ハークスレイ Research Memo:2025年、積極投資で稼ぐ力向上も、不動産販売減や米価高騰で減収減益
ハークスレイは「中食」「店舗アセット&ソリューション」「物流・食品加工」事業を通じ、積極的なM&Aや設備投資を行う企業です。しかし、2025年3月期は不動産販売の減少や米価高騰による影響で売上と利益が減少しました。ただし、物流・食品加工事業の戦略的投資が奏功し、セグメント売上高が最大となり、収益力が向上しています。 2026年3月期の予想では、売上の増加が見込まれるものの、営業利益は減少する見通しです。また、株式会社ティーケーピーとの業務提携により、ケータリング事業の強化を図っています。株主還元策として、年間配当を前年よりも増やす方針を掲げ、将来的な成長投資に配分しつつ、株主に還元する姿勢を示しています。
1. 2025年3月期通期の業績概要
2025年3月期通期は、売上高が前期比3.4%減の45,175百万円、営業利益が同20.7%減の1,931百万円、経常利益が同19.6%減の2,082百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同24.8%減の1,204百万円と、減収減益となった。過去最高売上・利益だった前期には及ばなかったものの、コロナ禍の影響から脱し、過去3年間(2022年3月期~2025年3月期)の年平均成長率は売上高で12.5%、営業利益で20.8%となっており、業績回復・拡大基調は維持している。
売上高に関しては、「物流・食品加工事業」で2024年12月に連結子会社となった(株)ホソヤコーポレーションの押し上げ効果に加え豆菓子事業やカミッサリー事業も好調に推移したほか、「中食事業」でほっかほっか亭の既存店売上高が前年比でプラスに推移するなど増収要因があった。一方で、「店舗アセット&ソリューション事業」においては、政策金利引き上げに伴う市場金利上昇への警戒感などから不動産市況への影響が表れ、不動産販売の条件が整わず販売を延伸し、前期の不動産販売売上の剥落によりセグメント売上で3,574百万円減となったことが全社的な減収要因として大きかった。また、今期から「物流・食品加工事業」での販売手数料を売上減額処理に変更したため、見かけの売上高が減少した(影響1,135百万円減)。「中食事業」のセグメント売上高は同2.6%増の17,325百万円、「店舗アセット&ソリューション事業のセグメント売上高は同22.7%減の12,190百万円、「物流・食品加工事業」のセグメント売上高は同9.6%増の18,091百万円となった。
営業利益は、売上総利益が前期比5.0%減の14,491百万円となったことが主因となり、販管費を同2.0%減の12,559百万円と抑制したものの営業減益となった。セグメント利益では、お米を中心とするコスト上昇による利益圧迫が発生した「中食事業」でセグメント損失72百万円(前期259百万円)、不動産販売の剥落があった「店舗アセット&ソリューション事業」で前期比11.3%減の1,734百万円と減益となった。なお「中食事業」では、2025年3月期下半期単独では黒字転換しており環境変化への対応に目途がついた。「物流・食品加工事業」は、定番豆菓子商品等の増収・カミッサリーの稼働率向上や生産コスト低減により同31.9%増のセグメント利益888百万円となった。
「物流・食品加工事業」への戦略的な投資が奏功し、同社売上高における最大のセグメントとなり、稼ぐ力も着実に向上していることがわかる。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期は、売上高は前期比16.7%増の52,700百万円、営業利益が同1.6%減の1,900百万円、経常利益が同23.2%減の1,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.0%減の1,000百万円と、増収減益の予想となった。2026年3月期の「物流・食品加工事業」では連結子会社(株)ホソヤコーポレーションの年間を通した売上及び利益の連結がプラス要因となる一方で、のれん償却・菓子原料のコスト上昇なども見込む。「店舗アセット&ソリューション事業」では、不動産管理テナント数を、立地を重視しつつ増加させるなど安定的なストック売上を着実に行う。なお、不動産販売(物件売却)の売上高および利益は見込まない予想数値としているため、売却が成立した場合は予想が上振れる可能性もある。「中食事業」は、2025年3月期の下半期単独で黒字転換した実績があり、大阪・関西万博に協賛・出展などによる大型受注なども期待できる。
成長戦略:株式会社ティーケーピーとの業務提携によりケータリング事業等を強化
同社では、2024年6月には、“食のインテグレーション企業”を標榜する中期経営目標を発表し、その中で成長戦略として、「成長投資による経営基盤の強化(足場固め)」による利益拡大を掲げている。具体的には、「物流・食品加工事業」を中心に食品製造・冷凍食品製造などの事業領域への成長投資が中心となるが、「中食事業」においても、新商品、デジタル販促、大型パーティー、イベントの需要取り込みなどによる基盤強化を計画する。
同社は、2025年4月、遊休不動産を活用して空間を再生し、付加価値を加えた総合的な空間サービスを提供する株式会社ティーケーピー(以下TKP)と業務提携契約を締結した。この業務提携の一環として、同社子会社で、仕出し料理・ケータリング・お弁当宅配事業を展開する株式会社味工房スイセンの発行済株式の一部(発行済み株式総数に対する所有割合35%)を譲渡することを決定した。両社の有する経営資源及び経営ノウハウを有効活用し、事業効率の向上等を図り、味工房スイセンにおけるケータリング事業等の発展やTKPの顧客に向けたハークスレイグループ製品の販売等も検討し、両社の企業価値向上を目指す。
株主還元策:「前年を下回らない増配」が基本方針。2025年3月期は2円増の26円実施(中間13円、期末13円)、2026年3月期は2円増の28円予想(中間14円、期末14円)
同社は、安定的な配当の継続を基本方針とし、将来に向けた成長投資に利益を配分するとともに、株主への利益還元重視の姿勢をより明確にするため、1株当たり当期純利益の伸長に合わせて「前年を下回らない増配を目指す」としている。中期経営目標では最終年度の2028年3月期に年間配当35.0円とする目標を掲げており、毎年2.0円から3.0円前後の増配ペースが期待できる。自己株式の取得については、資本水準や株式市場の環境に加え、ROEや1株当たり当期純利益が伸長する効果を総合的に勘案し、機動的に実施するとしている。2025年3月期は、年間配当26.0円(同2.0円増配、中間期13円済、期末13円実施)、配当性向39.9%となった。2026年3月期は、年間配当28.0円(同2.0円増配、中間期14円、期末14円)、配当性向51.8%を予想する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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