サスメド Research Memo(1):不眠障害治療用アプリに続く事業展開は順調
サスメドはデジタル治療(DTx)の革新企業で、不眠障害用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」の開発が順調です。今期の業績はDTxプロダクト事業の収益計上がなかったために損失が拡大しましたが、DTxプラットフォーム事業は好調です。特に、ブロックチェーン技術を用いた製薬企業向けの臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync(R)」が収益に寄与しています。2025年6月期の業績は損失幅が縮小する見込みで、今後も開発パイプラインの拡充や新サービスの推進が続きます。国の支援と技術開発の進展に伴い、サスメドの中長期的な成長ポテンシャルが評価されています。
サスメド<4263>は、ミッションに「ICTの活用によって持続可能な医療サービスを社会に提供し続けること」を掲げ、医薬品及び医療機器に次ぐ第三の治療法として注目されるデジタル治療(Digital Therapeutics、以下、DTx)を開発する研究開発段階のベンチャー企業である。治療用アプリを開発するDTxプロダクト事業、及び製薬企業の臨床試験効率化を支援するDTxプラットフォーム事業を展開している。DTxプロダクト事業は不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」や後続の開発パイプラインの進捗も順調で、2025年2月にはあすか製薬(株)(あすか製薬ホールディングス<4886>の子会社で産婦人科領域のスペシャリティファーマ)との共同研究開発及び販売に関する契約に基づくマイルストンを達成した。また、DTxプラットフォーム事業では2024年12月に、統合型静脈疾患レジストリの構築作業が完了し企業向けの提供を開始するなど事業展開が本格化している。
1. 2025年6月期中間期の業績概要
2025年6月期中間期(第2四半期累計)の業績(非連結)は事業収益が前年同期比72.2%減の73百万円、営業利益が308百万円の損失(前年同期は97百万円の損失)、経常利益が309百万円の損失(同90百万円の損失)、中間純利益が313百万円の損失(同91百万円の損失)となった。DTxプロダクト事業の収益計上がなかったため大幅減収で各利益の損失が拡大した。ただしDTxプラットフォーム事業は、ブロックチェーン技術を活用して製薬企業向けに臨床試験の効率化を支援する臨床試験システムSUSMED SourceDataSync(R)(以下、SUSMED SDS)の追加開発による収益貢献により、事業収益が同13.1%増の73百万円に、セグメント利益は黒字転換(前年同期は6百万円の損失、当期は3百万円の利益)した。
2. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の業績(非連結)は2025年2月14日付で各利益を上方修正し、事業収益が前期比39.9%増の479百万円、営業利益が378百万円の損失(前期は364百万円の損失)、経常利益が379百万円の損失(同357百万円の損失)、当期純利益が386百万円の損失(同357百万円の損失)を見込んでいる。期初計画(2024年8月9日付公表値)に対して、営業利益を205百万円、経常利益を204百万円、当期純利益を203百万円それぞれ上方修正した。事業収益については、DTxプロダクト事業ではあすか製薬から受領の契約一時金及びマイルストン収入を計上し、DTxプラットフォーム事業ではSUSMED SDSの運用拡大による収益貢献を見込んでいる。利益面は採用費や臨床開発費の圧縮などにより、期初計画に比べて損失幅が縮小する見込みとした。
3. 成長戦略
同社の成長フェーズは研究開発段階にあるため数値的な目標となる経営指標は設定していないが、成長戦略として、DTxプロダクト事業では長期的視点での収益最大化に向けた開発パイプライン件数拡充や臨床試験進捗を、DTxプラットフォーム事業では収益の継続的かつ累積的な増加を実現するための契約件数拡大や新サービス拡充などを、重要な経営指標と位置付けている。これらの経営指標を高めるべく、医療機関・学術研究機関・製薬企業などとの共同研究やアライアンスなども推進している。
4. 弊社の見方
同社は研究開発段階のベンチャー企業のため、当面は研究開発費用が先行し期間損益のマイナスが継続する見込みである。しかし、DTxプロダクト事業では、不眠障害治療用アプリに続く開発パイプラインの進捗が順調である。国の政策として厚生労働省がプログラム医療機器の普及促進に向けて承認環境の整備を推進していることも追い風であり、今後のDTxプロダクト事業のパイプライン開発進展に弾みがつく可能性が期待される。さらにDTxプラットフォーム事業では、ブロックチェーン技術を活用したSUSMED SDSを中心とする事業展開が本格化してきている。これらのことから、弊社では中長期成長ポテンシャルを評価しており、今後の動向に注目したい。
■Key Points
・2025年6月期中間期は損失拡大も、DTxプラットフォーム事業が順調に拡大
・2025年6月期は各利益を上方修正。期初計画に対して損失幅縮小の見込み
・開発パイプラインの拡充やDTxプラットフォーム事業における契約件数拡大を推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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