点で会社側が公表している分野別の2026年3月期の売上高計画は、樹脂成形事業の児玉化学工業で、「モビリティ事業」が10,000百万円、「リビングスペース事業」が4,500百万円、「アドバンスド&エッセンシャル事業」が500百万円、アルミダイカスト・鉄鍛造事業の柳河精機が44,000百万円、焼結事業のダイヤメットが16,000百万円となっている。
同社は、2022年6月に現在走っている2026年3月期を最終年度とする中期経営計画「KCI2025」を策定し、最終年度に連結売上高22,500百万円、連結営業利益2,250百万円の達成を目標に掲げていた。メプログループとのM&Aによって大幅に超過することになった。これを踏まえ、当面の基本方針となる「新生児玉化学工業グループビジョン」を2025年5月に公表した。今回のM&Aによって、同社の樹脂技術とメプログループが有する金属技術が融合することによって、競争優位を確立するとともに、成長を加速させることがビジョンを掲げた目的だ。製品ポートフォリオの拡大、グループ事業基盤の有効活用による中長期的なシナジー効果の模索など、両者の経営資源をフルに活用し、樹脂と金属という2つのコア技術の融合で唯一無二のソリューションパートナーを目指すという。これまで培ってきたモビリティ領域のみならず、モビリティ以外の領域でも事業拡大を狙う。
事業成長の方策としては、短期的には各社の強みと市場環境を踏まえた個社事業領域の強化及び成長ドライバーを着実に推進し、中長期的には、モビリティ領域でのシナジー追求、また、モビリティ以外の領域での新市場・顧客開拓を「樹脂×金属の融合」により新たな製品を開発することによって推進する方針だ。
とりわけ、主力のモビリティ領域においては、クロスセルや新製品開発、海外事業の強化やコスト効率化などのシナジーを模索する。各社とも海外に3拠点ずつ計9拠点を有効活用するほか、国内10拠点のサプライチェーンの最適化を図る。
同社の将来的な課題として浮上するのが復配と自己株買いであろう。株主還元に対する市場の関心がかつてないほど高まるなか、再建が完了し、飛躍が見込める状況になったことで、同社では今後、株主還元を検討していくものと見られる。5月28日に公表された譲渡制限付株式を用いた報酬制度の導入を踏まえると、総還元性向が同社への投資を判断するうえでの重要な指標になりそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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