CACHD Research Memo(3):国内ITと海外ITの2セグメントで事業を展開
CAC Holdingsは「国内IT事業」と「海外IT事業」の2セグメントで事業を展開しています。国内IT事業は売上の74.7%を占める主力で、システム構築や運用管理、人事BPOサービスを提供。特に、プライム契約が90%の高水準で、金融機関向けシステムに強みがあります。また、クラウド対応を加速し、多数の大手企業をサポートしています。一方、人事BPOサービスでは、長崎に拠点を拡大し、バックオフィス業務受託を深化。さらに、AIを用いたデジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組み、AIトランスフォーメーションを2025年度の重点施策としています。自社AIを活用したビジネスの本格化を目指し、業務の高度化と自動化を推進しています。
同社の報告セグメントは「国内IT事業」と「海外IT事業」の2つである。なお、意思決定を迅速化し機動的な事業遂行を実現するため、コアICT担当・海外統括担当・新規事業推進担当・経営統括担当・戦略インテグレーション担当それぞれに執行役員を配している。
プライム契約比率90%を誇る国内IT事業
1. 国内IT事業
国内IT事業は、売上構成比の74.7%(2024年12月期)を占める同社の主力事業であり、国内子会社を通じてシステム構築サービス・システム運用管理サービス・人事BPOサービスなどを展開している。同社は独立系SIerの立場で、プライムコントラクタとして最終顧客のニーズを的確かつ直接汲み取り、顧客に最適なサービスを提供することにこだわってきた。実際、国内IT事業の中核を担うシーエーシーは、400社程度の顧客を抱えるなかでプライム契約比率は約90%の水準をキープし、売上総利益率は25%程度を確保していると見られる。
(1) 銀行・信託向けに強みを有するシステム構築サービス
システム構築サービスは、情報システムの企画から設計・開発・テスト・導入・保守まで、企業情報システムの構築をトータルに実施するものである。売上高上位の顧客には、複数の金融機関や大手信託銀行が名を連ねている。半世紀超にわたりプライムコントラクタとして専門性の高い業務知識と経験を培ってきた結果、メガバンク向けの市場系や海外系システム、信託銀行向けの年金関連システムに強みを有している。同社は2025年より、AIエージェントの導入によってシステム構築や運用業務の効率化を図る方針だ。
(2) クラウド対応を進めるシステム運用管理サービス
システム運用管理サービスは、1971年のアウトソーシング・サービス専門会社(SSK)への出資を起源としている。現在は運用プロセス管理・業務運用・ユーザー支援・クライアント機器管理・アプリケーション運用・インフラ運用など、システムの運用に必要な機能をトータルに提供している。大手製薬企業への総合的なサービス提供を通じて蓄積した運用ノウハウやM&Aにより様々な業種(製造業や商社、水産・食品)のニーズを取り込んだことが強みとなっている。
また、2012年からはクラウド対応についても急ピッチで強化してきた。AWS(Amazon Web Services)でのシステムインテグレーションやシステム開発などの実績が非常に豊富であるとして「APNアドバンストコンサルティングパートナー」に認定されており、現在は大手金融機関や製薬企業など40社以上をサポートしている。クラウド化の加速はITベンダーにとって既存ビジネスの縮小を招く可能性があるが、同社はマネージドサービスへの注力などにより、その影響は限定的であると分析している。さらに、AIツールなどの活用による業務効率化にも取り組んでいる。
(3) 人事BPOサービス
人事BPOサービスは、ITを活用して人事業務などのビジネスプロセスを企業の担当者に代わって遂行するものである。一般的な給与計算などに留まらず、人事制度の運用や労務管理、福利厚生管理、そのほか人事業務全般で業務受託を行っている。2019年7月には「長崎BPOセンター(長崎BizPORT内)」を、2021年11月には「長崎NBCオフィス」を長崎市に開設し、事業拡大を図っている。人事業務全般に限らず総務・経理業務なども視野に入れ、バックオフィス業務の包括的な受託を目指している。
なお、「長崎BPOセンター」では2020年4月から医薬系ITサービスの提供を、同年9月からは金融機関向けシステム開発サービスの提供を開始している。また、「長崎NBCオフィス」では人事給与BPOサービスの提供に加え、「HCTech AI Lab長崎」として先端技術の研究・開発とIT活用のためのファシリテーション等の機能も担い、長崎の地域課題解決と地方創生に貢献する取り組みを進めている。2025年には長崎エリアにおける業容拡大に向けて、長崎市内の2つの既存事業拠点の統合および「長崎スタジアムシティ」オフィス棟への拡張移転を2月25日(火)に完了し、長崎オフィスを開設している。同社にとって長崎の事業拠点は、単なるBPOセンターを超えて国内IT事業の重要なニアショア拠点となっている。
(4) AIトランスフォーメーションへの取り組み
同社は、急速に進化するICT技術が社会全般を変革するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の普及について、既存SIerにとってチャンスでもありピンチでもあると認識している。DXは、新たな事業を創出するだけでなく既存ビジネスのデザインも変革していく。つまり、仮想世界と物理的世界が融合された新世界で、ヒト・モノ・カネ・ビジネスが相互作用をもたらすことに対応したデジタルビジネスへの移行が求められている。
こうした状況を踏まえ、同社は2025年度、「AI Transformationの展開」を重点施策と位置づけ、自社AIを活用したビジネスを本格化する方針である。この重点施策では、既存の受託事業におけるAIの積極的な活用と、そこから得られる知見を活かした新たな事業機会を創出する。背景には、生成AIの急速な浸透が社会全体にもたらす変化と、顧客企業のAIに対する関心の高まりがある。同社は、システム構築や運用といった受託事業にAIエージェントを導入することで、業務の高度化と自動化を推進し、生産性向上とリードタイム短縮により顧客への付加価値提供を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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