ベルシス24 Research Memo(1):2031年2月期に売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を目指す
ベルシステム24ホールディングスは、国内のコンタクトセンター大手であり、2031年2月期までに売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を目指す中長期成長シナリオを発表しました。2025年2月期の業績は減収・小幅増益となったが、2026年には増収増益を見込んでおり、配当も前期並みの60円を維持予定です。同社は伊藤忠商事やTOPPANホールディングスと提携し、生成AIの活用やアウトソーシングニーズの取り込み、VOCを活用したマーケティング支援を進めています。次期中期計画(2027年2月期以降)に向けて、今後6年間で売上を1.74倍にすることを計画し、特に生成AIの導入に注力しています。
ベルシステム24ホールディングス<6183>は東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する国内コンタクトセンター大手で、傘下に子会社7社を持ち、CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)を主たる事業として全国で事業展開している。2025年2月末現在、国内拠点35拠点、ブース数(同社国内拠点でオペレーション業務を実施する席数)18,100席、従業員数約3万人を擁するコンタクトセンター業界のリーディングカンパニーである。伊藤忠商事<8001>、TOPPANホールディングス<7911>との資本業務提携を最大限に活用して、新たに発表した2031年2月期に向けた「中長期成長シナリオ」の推進により、企業価値のさらなる向上を目指している。
1. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の連結業績は、売上収益143,607百万円(前期比3.4%減)、営業利益11,587百万円(同0.9%増)、税引前利益11,232百万円(同0.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益8,003百万円(同6.1%増)と、計画を下回る小幅の減収増益決算となった。売上収益のうち、基礎業務は新規案件が増加したものの大口案件が減少した。加えて、コロナ等国策関連業務(コロナ関連業務に加えて物価高対策等の経済対策に関連した業務が対象)が、コロナ関連業務の終了により大幅に減少した。売上総利益の減少や減損損失の計上があったものの、販管費の減少や特に子会社の一部株式売却に伴う利益の計上により、営業利益は小幅増益を確保した。親会社の所有者に帰属する当期利益の増益は、主に法人所得税費用の減少による。この結果、営業利益率は8.1%(同0.4ポイント上昇)となった。一方、財務面においては、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は40.2%(同2.2ポイント上昇)であった。2024年3月期東証プライム市場サービス業平均の営業利益率5.3%、自己資本比率5.9%を大きく上回り、引き続き同社の収益性や安全性は極めて高いと弊社では評価する。また、1株当たりの年間配当金は60.0円で、配当性向は55.1%と東証プライム市場サービス業平均の39.0%を上回り、株主重視の経営姿勢を示している。
2. 2026年2月期の業績見通し
2026年2月期の連結業績は、売上収益150,000百万円(前期比4.5%増)、営業利益12,000百万円(同3.6%増)、税引前利益11,760百万円(同4.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益8,100百万円(同1.2%増)の増収増益を予想する。なお、2026年2月期より、CRM事業の売上収益内訳区分を、従来の基礎業務とコロナ等国策関連業務から、今後の注力分野を示すスマートコンタクトセンター(SC)業務とスマートビジネスサポート(SB)業務に変更する。スマートコンタクトセンター業務は、人材不足等によるアウトソース需要の拡大やDXソリューション等の新サービスにより増収を見込む。また、スマートビジネスサポート業務は、BPRコンサルティング(業務プロセスの変革を企画・実行するサービス)案件の伸長に伴う新規の増加により増収を計画する。売上収益の増収効果や連結子会社の業績伸長などにより売上総利益の大幅増加を見込むものの、前期に計上した子会社株式売却に伴う利益の反動等により、営業利益は小幅増益に留まる見通しだ。親会社の所有者に帰属する当期利益も、営業利益の増加に伴い小幅増益を見込んでいる。1株当たりの年間配当予想は60.0円と前期と同水準を維持し、配当性向は54.5%になる見込みだ。今後も連結配当性向50%を基本方針として、前期を下回らない配当を目指す。
3. 中長期の成長戦略
「中期経営計画2025」(2024年2月期~2026年2月期)では、最終年度の売上収益1,800億円、営業利益165億円(営業利益率9.2%)、税引後利益110億円、ROE14.4%、配当性向50%を目標に重点施策を推進している。ただ、経済環境が計画策定時とは大きく変化したことから、最終年度の目標達成は困難な状況だ。そこで2027年2月期からスタートする新中期経営計画の発表に先立ち、今後の進むべき方向や課題を示すために2031年2月期に向けた「中長期成長シナリオ」を発表した。具体的には、同社の強みを生かすことで、1) 外注化ニーズへの対応:アウトソーシングニーズの取り込みにより売上収益を拡大、2) 生成AIの活用:生成AIを活用してヒトによる対応から自動化に転換し利益率を向上、3) マーケティング支援:VOC(顧客の声)を活用し新たな付加価値を創出、の3つの成長戦略を推進することで、最終年度である2031年2月期に売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を目指す。今後6年間で売上収益を1.74倍に拡大(年成長率9.7%)を目指す計画だ。既にコンタクトセンターでの生成AI活用に向けて様々な取り組みに着手しており、次期中期経営計画の正式発表と、取り組みの進展に注目したい。
■Key Points
・全国に事業展開するコンタクトセンター大手で、伊藤忠商事、TOPPANホールディングスとの資本業務提携を最大限に活用
・2025年2月期は減収及び小幅増益決算も、収益性・安全性は高い。株主還元にも十分に配慮
・2026年2月期は増収増益を予想。前期並みの配当を予定
・2027年2月期からの新中期経営計画に先立ち、「中長期成長シナリオ」を発表。今後6年間で売上収益を1.74倍に拡大する計画。実現のカギを握る生成AIの活用に向けて既に様々な取り組みに着手
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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