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ステップ Research Memo(8):横浜・川崎エリアのシェア拡大余地は依然大きく、安定成長が続く見通し(1)


ステップは神奈川県内に特化した学習塾で、特に横浜・川崎エリアでのシェア拡大に注力しています。2025年春には横浜市内の公立トップ校で過去最高の合格者数を達成し、特に川崎の多摩高校でトップ地位を確保しました。ステップは、2026年以降もこのエリアで新規スクールを開校し、生徒数を15%まで引き上げる計画です。さらに、学童保育部門「STEPキッズ」も強化し、高品質なサービスを提供することで、収益と成長を目指しています。政府の子育て支援策もこの成長を後押しするものと期待されています。

*13:28JST ステップ Research Memo(8):横浜・川崎エリアのシェア拡大余地は依然大きく、安定成長が続く見通し(1) ■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
(1) 小中学生部門
ステップ<9795>は神奈川県内に特化した学習塾であり、中長期的に成長を続けるための戦略として、生徒数の増加が見込まれる横浜・川崎エリアでのシェア拡大を最重要課題の1つとして取り組んできた。2025年春の横浜市内の公立トップ校における合格者数は前年比13名増の982名と過去最高を更新するなど着々とシェアを拡大している。県内最難関校とされる横浜翠嵐高校の合格者数については、学習塾の合格者該当基準が大幅に緩和されたこともあり、臨海セミナーに逆転されたが、逆に川崎エリアの最難関校である多摩高校では臨海セミナーからトップの地位を奪取するなど(多摩高校の合格者数は前年比54名増の113名と大幅躍進した)、ブランド力は一段と強固なものとなってきている。ここ数年、川崎エリアへの出校を続けてきた効果が出始めたものと評価できる。同社は横浜翠嵐でも今後圧倒的な合格者数を獲得することを目標としている。志望校の選択は生徒や保護者の意思に委ねているため、同社でコントロールできるものではないが、今までの取り組みを継続していくことで早晩、横浜翠嵐でもトップを奪取できるものと弊社では見ている。2026年以降も横浜・川崎エリアに新規スクールを開校し生徒数を増やす方針であることから、合格者数は今後も伸び続ける可能性が高いと弊社では見ている。

神奈川県内の公立中学校に通う生徒数のうちステップ生の占める比率は2024年10月時点で11.5%(前年同期比0.5ポイント上昇)、このうち横浜・川崎以外の地域は14.7%(同0.2ポイント上昇)、横浜市で10.0%(同0.8ポイント上昇)、川崎市で5.8%(同0.8ポイント上昇)である。一方、2030年までの人口予測によれば横浜市の北部エリアと川崎市は増加傾向にあるが、県西部エリアや横須賀市は減少傾向が続く見通しであり、横浜・川崎エリアでスクール数を増やしてシェアを拡大する戦略は理にかなっていると言える。

同社は当面の目標として、横浜・川崎エリアでの中学生部門の生徒数シェアをそのほかの地域と同水準となる15%程度まで引き上げることを目指している。このため、横浜・川崎エリアでは2026年以降に年間3~4校ペースで新規開校を進める計画だ。川崎エリアでは13スクール前後、横浜エリアでは23スクール前後を開校すれば15%のシェア達成が可能と見ており、今後10年程度かけて展開していく意向だ※。生徒数で換算すれば、全体の公立中学校生徒数並びにほかの地域のステップ生徒数が横ばいで推移したと仮定した場合、横浜・川崎エリアのシェアが15%まで上昇すれば現在の1.29倍まで生徒数を拡大することができる。10年かけて達成したとすると、生徒数の増加ペースは年率3%となる。主要都市部の生徒数シェアを見ると、本社を置く藤沢市で26.2%となっているほか鎌倉市で22.7%、海老名市で20.5%と15%を上回る地域もあり、長期的には横浜・川崎エリアでも15%以上のシェアを獲得する可能性は十分にあると弊社では見ている。実際、横浜市の青葉区と都筑区では17%台までシェアを伸ばしている。スクール展開のペースに関しては、教師の育成と条件にかなう不動産物件が出てくるかがカギを握る。このうち不動産物件の探索に関しては、競合塾が撤退したり金融機関が営業拠点の統廃合を進めたりしている状況から、以前と比べると見つけやすい市場環境になっているようだ。

※ スクール当たりの中学生生徒数150人を前提として計算。

また、小学生部門については引き続き「楽しく学ぶ」ことができる学習塾という同社の特徴であり強みを、さらに磨いていくことで生徒数の増加につなげていく考えだ。楽しく学べる環境づくりを教師も意識しながら取り組むことで、生徒数の増加につなげていく。

(2) 高校生部門
高校生部門では、授業の質を維持しながらスクールを増やす方針のため、新規開校は教師のリソースを確保してからとなる。現役高校生で難関大学の合格を目指す学生にとっては、トップレベルのブランド力を有するまでになっており、新規校舎の開設や移転・増床が進めば自ずと生徒数も増加していくことが予想される。

まずは、満席状態が続いている校舎の増床などにより、競合塾に流れている生徒を獲得し機会損失を防ぐことが課題となる。横浜校は横浜翠嵐高校の生徒の通塾エリアであり、同校の生徒を増やすことができれば、難関大学の合格者数も一段とアップすることが見込まれる。さらには、川崎エリアについても小中学生の卒塾生が増えるなかで、大学受験に向けてSTEPに通塾したいとの声が年々増えてきており、早期進出が望まれる。

(3) 学童保育部門
「STEPキッズ」は、知的好奇心を育む豊富なプログラム(15種類)を差別化戦略として今後も教室の拡大に必要となる人的リソースや組織体制を構築しながら着実に成長を目指していくと予想される。学童保育に必要とされる人材は学習塾の教師とは異なる部分も多く、子どもの可能性や潜在能力をうまく引き出す力が求められる。同社は「STEP」の女性講師で結婚後に育児休職から復帰する人材など、学童保育部門の適性に合った人材を育成する研修カリキュラムを作り、こうしたリソースを拡充する考えだ。

教室展開については、近隣に小中学生部門のスクールがあり、かつ学童サービスのニーズが強い地域に開校していくことが予想される。近隣にSTEPスクールがあることで、学習プログラムに応じてスクールの教師や教師経験者がサポートに入るなど効率的な運営が可能となるほか、マーケティング面においても既にSTEPのブランドが確立していることから、広告宣伝費が少なくて済み効率的なためだ。生徒1人当たりの売上単価は約50万円、1教室当たりの定員数は120名前後を目安に3年で収益化するビジネスモデルで展開する。

学童保育部門が本格的に加わることで、対象学年が小学1年生~高校3年生と学年数で見れば従来の1.5倍に拡大することになり、売上成長ポテンシャルが高まるだけでなく、収益性の向上にもつながりやすくなる。今後年間70人ペースで生徒が増加した場合、年間売上高は35百万円増、利益率を20%とすれば営業利益は7百万円増のペースで拡大することになる。もちろん品質の高いサービスを提供する運営体制が構築できれば、複数教室を展開し成長スピードを加速することも可能である。政府も子育て支援策については充実させていく方針を打ち出しており、学童保育部門の成長を後押しするものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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