株式会社ハルメクホールディングス×著名投資家DAIBOUCHOU氏対談動画文字起こし(9)
ハルメクホールディングスは、シニア女性を主な顧客とする企業で、著名投資家DAIBOUCHOU氏との対談で、システムのリニューアルによる除却損の課題と、今後のデジタルシフト戦略について語りました。将来的なシステムリニューアルに伴う大規模な除却損発生の見通しはないものの、経済的健全性を維持しています。また、顧客のデジタルリテラシーの向上を背景に、デジタルサービスの強化を進め、紙からデジタルへの移行を計画。特に電子媒体においては、インタラクティブなコンテンツを提供し、65歳以上のデジタルに親和性の高いシニア層へのサービス拡充を目指しています。アナログとデジタルのハイブリッド戦略を展開し、ECなどのオンライン販売強化も推進します。一方、プレシニア市場においては、ブランドの信頼性と関係性を活用しつつ、新たなデジタルサービス「HALMEK up」を通じて市場開拓を目指します。
もっとも、システムは常に一定のタイミングでリニューアルが必要になりますので、将来的には何らかの除却損が発生する可能性はあると考えています。とはいえ、その他の周辺システムは基幹システムと比較して規模も小さいため、前回のような大規模な除却損が再び発生することは、当面はないと見込んでおります。
●DAIBOUCHOU
つまり、当初は次期基幹システムへの全面的な入れ替えを予定していたものの、最終的には既存システムのバージョンアップによって対応が可能となり、新システムへの移行は不要になった、ということですね。
その結果として、今期までに計上された5.7億円や2.2億円といったシステム除却損は、今期以降は同様の規模では発生しない見通しとなり、増益要因として投資家からも前向きに評価できる内容かと思います。
では次に、アナログ事業からデジタル事業へのシフトについてお伺いします。御社は今後、事業の軸足をデジタルへ移していく方針とされていますが、具体的にどのような変化を想定されているのでしょうか? たとえば、紙の雑誌から電子書籍への移行といったイメージになるのでしょうか。
■ハルメクHD 宮澤様
まず、マクロなトレンドとして、私どものお客様の「デジタルリテラシー」、つまりデジタル機器やサービスの利用能力は、年々確実に上昇してきていると認識しています。実際、当社のお客様の約97%はすでにスマートフォンをお持ちであり、以前と比べてもかなり普及が進みました。もちろん、スマホを持っていても使いこなすレベルには差がありますが、全体としてはデジタルへの抵抗感が薄れてきており、それに伴って紙の媒体、いわゆるアナログなツールの必要性は徐々に低下していく傾向にあります。たとえば新聞も、70代以上ではまだ読まれている方が多い一方で、50代になると購読していない方が増えているように、情報収集の方法自体が変わってきています。
当社の主なお客様であるシニア女性は、まさにこのアナログとデジタルの端境期に位置する世代です。つまり、デジタルに馴染んだ方もいれば、アナログの方が安心という方もおり、両者が混在しているのが現状です。ですが、今後は間違いなくデジタルに強い方の比率が増えていきますので、それに応じたサービス提供が必要になると考えています。
具体的には、現在メインのお客様層である65歳〜85歳の「アクティブシニア」の方々に加え、これからはよりデジタルに親和性の高い65歳以上の方、さらには50代の新しい顧客層も開拓していきたいと考えています。この層はネットで商品を購入したり、情報を得たりする習慣が強いので、それに合わせたデジタルサービスを展開していく方針です。
ご質問の「紙雑誌から電子書籍への移行」という点ですが、単に雑誌をPDF化するような形は想定していません。むしろ、デジタルの特性を生かして、動画や音声などのコンテンツを含む、よりインタラクティブで生活に役立つ情報を提供したいと考えています。すでに「HALMEK up」というサブスクリプション型のサービスを展開しており、こちらでは毎月定額でデジタルコンテンツをお楽しみいただけるような形で取り組んでいます。
とはいえ、雑誌が完全になくなるとも考えていません。タブレットでは再現できない、紙ならではの「ページをめくる」「パッと全体を見渡せる」といった利便性や感覚的な良さは根強く残っており、特にシニア世代ではまだ一定のニーズがあると思っています。ですから、デジタルシフトは進めつつも、紙の雑誌は残していくという、ハイブリッドな形が現実的だと考えています。
また、物販についても同様で、現在はカタログや新聞広告が中心ですが、ECサイト経由の売上比率を現在の2割からさらに高めていきたいと思っています。カタログ、EC、リアル店舗を連携させた「オムニチャネル」や「OMO(Online Merges with Offline)」の形で、お客様にとって利便性の高い購買体験を提供していく方針です。
●DAIBOUCHOU
確かに、雑誌には雑誌ならではの良さがあって、特にファッション系の雑誌などは大きな画面で見たいというニーズは根強いと思います。また、最近ではYouTubeやInstagramなど、SNSを通じた動画コンテンツも非常に有力な情報発信のチャンネルになっていますよね。そういったメディアも活用されることで、より多様な形でお客様にアプローチできるのではないかと思います。
■ハルメクHD 宮澤様
まさに今おっしゃったように、SNSなどのチャネルは、今後ますます新規のお客様を獲得する上で重要になっていくと考えています。企業としての広告活動だけでなく、さまざまなインフルエンサーの声や発信を通じて、当社のサービスに興味を持っていただくケースが今後さらに増えてくると思います。そのためにも、サービス提供の面でも、マーケティング活動の面でも、デジタル化をしっかり進めていく必要があると感じています。
●DAIBOUCHOU
承知しました。今後、50歳から65歳のいわゆる“プレシニア市場”を拡大されるご予定とのことですが、この層の市場は比較的競争も激しい印象を持っています。そうした中で、どのような取り組みを通じて市場を獲得していくご計画なのでしょうか?
■ハルメクHD 宮澤様
おっしゃる通り、プレシニア市場は非常に競争の激しい領域だと認識しております。
そうした中でも、私たちはこれまでと同様に、自社の強みを最大限に活かすことが基本だと考えています。それがアナログかデジタルかにかかわらず、根本的な姿勢は変わりません。具体的には、お客様を深く理解し、お客様視点に立った商品やサービスをつくること、そして質の高い情報や商品を提供することを、これからも大切にしていきたいと考えています。また、単に商品や情報を提供するだけではなく、「ハルメク」というブランドに対する信頼性やお客様との関係性、これも我々の大きな強みだと思っております。デジタルの世界においても、こうした強みをどのように発揮していけるかが重要だと捉えています。
現在は、その第一歩として、50〜64歳の層に向けた「HALMEK up」というデジタルサービスでトライアルを始めている段階です。
●DAIBOUCHOU
確かに、プレシニア市場は競争が厳しいとはいえ、将来的にその世代が60代、70代、80代へと移行していくことを考えると、今のうちにしっかりと市場を押さえておく必要があるということですね。そのような長期的な視点での戦略的意味合いもあるのではないかと感じました。
実は私自身もちょうどその年代に近いので、話を聞きながら自分の妻の姿と重ねて考えていました。もしかすると、うちの妻も御社のお客様になるのかもしれないな、という思いで拝聴しておりました。
株式会社ハルメクホールディングス×著名投資家DAIBOUCHOU氏対談動画文字起こし(10)に続く
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