CRI・MW Research Memo(6):ゲーム、モビリティ、TeleXus関連を3本柱に
CRI・ミドルウェアは成長戦略として、ゲームから得た技術や資金をエンタープライズ事業に投入し、3本柱の事業構造(ゲーム、モビリティ、TeleXus)を構築します。これにより、長期的に事業拡大を目指し、5〜10年後に100億円企業となることを目標としています。 ゲーム分野では、国内外でのアライアンスや製品投入を通じて市場拡大を進めます。モビリティ分野では、「CRI ADX-AT」や「CRI Glassco」を推進し、国内外のメーカーへの浸透を図ります。TeleXus関連では、AI通訳機能などを強みに、ゲーム市場や非ゲーム市場への展開を模索します。 全体として、売上高を現在から大幅に増やす計画で、特に「CRI Glassco」がモビリティ部門での成長の鍵を握ると期待されています。
1. 基本方針
成長戦略における基本方針として、ゲーム事業で得られた技術やノウハウ、知見、資金を、エンタープライズ事業の研究開発や営業強化に投下することで事業領域を拡げ、CRIグループ全体で飛躍的な成長を目指すこととしている。そのなかで、ゲーム依存の事業構造を、中長期的にゲーム、モビリティ、TeleXus関連の3本柱をコア事業とする事業構造へと変革させる。そのうえで、5~10年後に100億円企業となることを目指す。併せて、現在「CRI TeleXus」の投資フェーズで低下している利益率を、許諾ビジネスの拡大などによって大幅に引き上げる方針だ。
モビリティでは「CRI Glassco」がけん引役に
2. コア事業の成長戦略
(1) ゲーム
国内はアライアンス、海外は進出加速に重点を置く。国内は、既存のミドルウェアビジネスを維持しつつ、新製品投入やヤマハなど他社製品とのアライアンスによって機能強化や製品ラインナップの拡充を推進してシェアを拡大し、同社の技術や製品が多くのゲームタイトルに関与することを目指す。特に新製品の「CRI Clovis」はリアルな情報とゲーム内をリンクできるため、スポーツゲームや推し活、コミュニケーションゲームでの採用拡大が期待される。海外は、中国ビジネスの再拡大と欧米市場への再進出を目指すが、中国ではコロナ禍などで停滞していたゲーム市場が回復基調に入ったことから勢いを増す。また、第3のOSと言われる「HarmonyOS NEXT」をターゲットにすることで、iOSとAndroidと合わせて3つのプラットフォームにおいて「CRIWARE」ブランドの許諾ビジネスの拡大を目指す。このため営業力を強化し、再度成長軌道へと戻す方針である。欧米ではGDC(Game Developers Conference:ゲーム開発者会議)への出展を機に再進出を図り、子会社設立や販売代理店との提携によって現地での販売機能を強化する。既に「Destiny」や「Hitman」など大規模タイトルへのミドルウェア導入実績があること、現地で「CRI Sofdec」など映像関連ミドルウェアの評価が高いこと、早くもDICOドイツ社と販売代理契約を締結したこと、インディーゲームが増えていることなどから、欧米での拡販は意外とスムーズに進む可能性がある。この結果、売上高を17億円から5~10年後には30億円に拡大する。
(2) モビリティ
「CRI ADX-AT」と「CRI Glassco」のモビリティへの導入が順調で、日系のみならず海外メーカーへの導入も進めることから、成長可能性を強く感じられる。ドライバーに重要な情報を整理して伝える技術はゲームで使われている技術と同様であるため、同社は優位性を発揮しやすい状況にあると言える。このため当面は、「CRI ADX-AT」と「CRI Glassco」で車種・メーカーの横展開を進め、採用実績を積み上げていく。同社は成長ドライバーとなる製品を多く抱えているが、なかでも「CRI ADX-AT」は車室内外の様々な音を制御できるうえ、音質・音量を損なわずコストや部品点数、実装面積、電力消費を大幅に削減できる点が好評で、四輪車の世界生産台数の20%弱(1,500万台)への採用を目指すとともに、メーターからETCなど他の機能へと拡げることで車両1台当たりの収入増加も目指す。また、新ソリューションの「CRI SOLIDAS」は調達・在庫リスクの小さい少量の汎用部品で構成されるうえ、最小のシステム構成であらゆる製品に対応できる強みを活かし、モビリティへの採用を目指す。「CRI Glassco」はゲームで培ったUI技術で直観的に操作できるという強みを背景に、二輪車市場での実績を四輪車市場へと広げ、二輪車と四輪車を合わせた世界生産台数の10%弱(1,100万台)のシェアを目指す。この結果、売上高を現在の3億円から5〜10年後には30億円へと拡大する方針だ。特に「CRI Glassco」が足元で急速に立ち上がっており、売上高30億円達成へのけん引役が期待される。
(3) TeleXus関連
「CRI TeleXus」は、大人数同時会話、立体音響・空間演出、AI通訳といった機能に強みを持っている。このため、リアルタイムコミュニケーション技術やコミュニケーション空間での映像と音声の高度な伝達技術などによって、オンラインコミュニケーションプラットフォームを構築できる。特に開発中の新機能であるAI通訳機能は、実用的な翻訳精度や翻訳速度、多言語対応という強みにより、外国人と会話する場面で容易に言語の壁を取り払うことができる。こうした強みを背景に、ゲーム市場で採用タイトルの増加に注力し、非ゲーム市場ではモビリティ、イベント、教育などの新規市場への進出を目指す。具体的な戦略としては、ゲーム市場で採用実績を積み上げることで、低遅延で低負荷という他のボイスチャットに対する優位性を認知してもらい、ユーザーの利用を増やす戦略で、既にVR対戦アクションゲーム「ブレイゼンブレイズ」へ採用されている。モビリティ分野では、コネクテッドカー(Connected Car)※1の普及によって形成が予測されるMaaS(Mobility as a Service)※2コミュニティをサポートする計画だ。また、観客の歓声や熱気までも感じられる立体音響を活用したオンラインイベントを実現することでリアル開催とは別の収入源とすることや、先生やクラスメートの位置関係から教室内の音場を再現することでオンライン学習のときに感じる孤独感を緩和することなども想定している。TeleXus関連の売上高は現状微々たる数字だが、非ゲーム市場への展開を強めることで、5〜10年後には30億円に拡大する方針だ。
※1 インターネットに常時接続している自動車。
※2 旅行者など移動ニーズに個別に対応できる、複数の公共交通や様々な移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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