タナベ Research Memo(1):創業以来の過去最高売上高・利益を達成
タナベコンサルティンググループ<9644>並びに主要事業会社であるタナベコンサルティングは、今年創業68年を迎える日本の経営コンサルティングのパイオニアである。中堅企業を中心とした大企業から中規模企業のトップマネジメント(経営者層)を主要顧客とし、経営戦略の策定からDXによる現場での経営オペレーションの実装・実行まで、経営の上流から下流までを一気通貫で支援するチームコンサルティングを提供している。チームコンサルティングにおいては、顧客企業が抱える個別の経営課題に応じて、戦略課題・業種・地域特性の観点で複数名の最適な専門コンサルタントを選定し、チームを組成する。トップマネジメントに不可欠な経営技術やテクノロジーを診療科目とする経営コンサルティング領域として、現在は「ストラテジー&ドメイン」「デジタル・DX」「HR」「ファイナンス・M&A」「ブランド&PR」の5つの領域を展開している。
この「トップマネジメントアプローチ」というスタイルで企業個別の本質的な課題を見極め、一気通貫で解決することで、顧客基盤の拡大と数十年にも及ぶ長期契約を実現していること、また全国主要10都市にコンサルタントが常駐する事業拠点を置き、地域密着型のコンサルティングサービスを展開していることも特徴であり、強みとなっている。加えて、2019年以降は経営コンサルティングメニューの拡充とプロフェッショナルDXサービス(現場の実行支援におけるデジタル技術を駆使したサービスメニュー)の強化を図るべく、M&Aを積極的に推進してきた。2019年にBtoB企業向けにデジタルマーケティングを提供する(株)リーディング・ソリューション、2021年にクロスボーダーを含むM&A全般の支援やバックオフィス部門のBPR/DX支援を提供するグローウィン・パートナーズ(株)、ブランディングやCXデザインを提供する(株)ジェイスリー、2023年に国内外で戦略PRコンサルティングを提供する(株)カーツメディアワークス、2024年に女性チームが顧客創造支援や組織・人材育成(DE&I)支援を提供する(株)Surpass、直近では2025年6月にEAP(従業員支援プログラム)のパイオニアとして従業員の健康や職場環境の向上などを支援するピースマインド(株)をグループ会社化した。
1. 2025年3月期業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比14.2%増の14,543百万円、営業利益で同48.6%増の1,500百万円と過去最高業績を更新した。「デジタル・DX」領域を中心にすべての領域で増収を達成したほか、新たにグループ化したSurpassの業績が7ヶ月分加わったことも上乗せ要因となった。ここ数年の積極的なM&Aと新商品・サービスの開発によりコンサルティングメニューの拡充に取り組んできたことで、顧客企業が抱える様々な経営課題(中期経営計画の策定やDX推進、人的資本経営、事業承継など)に対応できるようになったことが増収につながった。KPIとしているチームコンサルティング件数は同5.8%増の1,946件、売上高は大型プロジェクトが増えたことにより同22.0%増の9,869百万円となり、1件あたり売上単価も上昇した。利益面では、M&A、人的資本、DX、働く環境、ブランディング等への未来に向けた投資を実行した上で、高付加価値案件の増加や生産性向上が進み、営業利益率で前期の7.9%から10.3%に上昇した。
2. 2026年3月期業績見通し
中期経営計画の最終年度となる2026年3月期は、売上高で前期比10.0%増の16,000百万円、営業利益で同20.0%増の1,800百万円を計画している。中期経営計画目標値は当初売上高15,000百万円、営業利益1,800百万円だったが、M&A効果もあってチームコンサルティング売上高が順調に拡大しており、売上高は当初目標値を若干上回る見通しだ。領域別では「ストラテジー&ドメイン」と「HR」領域が2ケタ増収となり、全体をけん引する。従業員数も中期経営計画目標の800名(2025年3月末711名)の達成に向けて、各業界・職種の実務経験者を全国で採用するほか、コンサルタントの生産性向上を支援するアシスタント人材も積極的に採用する予定となっているが、先述したピースマインド(株)のグループ化に伴う人員増により、現時点で目標は達成できる見込みである。
3. 成長戦略と株主還元方針
同社はM&A戦略により、提供可能な経営コンサルティング領域やメニューを拡大しながら事業成長を続けており、中期経営計画の業績目標も達成する可能性が高い。今後も経営コンサルティング領域の専門性と総合性をより一層高め、顧客企業の経営課題を全方位から解決する体制を構築することで、さらなる成長を目指す考えである。M&Aについても、グループシナジーが期待できる案件については引き続き前向きに検討する方針だ。なお、同社は中期経営計画で目標に掲げる「ROE(株主資本当期純利益率)10%」「時価総額250億円」を達成するために、株主還元も強化している。具体的には、2026年3月期まで「連結総還元性向100%を目安」という大胆な株主還元方針を掲げており、「DOE(株主資本配当率)6%以上」の安定的な配当を継続するとともに、「機動的な自己株式の収得」も実施している。同方針に基づき、2025年3月期の1株当たり配当金は前期比4.0円増配の48.0円と4期連続の増配を実施した。2025年4月に1:2の株式分割を実施しており、2026年3月期の1株当たり配当金は実質2.0円増配の26.0円を予定している。また、新たに株主優待制度の導入(9月末を基準日として保有株数に応じてQUOカードを贈呈)と、自己株式取得(上限35万株、2億円、取得期間:2025年6月12日〜10月31日)を発表した。
■Key Points
・2025年3月期は、創業以来の過去最高売上高・利益を達成、会社計画を超過達成
・2026年3月期も旺盛な経営コンサルティング需要を追い風に、過去最高売上高・利益を更新する見通し
・経営コンサルティング領域の多角化戦略が奏功し、中期経営計画の売上高目標を上方修正
・株主優待制度を新たに導入、配当金もDOE6%以上を目安に増配が続く
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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