CACHD Research Memo(2):1966年設立。積極的なM&Aと海外展開で成長した独立系SIerの先駆者
CAC Holdings<4725>は、(株)コンピュータアプリケーションズ(CAC)として1966年8月に設立された独立系ソフトウェア専門会社のパイオニアである。創業理念は「独立・中立」「成果物責任(請負)」「ユーザー指向」であり、その考え方は「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」という現在の企業理念へと受け継がれている。
現在は国内外でのIT事業に経営資源を集中しており、連結子会社は23社、持分法適用関連会社は3社、グループ従業員数は4,653名(2024年12月末時点)となっている。
半世紀を超える同社の歴史を振り返ると、自社のコアコンピタンス(核となる能力)を育み大切にしながらも、時代の変化を敏感に嗅ぎ取り新たな価値創造に挑戦し続けてきた姿が見て取れる。
1. 独立系SIerのパイオニアとして優良な顧客基盤を築いたIT事業拡大期
同社の前身であるCACは1966年の設立から時を経ずして、システム構築業務の企画・構築及びサポート等を請け負うSIerへと業容を拡大し、1988年には通産省(現 経済産業省)による「システム・インテグレータ登録・認定制度」の発足とともに認定企業となった。「顧客のビジネスを支援するには、情報システムの運用・管理を専門企業が引き受けるべき」との考えから、1971年には日本システムサービス(株)(SSK)に出資し、日本初のアウトソーシング・サービス専門会社として事業を開始し、1973年には、情報処理とファイリング・サービスを主業務とする(株)システムユティリティ(SUC)を設立するなど、グループとして事業領域の拡大を続けてきた。
1994年に上記3社(CAC・SSK・SUC)が合併し(株)シーエーシーとして、システムの企画・構築から運用までを一貫して提供できる体制を名実ともに整え、IT事業拡大期を迎える。オーガニックな成長に加え、上場(1999年に店頭登録銘柄として株式公開、2000年には東京証券取引所第1部に上場)以降は、M&Aによる事業拡大を一段と積極化した。具体的には、2000年に(株)アークシステム、2002年に(株)湯浅ナレッジインダストリ(その後、(株)シーエーシーナレッジに商号変更。現 ユアサシステムソリューションズ(株))、2003年には(株)オルビス(現 (株)CACオルビス)及び(株)マルハシステムズ(その後、(株)CACマルハニチロシステムズに商号変更。現 マルハニチロソリューションズ(株))を子会社化した。これら各社は顧客である有力企業のIT子会社である。このことは、顧客から見た同社の位置付けを示す好事例とも言える。なお、シーエーシーナレッジについては、ユアサ商事<8074>との関係強化(2020年10月に資本業務提携)が図られるなかで、2021年2月に連結子会社から持分法適用関連会社に移行し、同年4月にはユアサシステムソリューションズに商号変更した。
同社はプライムコントラクタ(元請け)の立場で、様々な業種に向けて最適化したサービスを提供することにこだわってきた。元請け契約は成果物責任を負うため、委任型契約や二次受け契約に比べリスクは大きいものの、最終顧客のニーズを的確かつ直接汲み取ることが可能(結果、顧客ニーズを満たせば大きな利益を獲得できる)であり、「ユーザー指向」という同社創業理念に合致している。そしてプライムコントラクタとしての顧客との良好な関係が、M&Aを通じたアウトソーシング事業拡大やCRO(医薬BTO)領域への進出につながった。
2. M&A戦略を駆使した2006~2016年のCRO事業展開期
国内IT事業において大手製薬企業を有力顧客としてきたことから、同社は1970年代に治験データの入力業務を開始し、まだ「CRO」という業務用語が日本に存在しなかった1980年代にCRO事業の1つであるデータマネジメントに参入した。その後、同社はM&A戦略を駆使してCRO事業の拡大を推進、2016年にはCROにITを組み合わせた先駆的企業として(株)CACクロア(現 イーピーエス(株))を発足した。しかしながら、IT事業に経営資源を集中するため、2021年6月にCACクロアの全株をイーピーエス(株)に譲渡し、現在に至っている。
3. インド企業買収で幕を開けた海外IT事業の本格展開期、事業再構築を経てM&A戦略を継続
同社は、1) 顧客企業の海外展開に対応した1989年の米国進出、1990年の欧州進出、2) 開発コスト削減をねらったアジア圏進出(2000年に中国)を経て、2014年からM&A戦略を通じて海外での本格展開に挑んだ。具体的には、海外サポート力の拡充を図るため、2014年にインドに拠点を置くIT企業で米国・英国・中東などにも拠点を有するAccel Frontline Limited(現 Inspirisys Solutions Limited。以下、ISL)を15億円強投じて子会社化し、2015年にはシンガポールに拠点を置くIT企業でアジアを中心に医療機関向けに事業を展開しているSierra Solutions Pte.Ltd.を子会社化した。
その後、当初見込んでいた成果が得られないとして、2017年にAccel Frontline Limited(現 ISL)が保有するシンガポールのサイバー・セキュリティシステム会社(Accel Systems & Technologies Pte. Ltd.)、及びSierra Solutionsの全株式を譲渡するなど、海外IT事業の再構築を進めた。2019年10月にインドネシアを主要拠点とするシンガポールのMitrais Pte.Ltd.の株式を100%取得し子会社化するなど、M&A戦略を継続してきた。インド子会社を中心に収益化が課題となっていたが、構造改革の進展により収益性の改善が進んでおり、同社は事業の拡大を目指していくとしている。
4. IT事業拡充・新規事業に向けたM&A
同社は、「CAC Vision 2030」の達成に向けたフェーズ1(2022~2025年度)の最終年度を迎えるにあたり、M&A戦略において既存事業の補強に加えて、特に新規事業の獲得を重点的に実施する方針である。そのために専門部署を新設し、体制強化を図ってきた。フェーズ1期間中(2022~2024年度)には5件のM&Aを実行し、新規連結が増収に寄与している。こうした取り組みの結果、2024年にはソーシング件数が大幅に増加し、約500件の案件を実施したうえで、現在は複数の大型案件について成約に向けた具体的な検討が進んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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